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SGH(スーパーグローバルハイスクール)

2019.05.23

玉川学園は、2014(平成26)年4月、国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を目的とした文部科学省のプログラムである「SGH(スーパーグローバルハイスクール)」の第1期の指定校に選ばれた。

1.SGH(Super Global Highschool)とは

SGH(スーパーグローバルハイスクール)は、文部科学省のプログラムで、国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を目的に、国内の高等学校と中高一貫教育校の合計約5,000校の中から国が指定するものである。2014(平成26)年4月の第1期指定校には、国公私立校合わせて246の学校が応募。構想の目的、達成目標・具体的目標、管理機関の取組、研究開発体制、評価方法・体制、経費、研究開発計画・内容など多岐にわたる項目で書類審査およびヒアリング審査が行われた。その結果、玉川学園をはじめ56校が第1期のSGH指定校に選定された。指定校の内訳は国立4校、公立34校、私立18校。指定期間は5年間。

模擬国連

指定を受けた学校は、国際化を進める国内外の大学を中心に企業、国際機関等と連携を図り、グローバルな社会問題、ビジネス課題をテーマとして、生徒の社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力などの国際的素養を育成するために先駆的な教育課程を研究開発するとともに、横断的・総合的な学習、探究的な学習を行う。玉川学園では、「国際機関へキャリア選択する全人的リーダーの育成」を目標として掲げ、さまざまな教育プログラムを展開した。

2.SGHの指定を受けるにあたって

玉川学園は、12の教育信条の一つに「国際教育」を掲げ、早くから学校のグローバルスタンダード化に取り組んできた歴史がある。そして、近年では、海外からの生徒たちの受入れや海外への生徒たちの留学・研修など国際交流活動のさらなる充実をはじめ、国際的な学校認定団体からのアクレディテーションの取得、世界規模の私立学校連盟への加盟(ラウンドスクエア)、国際バカロレア機構よりIBワールドスクールとして認定を受けて(2012年からは文部科学省より教育課程特例校指定)国際バカロレア(IB)クラスを開設といった取組を実施している。また、現在の学校に求められている探究型学習も他校に先駆けて推進している。

ラウンドスクエア

海外の生徒の受け入れは年間約270名、海外への生徒の送り出しは年間約260名(2018年度実績)。また、50カ国180校以上の学校によって構成される国際的な私立学校連盟「ラウンドスクエア」には、2005年に日本で初めて正式なメンバー校として認定された。中学生対象のジュニア会議と高校生対象の国際会議には、世界各国の生徒が集まり、環境や国際的な問題をテーマにしたディスカッション、ボランティア活動などさまざまな活動が行われている。本学もこの両会議に生徒を派遣している。

3.SGHのプロジェクト概要

①研究開発構想名

「国際機関へキャリア選択する全人的リーダーの育成」

②対象者

玉川学園9年生(中学部3年生)~12年生(高等部3年生)

③研究開発の目的・目標

  • a.
    IB(国際バカロレア)の教育理念を参考にして、授業内における相互作用を手段とした教育実践とカリキュラムを開発する。
  • b.
    既存の提携校やラウンドスクエアの利点を生かしたリーダーシップを滋養する海外研修のしくみを構築し、特に振り返りや成果の発表、討論の機会を持つ。
  • c.
    生徒の英語力を中心とした他者へのコミュニケーション能力の向上を図るとともに、自己の内面との対話も行い他者への理解を深め、多様性を尊重できるリーダーとしてふさわしい精神的成熟を培う。
  • d.
    経験豊かな教育分野の国際NGOによる第三者評価を行い、グローバルな学校作りに欠かせない教員研修の充実を図る。

④課題研究の内容

多くの国際機関の活動フィールドである「貧困」「人権」「環境」「外交(リーダーシップ)」「国際協力」の中から、生徒たちはさらに具体的な個人探究テーマを登録し、関連する活動に参加しながら理解を深めていく。

基礎養成ステージ

  • 玉川アドベンチャープログラム(TAP)<9年生(中学部3年生)・10年生(高等部1年生)必修>
  • グローバルキャリア講座 <全員必修>

課題探究ステージ

貧困人権環境外交
(リーダーシップ)
国際協力
  • グローバル・スタディーズ
  • アフリカン・スタディーズ
  • 模擬国連
  • ワールド・スタディーズ
  • グローバル・スタディーズ
  • アフリカン・スタディーズ
  • たまがわ会議
  • 模擬国連
  • ワールド・スタディーズ
  • グローバル・スタディーズ
  • アフリカン・スタディーズ
  • たまがわ会議
  • 模擬国連
  • グローバル・スタディーズ
  • ヨーロピアン・スタディーズ
  • たまがわ会議
  • 模擬国連
※リーダーシップ研修
  • グローバル・スタディーズ
  • ヨーロピアン・スタディーズ
  • たまがわ会議
  • 模擬国連

