故きを温ねて 88
開拓者たれ!
全人教育を提唱した小原國芳が玉川学園を開校したのは、知育偏重に陥りがちな当時の教育への挑戦であった。創立直後に著した『玉川塾の敎育』の中で「開拓者たれ!」と、自らを奮い立たせる言葉を述べている。
玉川学園90年の歩みを顧みた時、教育が一番困難であったのは太平洋戦争期で、心血を注いだ機関誌『全人』も休刊した。しかし学生たちは勤労動員時にも労作教育の精神を発揮していた。終戦の翌年1月に機関誌を再刊。冒頭、玉川教育の使命は「國家再建の捷徑(しようけい)はやはり、何といつても敎育」と力強く述べたのも開拓者精神からだ。
創立50周年が近づく1976(昭和51)年、カナダ・ナナイモに学校用地を求めた。学生たちが現地で起居学修する新しい国際教育の開拓であった。さらに2010年には国際バカロレア機構(IBO) DPスクールに認定された。
幼小中高(現K‐12)では1998年に園児・児童・生徒と家庭、教師、学校を結ぶコンピュータネットワーク「CHaT Net」システムを開始。2年後に「第1回インターネット活用教育実践コンクール」で内閣総理大臣賞を受賞。ICTを教育現場に取り入れる先駆的実践として注目された。
大学では2001年から5年かけて全学生にノートパソコン必携を推進した。これによりAnyTime,AnyPlaceの学修支援を可能にした。 夢に向かって進む開拓者精神は歴代学園長・学長の遺伝子なのだろうか。
(文=白柳弘幸 教育博物館)
『全人』2021年4月号(No.859)より