ハシブトガラ
ハシブトガラは道内のみに生息するが、類似種のコガラは全国に生息している。両種の見極めはなかなか難しく、頭頂部黒色の光沢の有無や嘴(くちばし)の太さと合わせ目の白色線、尾羽の先の形態の違いで判断する。そこで私は学生に「ハシブトガラがいる。コガラかもしれないので特徴を調べて」と言っている。北海道弟子屈農場内では普通に見られるハシブトガラだが、道外から来た鳥好きの学生にとっては希少種である。実習の限られた時間内での鳥の観察は難しいので、近くで見ることのできるハシブトガラは心強い味方である。また縄張りや定着性が強く、人をあまり恐れない性質でもある。
わが家も冬場バードテーブルを設置するが、エサを持って行っても逃げることもなく、近くの枝からじっと見ている。エサをバードテーブルに置いて、妻が振り返ったとたん、舞い降りて採食する。鳥好きの老夫婦の手から、直接エサを食べるハシブトガラの映像がテレビで放映されていた。挑戦しようかと思ったが、氷点下の冬、エサ台にも行かない私が掌にエサを乗せたまま立っていられるはずもなく、すぐに諦めた。
(農学部技術指導員 金井秀明)
『全人』2017年7/8月号(No.818)より
ハシブトガラ(嘴太雀)
学名:Parus palustris.
英名:Marsh Tit
シジュウカラ科
日本国内では北海道だけに生息し、平地から森林まで周年見ることができる。頭と喉が黒く光沢がある。嘴はやや丸みをおびて太く短く、上嘴下嘴の合わせ目が白い。胴体は白く、羽は灰色に白線と黒線が混ざる。尾羽の先は角尾。雌雄同色。全長は12cm前後