国際機関へキャリア選択する全人的リーダー

生徒は「基礎養成ステージ」「課題探究ステージ」と段階を踏みながら、諸活動に参加し、国際機関へキャリア選択する全人的リーダーとしての資質向上を図った。「課題探究ステージ」では具体的な個人探究テーマを登録し、関連する以下のプログラムの活動に参加した。

4.「グローバルキャリア講座」

国内外のグローバルな大学や国際機関との連携を通して、世界の諸問題に対する興味と具体的なイメージを掴むことを目的とするプログラム。この講座では、大学や国際機関から招聘した「貧困」、「人権」、「環境」、「外交(リーダーシップ)」、「国際協力」の5分野に関係する専門家の講話を通して、グローバルな課題への知識を獲得するとともに国際機関への理解を深めた。具体的には、内閣府国際平和協力本部(PKO)、国際開発機構(FASID)、国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、国境なき医師団(MSF)、国連ボランティア(UNV)、日本国際ボランティアセンター(JVC)、上智大学、政策研究大学院大学、ロート製薬株式会社などの専門家を講師として招聘。2015(平成27)年度にはジャーナリストの池上彰さんの講座をはじめ18回のグローバルキャリア講座を開催。翌年度にはUNICEF(国連児童基金)アジア親善大使のアグネス・チャンさんなどにも講座を担当してもらった。高学年(9年生~12年生)全体や学年単位の講話、授業での講話、生徒が昼食を取りながら話を聞く講話など、多様な方式で実施された。

5.自由研究「グローバル・スタディーズ」

貧困・人権・環境・外交・国際協力の5つのテーマを掘り下げて研究した成果を、学園展や生徒発表会、論文コンテストなどで発表する自由研究講座。生徒たちは、関連する諸活動に参加して積極的に研究内容を発信していくことによって、世界の課題に対する関心を高め、国際機関へキャリア選択するための基盤をつくった。

6.SGH海外研修「アフリカン・スタディーズ」(貧困、人権、国際協力)

SGH指定に先立つ2009(平成21)年度から実施。開発途上国の貧困や人権などについて学ぶ、12年生(高校3年生)を対象とした公民科の海外研修プログラムとしてスタートした。このスタディツアーを通じて、実際にボツワナ共和国と南アフリカ共和国の2国を訪れ、現地の人々と交流し、さまざまな現実を肌で感じ取った。ボツワナでは現地で活動する人権や貧困問題に取り組む青年海外協力隊の事務所や国際NGOの現場を見学して意見交換を行った。南アフリカではアパルトヘイト博物館を見学したり、タウンシップと呼ばれる貧困地域を訪ね、同国が抱える課題への理解を深めた。研修テーマは、ネルソン・マンデラの影響やアフリカ投資の最前線、スラムの生活・環境など、歴史的な問題と現状を扱った。実施後はJICA論文コンクールへの応募を行った。

7.SGH海外研修「ヨーロピアン・スタディーズ」(環境、外交、国際協力)

多文化社会の調和と平和に尽力してきたヨーロッパに学ぶ海外研修プログラム。2015(平成27)年度から実施。ベルギー、スイス、ポーランドなどを訪問。国際連合ジュネーブ事務局や国際赤十字などの国際機関でのワークショップや研究課題の発表を通して、「環境」「外交」「国際協力」を学んだ。ポーランドではアウシュビッツ強制収容所も見学した。

8.「模擬国連/MUN@IB」

2013(平成25)年度から実施。異学年の生徒が一緒に活動し、国による立場の違いや文化の多様性を越えた相互理解を目指すのが目的。国連でどのように解決策が模索されているのか、国連会議のシミュレーションを行い、主要5テーマ(貧困、人権、環境、外交、国際協力)を総合的に探究するプログラム。「国連安全保障理事会改革に向けて」、「気候変動とエネルギー安全保障」、「核廃絶へのシナリオ」 などを議題として行う正規授業で、模擬国連の活動では英語をメインに使用。議論を深めた後は、日本の外交や国際機関の課題についても意見・提言をまとめ、発表を行った。10~12年生の玉川模擬国連運営委員会を中心に生徒主体で運営。全国の学校からも生徒が参加。2018(平成30)年2月2日と3日の両日行われた第4回SGH玉川学園模擬国連会議には、全国から16校132名の参加者が集まった。

