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コチョウラン

白大輪の交配種(温室内での開花盛期は1~3月頃)

日本人はコチョウランが大好きである。形の整った白大輪の花が、斜めにズラッと整列した姿は壮観である。一方で、香りはほとんど感じない。同じ洋ランのカトレヤやシンビジュームが強い香りを放つのとは対照的である。豪華な上に「無香性」で、花保ちが極めてよいので、花の香りが苦手な方々(日本男性に多い←筆者見解)にも好まれ、高級贈答品として生産を伸ばしてきた。

さて、このコチョウラン、高価なのにはワケがある。生産には特別な施設や技術が必要な上、成長が遅いので、光熱・肥料・資材費、人件費が嵩(かさ)むのである。その増殖は、芽の先端の1mm以下の小さな組織(茎頂)を試験管の中で無菌培養して組織塊(PLB)を殖やす。これをフラスコに移植して数cmの大きさに育てたら、今度は温室内で鉢栽培し、2~3回の鉢替えを経て、開花までにトータル3~4年。更に出荷直前に、キレイな塗り鉢に数株を寄せ植えにして、花茎を鉄線で誘引して形を整える。

農学部の一番奥にある温室群は、培養室や高温設定が可能な温室を備え、1990年代より今日まで、コチョウラン生産に関する実習や研究を続けてきている。

(農学部教授  山﨑 旬)
『全人』2018年3月号(No.825)より

コチョウラン(胡蝶蘭)

学名:Phalaenopsis cv.
ラン科ファレノプシス(コチョウラン)属

品種改良の元になった野生種(原種)は、主に東南アジアに分布する。白花の原種はアマビリス種(Phal.amabilis)。それにサンデリアーナ種(Phal.sanderiana)や、プルケリマ種(Doritis pulcherrima)などを掛け合わせて、ピンク花や、白花赤リップの品種が作出された

16時間日長、温度25℃一定の培養室(農学部学内農場)
フラスコの中で増殖された組織塊(PLB: Protocorm-like body)

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