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史料は語る 7

「音楽のあるところ そこに悪魔は存在する能わず」

小原國芳筆蹟 セルヷンテス(ミゲル・デ・セルバンテス)バイオリン 1960年1月
縦60.8×横20.0×厚9.3cm

「夢」

バイオリン裏板への書である。元文学部芸術学科教授藤本晃が大学生の時に手作りしたものに、小原國芳がセルバンテスの言葉を揮毫したものだ。
セルバンテスはミゲル・デ・セルバンテスといい、スペイン生まれの文豪で『ドン・キホーテ』の作者として名高い。小原の『眞人の言葉』の初版1935(昭和10)年には「音樂のある處には眞實の惡は存する能わず」と載る。
教育博物館所蔵史料に、小原が学生の時に書きためた『かきよせ』と題した大学ノートがあり、先哲の名言が書きとめられている。掛け軸や色紙に見られる文字と異なり、繊細な感じがただよう極細のペンで書かれている。卒業論文執筆のために数多の専門書を読破し、感銘した言葉を抜き書きしたものと思われる。それらを、後年『眞人の言葉』として出版したのではないかと想像する。
玉川教育では大学でも音楽を必修科目にするほど重視している。小原が全人教育を語る時、芸術のもつ役割の大きいことについてしばしばふれ「崇高な音楽は、最後には宗教音楽である」。コンクールに出る学生たちに対し「神様に聞いていただく気持ちで歌って」などと述べている。
セルバンテスが述べた音楽とはキリスト教大国スペインの教会音楽のことと思われる。石造りの聖堂に響き渡る聖なる調べの中に悪魔の入る余地はない。小原が「音楽の究極は宗教」などと述べていることから、セルバンテスの言葉に共感したのだろう。

白柳弘幸 学術研究所特別研究員

Where There is Music,
There Can be no Evil 

This is a picture of a violin crafted by Dr. Akira Fujimoto, a former professor at the College of Humanities. Handwritten on the violin by Kuniyoshi is a quote, "Where there is music, there can be no evil", from Miguel de Cervantes Saavedra, a Spanish writer best known for his novel Don Quixote. The quote is one of many which Kuniyoshi encountered during his college days and recorded in his notebook, Kakiyose. Through Cervantes’ words, Kuniyoshi expressed his belief that music should pervade our daily lives. Thus, music has come to play a significant role in Tamagawa’s education. To Kuniyoshi, Zenjin Education would not be possible without Tamagawa’s music education.

Kazuhito Obara
Managing Director, Vice President, Associate Head of School

『全人』2023年2月号(No.879)より

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