9.「たまがわ会議」

国際規模の私立学校連盟「ラウンドスクエア」では、年に1回世界各国からおよそ300名の高校生が参加して行なう国際会議を開催しているが、その日本版プログラムが「たまがわ会議」。 2013(平成25)年の夏から生徒主体でスタートしたこの会議は、「環境」をテーマとしたグループディスカッション、研究発表、奉仕活動を数日間にわたって実施。 世界の諸問題を同世代と討論することで視野を広げるとともに、英語力を中心としたコミュニケーション力や問題発見・解決力などの国際社会を舞台に活躍するのに必要な能力を磨いた。

10.「ワールド・スタディーズ」

12年生の公民科選択科目で、メディア、貧困、人権、平和、外交といったテーマについて、グループワークやプレゼンテーション、ディスカッション、ドキュメンタリー映像の視聴を通して学ぶプログラム。地球を取り巻くグローバルな課題を体験的に学習する「グローバル教育」の理論に基づく活動で、主に開発途上国の貧困や人権などについて学んだ。 英語科と地歴公民科の連携科目として、ELFの教諭とのチームティーチングで実施した。海外から来園した研修生がこの授業に参加することも多い。

11.上記以外のプログラムおよび取組

①生徒の英語力の向上をはかる諸活動の実施

ELFにもとづく英語コミュニケーション

「ELFにもとづく英語コミュニケーション」は、玉川大学でスタートした“ELF(English as a Lingua Franca =共通の母語を持たない人同士のコミュニケーションに使われる英語を学修するプログラム)”の取組と同じ考えのもとに、英語を使いこなすための科目を強化したプログラム。英語を使用する人の80%は英語の非母語話者(ノンネイティブスピーカー)であると言われている世界で通用する英語を身につけるための専門的な学び方である。

レシテーションコンテスト

レシテーションは「暗唱」のこと。2014(平成26)年度に始まり、音読を通して英語力の向上を図り、表現力や伝える力を養うイベント。10、11年生全クラスが英語の授業内で予選を行い、選抜された代表者がコンテストに出場。偉人のスピーチや物語の一節を感情豊かに表現。生徒による司会進行のもと、優秀者には賞状を贈呈。

その他

生徒の英語力の向上をはかる諸活動として、GTEC(Global Test of English Communication:ビジネス英語の能力を測定する検定試験)、アカデミック・スキル・キャンプ、海外大学生との交流企画などを実施。

②「玉川アドベンチャープログラム(TAP)」 10年生(高等部1年生)は全員必修

人が大自然の中で鍛えられて成長する過程をヒントに、グループで課題に取り組んでいくプログラム。仲間との信頼関係をつくり、チームの中で自分の役割を見つけていく。アメリカの教育界で高い評価を得ている「プロジェクトアドベンチャー(PA)」という教育手法を元にした取組で、自分と向き合うこと、難関にチャレンジすること、仲間と協力すること、達成感を味わうことなど、人間の成長に欠かすことのできない多くの体験が含まれている。グループでさまざまなプログラムにチャレンジすることで、将来に役立つ社会性や、その基礎となる心の発達・成長を育んだ。

③「国際教育NGOサスティナビリティー・フロンティア-ズ(SF)」による効果測定

SFによる指導の下、世界基準のカリキュラム開発を目指した。具体的には、参加生徒へのインタビューやアンケート調査を行い、ハイパネルミーティングにおいて運営指導、提言を行った。

④大学(玉川大学他)とのグローバルな高大連携科目の設定

玉川大学とは高大連携プログラムを構築。12年生より玉川大学で単位履修が可能。2014(平成26)年度から3年間は、立教大学異文化コミュニケーション学部による「立教スーパーグローバルサマースクール」を夏に開催。立教大学の教授陣が英語で3日間、貧困、人権、環境、国際協力などの講義を行った。

⑤「Tamagawa Super Global Leaders (TSGL)48認定制度」

SGHに関わる活動に参加した回数に応じてポイントを付与する評価制度(TSGL48)。2014(平成26)年度からスタート。研究発表、国内外で行われる研修、外部機関によるコンテストや大会、学内外でのイベントへの参加に加え、英語検定試験のCEFRのB1~B2レベル以上の成績、ホームステイ受け入れの実績などもポイント付与の対象とした。TSGL48では、年度ごとに獲得ポイント上位48名の生徒に記念品のピンバッジと認定証を贈り、表彰。

