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ガラパゴス系トマト

玉川大学の温室で栽培している、ガラパゴス系トマトの一種。野生では火口の斜面に生えており、果実の大きさは約1cm。がく片が大きく紫色の筋が入る。とても甘い

ゾウガメやイグアナで有名な南米・ガラパゴス諸島に野生種のトマトが自生するのをご存知だろうか?
大陸から隔離された、幾つかの火山島からなる島々で、独自の進化を遂げてきたトマトである。

この野生種のトマトは、品種改良のための貴重な遺伝資源である。へたから果実が外れやすい遺伝子は機械収穫を可能にし、収穫作業の効率を飛躍的に高めた。高濃度のβ‐カロテンやビタミンCを含み、栄養価も向上させた。しかし、「トマト界の産業革命」の立役者は今、絶滅の危機に晒されている。地球規模の環境変化や観光開発、ヤギの放牧などにより、現地では絶滅してしまったのだ。

実は、これらのトマトが本学の温室にある。ゾウガメが食べて排泄しないと発芽しない種子を独自の方法で発芽させ、30年来保護し、研究に役立ててきた。特定の病気に強いものや、害虫を寄せ付けない食虫植物のような毛を持つものを発見した。海水を被っても平気なものも見つかり、将来的に海水での栽培の可能性も考えられる。

個性溢れる「ガラパゴス系トマト」は人類の宝物であり、品種改良の救世主となるかもしれない。

(農学部教授 田淵俊人)
『全人』2017年2月号(No.813)より

ガラパゴス諸島の野生種トマト

学名:Lycopersicon cheesmanii Riley(Solanum cheesmaniae)
ナス科

ナス科の多年草。ガラパゴス諸島のみに自生する固有種で、各島々の山腹の森林脇の茂みや溶岩地帯、海抜の低い乾燥した草原や波打ち際などに自生し、地面を這うようにして広がって生える。果実の直径は1~2cm程度で球形か卵形、完熟果実の色は黄色味を帯びた緑色、黄色、オレンジ色、紫色で形や色が島ごとに異なる。亜種のf.minorは葉の形がシダに似て、ツンとした強い香りがある

南米大陸からガラパゴス諸島にトマトを運んだといわれている、ガラパゴスマネシツグミ(ガラパゴス諸島固有種。写真=長崎大学名誉教授 伊藤秀三博士)
本学の温室内で生育するガラパゴス系トマト。初春に見事な果実を付ける

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