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クモタケ

薄紫色の分生子を持つクモタケは林内でもよく目立つ

冬虫夏草と聞くと、中国の山奥にしか生息していないとか、万病に効く薬とかをイメージされるかもしれない。しかし、皆さんは冬虫夏草が玉川のキャンパス内に生息しているのをご存知だろうか?

冬虫夏草とは、昆虫やクモなどに寄生する菌類の総称である。玉川のキャンパスでは、主に梅雨の時期、湿った斜面や石垣の隙間にクモタケを見つけることができる。通常地中に営巣するトタテグモの仲間を宿主とし、その死骸から発生する。地面から高さ3cmほどの円柱状構造物を作り、上部に薄紫色の分生子(無性胞子)を形成する。形はまるでミニチュアサイズのガマ穂のようである。

クモタケの地下部分を注意深く掘ると、白い菌糸に包まれた宿主のクモを巣ごと採取することができる。またトタテグモ(戸立て蜘蛛)の名前の由来の通り、巣穴の入り口にあるフタの構造もよくわかる。

残念ながらクモタケからは主だった薬効成分は知られておらず、薬用の冬虫夏草としての活用法はない。しかし、このきのこは大量発生し比較的目にとまりやすいので、梅雨の切れ間に探索してみてはいかがだろうか。

(農学部准教授  石﨑孝之)
『全人』2018年4月号(No.826)より

クモタケ(蜘蛛茸)

学名:Purpureocillium atypicolum
オフィオコルジケプス科

6月の梅雨から8月にかけて、木の根元、石垣の間の土などから発生する。分生子柄束(分生子を作る組織の一種)はこん棒状で長さ3.5cm、太さ5mm程度。地上部には薄紫色の分生子を生じ粉状。地下部には白色菌糸で覆われたトタテグモの死骸がある。非食用

エタノール溶液に浸けると宿主のクモが見えやすくなる
道路わきの石垣の周りの土から発生する

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