⑥「中高生のための国際機関キャリアフォーラムin 玉川学園」

2015(平成27)年9月、日本で初めて「中高生のための国際機関キャリアフォーラム」を玉川学園で開催し、外務省国際機関人事センターをはじめ、10の国連組織や国際NGOが集まった。翌年も「中高生のための国際機関キャリアフォーラム2016 in 玉川学園」として実施。講演、分科会、生徒発表などを通して「国際機関へキャリア選択する全人的リーダーの育成」を目指した。

2015年
2016年

⑦SGH国内研修「松下政経塾で語る玉川生によるグローバルイシュー」

2016(平成28)年2月、海外研修のアフリカン・スタディーズおよびヨーロピアン・スタディーズ参加者と、自由研究グローバル・スタディーズ履修者である9~12年生の30名が松下政経塾を訪問。「松下政経塾で語る玉川生によるグローバルイシュー in 2016」を開催。これまで各コースで学びながら関心を持ったグローバルイシュー(世界的な問題)について松下政経塾の方のファシリテーターのもと、ディスカッションおよびプレゼンテーションを行った。今回の研修では一部のグループを除き、生徒・ファシリテーターともに「英語」を駆使しての実施となった。SGH松下政経塾研修は前年度に引き続いて行われた。

2015年のSGH松下政経塾研修
2015年のSGH松下政経塾研修

⑧国際機関、PKO事務局とのイベント共催

2016(平成28)年10月、University Concert Hall 2016 MARBLEにおいて、第12回国連UNHCR難民映画祭学校パートナーズ上映会を前年の第11回に引き続いて実施。この映画祭はUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)駐日事務所と国連UNHCR協会の主催により、9月から11月の期間中、全国各地で開催。参加する教育機関は大学がほとんどだが、玉川学園は総合学園として参加しており、実行委員会も9-12年生が担当。各地の会場で上映される映画は異なるが、玉川学園で上映された映画は『ナイス・ピープル』(2015年スウェーデン映画)。生きるために危険を冒して逃げてきた人々に対してどのようなサポートができるのかを考え、世界の現状を知ることがこの映画鑑賞の目的であった。
また、UNHCR「NOWHERE PEOPLE:THE WORLD'S STATELESS―世界の無国籍者たち―」やPKO事務局「国際平和協力法制定25周年記念写真展」も学内で開催した。

2016年第11回UNHCR難民映画祭
2016年第11回UNHCR難民映画祭

12.SGH SSH生徒研究発表会

2018(平成30)年3月、SSH(Super Science Highschool:スーパーサイエンスハイスク ール)とSGHの初めての合同生徒研究発表会を高学年校舎と大学8号館を会場として開催。発表生徒、他校の教員、企業や一般の方々、本学の教職員と学生・生徒・保護者の総勢約250名が参加。開会式の後、高学年校舎にて口頭発表、大学8号館にて約150件のポスター発表が行われた。本学の教育学部や農学部、工学部の教員や学生から生徒たちへの的確な指導や助言があった。

翌年も同じくSSHとSGH合同の生徒研究発表会を行った。それぞれの研究成果と合わせ、9年生の「学びの技」と10、11年生の「自由研究」の優秀者による研究発表会が2月に高学年校舎にて開催された。開会式に続き行われた口頭発表は分野ごとに4つの教室で12件、ポスター発表は11の教室で147件。国内各地から約50名の教育関係者が見学に訪れた。
閉会式終了後にはSSHとSGHの担当教員による成果報告会が開かれた。

13.第2回関東・甲信越静地区スーパーグローバルハイスクール課題研究発表会で金賞受賞

この発表会は、立教大学が主催し2016(平成28)年度から開催している。当日は、関東・甲信越静地区のSGH指定校39校のうち19校から約250名の生徒が参加。生徒たちが、取り組んでいる課題研究について日本語または英語によるプレゼンテーションおよびポスター発表が行われた。プレゼンテーション発表には43組、ポスター発表には46組が参加。
本学は、プレゼンテーション英語部門で金賞を受賞した。

関連サイト

参考文献

  • 小原芳明監修『全人』 玉川大学出版部
    第787号(2014年)、第802号(2016年)、第811号(2016年)、第826号(2018年)、第828号(2018年)、第830号(2018年)、第837号(2019年)

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