ヒバリ
学園内の草地や農耕地を歩いていると、雑草の隙間から小鳥がひょっこり出てくる。こちらが近寄ると鳥も距離を保って歩いて遠のき、やがてビュルビュルと鳴きながら、草むらに隠れてしまう。その正体はヒバリである(写真大)。
ヒバリの体は枯れ草のような褐色と黒筋模様の保護色で、目視では雌雄(しゆう)を見分けることが難しい。春先は唯一雌雄が見分けられる時期で、雄のヒバリは頭の羽毛(冠羽:かんう)を立てながら、地上でさえずることがある(写真右)。また、雄は晴天の日に上昇しながら複雑な長い歌をさえずる。騒がしいヒバリのさえずりで、空を見上げてその姿を探してみるものの、「声はすれども姿は見えず」ということをよく経験する。
ヒバリは普通に見られる鳥であるが、近年、都内では数が減少しているようである。農耕地や低草地の減少が原因であると考えられている。幸いにして玉川学園内では今でもヒバリの姿が普通に見られる。餌となる植物の種子や昆虫の生息する環境が残っているからであろう(写真左)。いつまでもヒバリが見られる環境を維持してあげたいと思う。
(農学部教授 佐々木 謙)
『全人』2020年8月号(No.851)より
ヒバリ
学名:Alauda arvensis
スズメ目ヒバリ科
本州では留鳥として生息する。おもに地上で生活することから、脚の後指(後趾:こうし)の爪が長く、それにより体の安定を保っている。英名はSkylarkで、ファミリーレストランの名でよく知られているが、その店の看板の鳥はヒバリとはずいぶん違うように見える