玉川大学・玉川学園Webサイト
IEサポート終了のお知らせ

玉川大学・玉川学園webサイトTOPページリニューアルに伴い、Microsoft 社の Internet Explorer(以下、IE)のサポートを終了いたしました。本学園が運営するサイトをIEで閲覧した場合正しく表示されない恐れがございます。
皆様にはご不便をおかけしますが、別のブラウザを利用しての閲覧をお願いいたします。

史料は語る 17

「志在萬里」

小原國芳 筆蹟
紙本墨書 色紙 昭和52年頃
縦27.0×横24.0cm

「志在萬里」

志在萬里は「志萬里(こころざしばんり)()り」と読む。『三国志』で有名な曹操(そうそう)の詠んだ「老驥伏櫪(ろうきれきにふすとも) 志在千里(こころざしせんりにあり)」がその(もと)と思われる。駿馬(しゅんめ)は老いて(うまや)につながれても、なお千里を走ることを思う。英雄、俊傑は老いてもなお志を高く持って英気が衰えず、きわめて遠大だという曹操自身の心境を述べたものである。
小原國芳は全人教育、労作教育、個性尊重の教育などを唱え新教育運動のために生涯を尽くした。自身の仕事について「私の新教育中の大功績は、正しくはデンマーク体操教師の招聘と新教育開拓と、『児童百科大辞典』の編纂であった」(『母のための教育学』)と語り、「デンマークの青年が体操を通してどのように人間をつくっていくのか、そこを学んでいただきたかった」(『教育とわが生涯』)、恩師澤柳政太郎の言葉を用い「『百科大辞典』なしには、まことの新教育はできない」(『私の教育論』)などと述べている。
小原は(まこと)の教育は全人教育でなければならないとの強い信念を持ち、日本中に広めることを自らの使命とした。教育研究会では玉川学園各部の教育現場を公開した。自らも教育行脚として半世紀以上にわたり全国各地を回り、その最後は1975(昭和50)年11月、88歳を越えていた。多くの学校で全人教育が行われることを願ったからである。
曹操の詩は「烈士暮年(れっしぼねん) 壮心不已(そうしんやまず)」と続いている。信念を貫く士は、老年になっても壮年の盛んな心は終わらないという意味だ。なんと! 小原の生き様そのものではないか。小原には千里では足りず萬里としたのだ。

白柳弘幸 学術研究所特別研究員

One Aims for the Far-off Future

In a Chinese poem written by Cao Cao, there is a verse,“An old steed in the stable still aspires to gallop 1,000 miles”.It is widely known that it reflects Cao Caoʼs state of mind:he believed that people who have exceptional talents, ability,and passion also maintain their vigorous energy and ambition for the future.
Kuniyoshi generously devoted his life and energy to the new education movement.In his last years,Kuniyoshi used to say that he would never become tired of pursuing his educational ideals and wanted to live longer to realize what he dreamed of.
Another verse in Cao Caoʼs poem is,“People with settled convictions and faith would never lose their vigor”.
Kuniyoshi identified himself with these words,but he wanted more,so instead of writing 1,000 miles he wrote 10,000 miles.

Kazuhito Obara
Managing Director, Vice President, Associate Head of School

English version finalized in collaboration with
Paul McBride
Director, Center for English as a Lingua Franca (CELF)

『全人』2024年3月号(No.891)より

シェアする