史料は語る 40
「理科ズキニシテ欲しい」
小原國芳手稿
鉛筆 原稿用紙裏(部分)
1974(昭和49)年頃
縦25.3×横35.8㎝

玉川学園創立40周年を迎えて、玉川大学出版部から『理科教育』が刊行された。本文中小原國芳は「理科教育への私の要望」として「理科ずきにしてほしい。好きこそものの上手なれ。何という千古ノ名言だろう……」などと寄稿した。
本史料に見える「理科ずきに」については100年前になる1925(大正14)年発行『母のための敎育學』や『全人教育論』でもふれている。では、なぜ理科なのか。
「理科硏究の對象は自然です……知識を與へ授けることよりも、實驗觀察により科學的硏究の方法を授けることです……自然そのものの硏究によりては、哲學者もでませう。宇宙の神祕、不可思議、驚異、いくらでも貴い材料があります」(『母のための敎育學』)と小原は述べている。
幼稚園では土いじり、花つくり、森に遊んだりさせたいと言い「草も石も、ミミズも飛行機も、水車も帆も、毛蟲も蜜蜂も……一切が材料です。身邊到る處にあります」と語った。そのために「理数科は絶対に労作教育であって欲しい……百聞は一見に如かず。百見は一労作に如かず。実際に観察し、玩味し、実験し、直観し、製作し、工夫し、体験せねばならない」(『理科教育』)と要望した。
小原は、薩摩半島の四季折々の自然に囲まれて育った。自宅前の浜辺や森で遊び、草や石や虫などを驚きの目で見ていたのだろう。身の回りのものを通して直接体験することの楽しさや素晴らしさを学んだのだ。理科好きになったことが小原自身の学問への原点だった。だからこの言葉は今の私たちの心にも響くのだ。
白柳弘幸 学術研究所 特別研究員
Inspiring a Love of Science
In his book Science Education, Kuniyoshi encouraged science teachers by arguing that if science is made fascinating and thoughtprovoking, students will grow to love it even more. Why, then, was science so special to him?
Kuniyoshi explained the reason in another of his books, Education for Mothers, in this way: “Science investigates nature itself. Scientists have spent a significant amount of time experimenting and observing the natural world, developing a wide range of methodologies. The subjects of their research are extensive and diverse, ranging from the universe to natural phenomena on the earth.”
Kazuhito Obara
President, Vice CEO, Associate Head of School
English version finalized in collaboration with
Paul McBride
Professor, Center for English as a Lingua Franca (CELF)
『全人』2026年4月号(No.914)より