玉川発見伝 6
時空を超え、史跡とみまがう塾生たちの太鼓櫓
モリナガ・ヨウ Yoh Morinaga
正門から坂をあがり、健康院の前を抜けて左に礼拝堂を眺めながら進むと、石垣に守られた太鼓櫓(やぐら)があらわれる。初めて目にする人も「なぜここに櫓が?」とは思わないのかもしれない。それぐらい学園の景色に不思議となじんでいる。
櫓は学園創立40周年を記念して、当時の塾生や卒業生たちが1年がかりで完成させた労作だ。創立期から塾には太鼓当番があり、起床や就寝、食事の合図は太鼓の音によった。落成式は1970(昭和45)年7月。当時の小原哲郎副学長が叩き初めを行った。
高さ10メートル。1階倉庫、2階精神修養道場、3階に太鼓が置かれたが、閉塾により役目を終えた今は倉庫に。落成時、日本最大といわれた一本くりぬきの胴をもつ太鼓は中学年校舎に展示されている。
『全人』2016年6月号(No.806)掲載