オオアオサギ

ナナイモ校地横の湖を眺めていると、ときおり「グゲェ」というお世辞にも良い声とはいえない鳴き声が聞こえる。その声の持ち主がオオアオサギである。樹冠に直径80㎝を超す大型の巣を形成し、集団営巣をする。毎年同じ営巣地を利用するのだが、林床には糞などが落下するため林床の植生が変化する。沿岸部における採餌場所はアマモ場や沼沢地で、ほとんどを魚に依存しているため海洋と陸域をつなぐ重要な種とされる。
ナナイモ校地の営巣地は、かつて百以上の巣があるコアコロニーであった。しかし2000年頃に放棄され、11年に再び確認されたがわずか12巣で、今もほとんど増加していない。営巣放棄は開発などが原因で、ハクトウワシによる襲撃も影響している。また、採餌場所の汚染も深刻である。にもかかわらず、都市環境に適応しつつあるのも事実で、おそらく都市部は天敵であるハクトウワシが少ないからではないかと考えている。
近年、ハクトウワシの保護策が奏功し個体数が著しく増加している。別の猛禽類の営巣を誘引し、ハクトウワシの襲撃を回避する試みも始まっている。ナナイモ校地でも検討中で、成果が期待される。
(農学部教授 南 佳典)
『全人』2020年12月号(No.855)より
オオアオサギ
学名:Ardea herodias
英名:Great Blue Heron
ペリカン目サギ科アオサギ属
体長約60cm、体重2.1~2.5kg、翼開長97~137cmに達する大型の鳥で、北米から南米北部、およびガラパゴス諸島に分布する。北米を代表する鳥とされているが、その生態や行動は未解明のことが多い。よく似た種に日本に生息するアオサギ(Ardea cinerea)がいるが、こちらは一回り小さく体色も薄い

