キャベツ類とハクサイ類
アブラナ科のハクサイ、ダイコン、キャベツは、米食が中心の日本食文化を脇から支える代表的な野菜と言えるだろう。鍋物、すき焼き、トンカツ、これらのご馳走には、必ず脇役にアブラナ科野菜が控えている。
国は国民生活に重要な指定野菜として14品目を定めており、先に述べた3品目が選ばれている。そして、2026年度、実に52年ぶりに15品目が加わることになった。新メンバーは、なんと我らがアブラナ科のブロッコリーである。
キャベツの学名は、Brassica oleracea var. capitata、ハクサイはB. rapa subsp. pekinensisである。B. oleraceaは、主に地中海沿岸・ヨーロッパを中心に、B. rapaは、中国や東アジアを中心に様々な変種(variety)や亜種(subspecies)が、長い年月をかけて選抜・育成されてきた。キャベツファミリーとハクサイ一家と呼べるぐらい多様である(写真左)。
興味深いことに洋の東西を問わず、蕾(つぼみ)、葉、茎・根に、その特徴をもつキャベツ類とハクサイ類がある。育種の方向性は人類共通なのだろうか? 多様性と普遍性、学びを深める上で重要なテーマだ。
(農学部教授 肥塚信也)
『全人』2024年4月号(No.892)より
キャベツ(甘藍)
学名:Brassica oleracea var. capitata
ハクサイ(白菜)
学名:B . rapa subsp. pekinensis
ともにアブラナ科アブラナ属
キャベツ類には、ブロッコリー、カリフラワー、コールラビ、ケール、芽キャベツなどが、ハクサイ類には、カブ、コマツナ、チンゲンサイ、菜の花、ミズナなどがある