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玉川大学演劇舞踊団のヨーロッパ公演旅行

2018.08.02

1968(昭和43)年4月20日から6月21日までの約60日間にわたって、玉川大学演劇舞踊団は、第2回国際青年演劇祭への出演をきっかけに、アラスカ、デンマーク、ドイツ、スイス、イギリスで23回の公演を行った。舞台公演の披露はもちろんのこと、学生交歓やヨーロッパ文化に触れることも目的であり、公演後イタリア、ギリシャの見学旅行も日程に組み込まれた。

1.ヨーロッパ公演旅行の実現

1968(昭和43)年、ベルリンにおける第2回国際青年演劇祭への出演をきっかけに、ヨーロッパ各地より玉川大学のヨーロッパ巡演を積極的に支援する旨の希望がとどいた。これはデンマークのアーネ・モルテンセン氏、ニルス・ソレンセン氏、ドイツのオットー・フリードリッヒ・ボルノー教授、スイスのヴェルナー・チンメルマン博士、その他の方々のお骨折りによるものであった。やがて、ベルリンの国際青年演劇祭(略称インタードラマ’68)当局から正式の招待状もとどき、国内では外務省、国際文化振興会等の賛同のもと、駐日ドイツ大使館、ローマ法王庁大使館等の積極的な支援により体制が整った。

玉川大学演劇舞踊団がヨーロッパ公演旅行に出発
チュービンゲンの街を行く岡田陽団長(左)とボルノー教授
スイスをガイドしてくれたチンメルマン博士一家

2.ヨーロッパ公演スタート

日本民俗舞踊「連獅子」(都市センターホール)

4月20日から6月21日までの約60日間に23回の公演を行った。公演場所はアラスカ州3回、デンマーク5回、ドイツ9回、スイス5回、イギリス1回であった。このヨーロッパ公演旅行参加者は29名。大学生が21名、中学生が1名、教職員が7名。演目は木下順二作「夕鶴」と日本民俗舞踊。なお、ヨーロッパ公演直前の4月17日に東京の都市センターホールにおいて、「玉川大学演劇舞踊団 ベルリン国際青年演劇祭出演披露公演会」を開催した。

「夕鶴」(都市センターホール)
日本民俗舞踊「さくら」(都市センターホール)

公演は、ヨーロッパの若者たちに感動と興奮を与え、各地の新聞紙上でも激賞を受けた。その公演批評のほんの一部を紹介する。(『ヨーロッパ公演旅行記』玉川大学出版部発行より)

「夕鶴」
デイリー・センチネル紙(抜粋)

「極めて急速ではなやかな舞踊においても優雅さと気魄に満ちて演じ、観衆に息をのませるほどであった。舞踊そのものは精妙で、出演者の専門的技術は異国的な衣装とともに長く記憶されるべき印象を残した」

ベルリン・デル・アーベント紙(抜粋)

「優美、力、高度な照明技術、魅惑的な光の魔力、等々は客を魅了せずにはおかなかった」

デイ・ヴェルト紙(抜粋)

「極東からきた光――ホールを埋めつくした各国の参加者は、緊迫感をたたえて宿命的に展開していく筋に魅せられ、その演技力の可能性と優雅さに心を奪われていた」

バーディッシェ・フォルクスツァイトゥンク紙(抜粋)

「満員の会場、熱狂した観客、二度と味わうことはむずかしいであろう異国の魔力に充ちた夕べ」

スチフツ・チーゼンデ紙(抜粋)

「まことに美しく、また勇壮で非常に華やかなもので、見ていた我々もつい有頂天になって何回かアンコールをくりかえすほど本当にたのしい一夜であった」

日本民俗舞踊「荒馬」
どこの会場でも熱狂的な喝采をあびた八丈太鼓

3.公演後の見学旅行

今回のヨーロッパ公演旅行は、舞台公演の披露だけでなく、各国の学生との交歓やヨーロッパ文化に触れることも大きな目的であった。そのため、公演終了後には、イタリア、ギリシャを見学旅行する日程も組まれた。

