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サラサヤンマ

縄張り内で休憩中のオス

北海道 弟子屈てしかが 農場の南を流れる釧路川の ほとり には、林内を縫うように自然観察用の木道が敷かれている。緑が まぶ しい7月に見回ると、木の間を低空飛行するサラサヤンマに出会える。
本種は沖縄を除く国内に広く分布するが、北海道での生息地は局所的で、屈斜路湖周辺は最北東の分布地の一つだ。ヤンマの仲間としては小型で、茂みの隙間を巧みに飛ぶほか、時に地面近くに止まるため、不意に足元から飛び上がり驚かされる。種名の〝更紗さらさ 〟とは、インドが起源の 唐草からくさ 模様で、腹部の対称的に並んだ三角形からこの名が付いたとされる。
弟子屈での生息環境は森林内の湿地で、湖畔や川沿いに点在し土壌の水分が極めて多い。一方で、気温や積雪量、 踏圧とうあつ による地形変化で水位が増減する繊細な環境で、近年は気温上昇と降雪量の減少により乾燥傾向にある。約20年前に、植生保護のため設置された木道は2025年に更新され、竣工確認で歩いた際、折よくサラサヤンマが姿を見せてくれた。今後も変わらず、農場に訪れる学生たちを出迎えてくれるだろう。

(農学部技術指導員 横倉 啓)
『全人』2026年2月号(No.912)より

サラサヤンマ(更紗蜻蜓)

学名:Sarasaeschna pryeri
ヤンマ科サラサヤンマ属

北海道から九州にかけて分布し、樹林に囲まれた湿地や谷戸、放棄水田などに生息する。体長は60mm前後。オス・メスともに黒地に緑・黄色の三角模様が並び、メスは翅の先端と基部が黄色く染まる。産卵は泥や朽木などに行い、幼虫は湿地内の落ち葉の間などに潜む

朽木に産卵中のメス
生息環境。春から初夏は雪解け水で水没する

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