玉川発見伝 8
日本初、子どものための百科事典 玉川の「児童百科」
モリナガ・ヨウ Yoh Morinaga
今でこそ子ども向けの事典、辞典は珍しくないが、日本で初めて「児童百科」を刊行したのは、玉川学園出版部(当時)である。
最初の『兒童百科大辭典』刊行は学園創立から3年を経た1932(昭和7)年。創立者小原國芳が児童にこそ良書が必要と説き、自らが率いた出版部で足かけ5年の歳月で全30巻を完成させた。その後敗戦間もない1947年に『学習大辞典』(全32巻・1951年完結)を刊行。1951年より刊行した『玉川こども百科』(全100巻・1960年完結)は児童文学界で権威ある賞のひとつ、産経児童出版文化賞を受賞。丁寧で地道な本作りが評価された。
くり返しの読書に耐える頑丈な装幀が施された「児童百科」はどの版も格調高く、当時の子どもたちの本棚でひときわ輝いていたことだろう。
『全人』2016年10月号(No.809)掲載