同宿のドイツの合唱団とユースホステル前で合唱交歓(コペンハーゲン)
オーフス市庁舎における市長レセプション
ボンのStadt-theaterにおけるテレビ録画
駐独日本大使のレセプション
チューリッヒ郊外、ビルの村にあるペスタロッチの墓
ユングフラウ登山
駐ベルン日本大使館のレセプション

4.ヨーロッパ公演旅行のスケジュール(約60日間/公演回数23回:★印)

国・地域公演・見学等
4 20 日本  羽田発
 アラスカ
(公演3回)
<日付変更> アンカレジ着 → シトカへ移動
 テレビ放送  ライオンズクラブ歓迎レセプション
21  ★シトカ公演(2回)
22  ★アンカレジ公演  ポーティジ氷河見学
23  コペンハーゲンへ移動
24 デンマーク
(公演5回)
 コペンハーゲン着  クロンボーキャッスル見学
 ミュージカルを観劇
25  市内見学  日本大使館レセプション
26  ★コペンハーゲン公演  マーガレット王女が来臨
27  ★オレロップ公演
28  ★オーデンセ公演
29  オーデンセ(アンデルセン記念会館)見学
 オレロップ国民高等体操学校のデモンストレーション見学
30  ★オーフス公演   市長レセプション
5 1  ★ノルボー公演
2 ドイツ
(公演9回)
 ハンブルク着 → ベルリンへ移動
 インタードラマ主催者による歓迎会
3  西ベルリン・東ベルリン市内見学  演劇を観劇
4  日本総領事館レセプション  オペラを観劇
5  ◆インタードラマ開会式(ベルリンが上演)
6  ◆インタードラマ(ノルウェー、イスラエルが上演)
 ベルリン市長招待会
7  ◆インタードラマ(オーストリア、西ドイツが上演)
 討論会
8  ◆インタードラマ(アメリカが上演)
 ラジオ録音  討論会
9  ◆インタードラマ(フランス、オランダ、イギリスが上演)
 討論会
10  ★ベルリン公演
 ◆★インタードラマ(日本が上演)
 映画撮影
11  ◆インタードラマ閉会式
 討論会  演劇を観劇
12  インタードラマ主催者招待会
 3班に分かれて観劇
13  西ベルリン → 東ドイツ → 西ドイツ
 ★ヘルムシュテット公演
 ヘルムシュテット市レセプション  尼僧院宿泊
14  ヘルムシュテット市内見学
 エッケルンフェルデの各家庭に分宿
15  ★エッケルンフェルデ公演  ラジオ録音
 エッケルンフェルデ市長レセプション  学校訪問
16  バルチック海岸にて小憩(貝を拾う)
 ハンブルク日本総領事館レセプション
 「三文オペラ」観劇
17  ★ハンブルク公演  ハンブルク市庁舎訪問
 アマチュア演劇連盟レセプション
18  ケルン日本大使館レセプション
19  ケルン市内見学  バート・ゴーデスベルク着
 ライン河舟遊び(デンマーク、ユーゴー、ドイツの学生と一緒に)
20  ★バート・ゴーデスベルク(ボン)公演
 DAAD(ドイツ大学交換奉仕会)事務総長訪問
 テレビ録画   ボン、ベートーヴェンハウス見学
21  ★カールスルーエ公演   各家庭に分宿
22  カールスルーエ市庁舎訪問・市内見学
 原子力研究所見学
23  ★チュービンゲン公演
24  チュービンゲン大学見学  学長レセプション
 市長レセプション  「リア王」観劇
25  リヒテンシュタイン城・ツヴィーファルテン聖堂・ズイックマリゲン城見学
 ネッカー河遊び
 ドイツ・チェコ学生交歓会
26  ミュンヒェン市内見学  ホーフブロイハウスへ
27  ★ミュンヒェン公演  テレビ録画
28  アルテ・ピナコテーク美術館見学(ミュンヒェン)
 ビール工場にて昼食
スイス
(公演5回)
 チューリッヒ市内見学   各家庭に分宿
29  ★チューリッヒ公演  テレビ録画
 チューリッヒ学生劇場主催の昼食会
 学生会館にてパーティ
30  ★バーデン公演   市長レセプション
31  ペスタロッチ、ウィリアム・テルの遺跡めぐり
6 1  リンゲンベルク着   各家庭に分宿
 ルツェルン交通博物館・市内見学
2  ★インターラーケン公演
 野外劇場・ブリエンツ木工専門学校見学
3  ユングフラウ登山
4  ★ベルン公演  日本大使館レセプション
5  ★ベルン公演
 ベルン市内・モントレーのシオン城見学
6 イギリス
(公演1回)
 ストラトフォード着  「リア王」観劇
7  ストラトフォード市内(シェークスピア像等)、シェークスピアセンター、ウィンザー城、イートン校見学
 ロンドンにて「屋根の上のヴァイオリン弾き」観劇
8  ケンブリッジにて学生交歓レセプション
 アートシアターにて寸劇や歌のショーを観賞
9  ★ケンブリッジ公演  テレビ録画
 キングス・カレジ見学  パーティ
10  ロンドン市内見学  数組に分かれて観劇
11  ロンドンで自由時間   ロンドン → ローマ
イタリア  ローマ
12  サン・ピエトロ寺院・ヴァチカン美術館・ローマ市内(スペイン広場、トレヴィの泉等)見学
 喜劇を観劇
13  フィレンツェ市内(サンタ・マリア寺院、ウフィツィ美術館、アカデミア美術館)見学
14  ローマで自由時間   ブルガリア・ダンス見学
15  ヴァチカン教皇謁見  チボリー公園見学
16  ローマ自由時間
ギリシャ  アテネ市内・アクロポリス・ギリシャ民俗舞踊見学
17  デルフォイ見学
18  コリントス・エピダウルス、ミケネ見学
19  美術館ほかアテネ市内見学
 アテネ発帰国
20   <日付変更>
21 日本  羽田着
レマン湖畔のシオン城を見学
シェークスピアセンターでは、フォックス館長が自ら案内してくださった
ストラトフォードの公園のシェークスピア像の前で
廻りには作品の主人公の像も建っている
ウエストミンスター寺院で
うしろにヘンデルの記念碑が見える
フィレンツェのアカデミア美術館で、
ミケランジェロの名作、ダビテの像を見学
サンタ・マリア寺院の洗礼堂の
黄金の扉を見学
ヴァチカン宮殿訪問
ローマ教皇と玉川大学演劇舞踊団員
ローマ教皇パウロⅥ世は団員の一人ひとりと
握手し祝福してくださった

