ニホンアマガエル
「カエル」と聞いて、皆さんはどのような姿を思い浮かべるだろうか? 緑色の体、大きな口、飛び出した目、吸盤のある手足………。そんなイメージにぴったりのカエルがキャンパスの農場にはたくさん棲んでいる。ニホンアマガエルだ。梅雨の時期になると、雌を求める雄たちの合唱が田んぼの方から聞こえてくる。
7月に入ると、田んぼの中は彼らの子どもたちで溢れかえっている。昨年の夏、私は童心に帰ってオタマジャクシを捕まえ、自宅で育ててみた。後足、前足の順に足が出て子ガエルになるまでは、金魚の餌でもまいておけば勝手に育つ。この後がとても大変で、彼らは動く餌しか興味を示さない。アブラムシを探しては与え、少し大きくなったら極小のコオロギ、体が大きくなるにつれ口に入るコオロギのサイズも大きくしていく。
3カ月ほど過ぎたある晩のこと。カエルたちがいる玄関の方から「クワッ、クワッ、………」と何かが擦れるような音がした。雄ガエルが鳴き始めたのだ。戸を開けると、ちょうど雨が降り出したところだった。春には気象予報士たちを学内農場に返すつもりだが、それまではお手並み拝見といこう。
(農学部教授 有泉高史)
『全人』2022年1月号(No.867)より
ニホンアマガエル
学名:Dryophytes japonicus
アマガエル科アマガエル属
水田や湿地でごく普通に見かける小型のカエル。「雨蛙」の名前は雨が降る前によく鳴くことに由来するが、天気予報の的中率はあまり高くないようだ。鳥羽水族館(三重県鳥羽市)によると、過去 2年間の的中率は3~5割。アカハライモリとの対決でも、軍配はイモリに上がっているそうだ
- 写真上:
下り坂では頭を上げ、上り坂では頭を下げてしまう(中脳による姿勢保持反射)
- 写真右:
餌が美味しくて目を閉じたのではない。引っ込めた眼球を使って餌を飲み込んでいるのだ