5.参加者(29名)

 男(名)女(名)役割
大学生 9 12 キャスト、スタッフ
中学生 1 0
教職員 6 1 団長(総演出)、舞踊指導担当、マネージャー、
ドイツ語通訳担当、美術担当、音楽担当、記録担当

6.演出等指導

総演出 岡田陽
舞台美術 佐藤和男
演劇指導顧問 戌井市郎、吉田謙吉、尾崎宏次
演技指導 田中信夫、青木玲子
舞踊振付 岡田純子、黛節子、江崎司、関矢幸雄、
尾上菊雍、花栁寿恵幸、五条正喜緒
舞踊指導顧問 坂東三津五郎、宮尾しげお、江口隆哉
町のあちこちに貼られた公演会のポスターの一つ

7.演目

1 木下順二作 「夕鶴」一幕
2 日本民俗舞踊集 さくら、黒田節、藤娘、八丈太鼓、花笠おどり、鳥取傘おどり、わらべ唄、
越後獅子、連獅子、津軽荒馬おどり、阿波おどり
「夕鶴」
「夕鶴」
「夕鶴」
「夕鶴」
「さくら」
「黒田節」
「藤娘」
「八丈太鼓」
「鳥取傘おどり」
「わらべ歌」
「越後獅子」
「連獅子」
「津軽荒馬おどり」
カーテンコール

関連サイト

参考文献

  • 岡田陽編『ヨーロッパ公演旅行記』 玉川大学出版部 1968年
  • 小原國芳監修『全人教育』 玉川大学出版部 1968年
         第225号、第226号、第227号、第228号
  • 玉川学園五十年史編纂委員会編『玉川学園五十年史』 玉川学園 1980年
  • 玉川学園五十年史編纂委員会編『玉川学園五十年史(写真編)』 玉川学園 1980年

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