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玉川学園カナダナナイモ校地の歴史 ② ナナイモ校地での教育活動開始

2024.09.30

ナナイモ校地は1976(昭和51)年の開設以来、主に玉川大学農学部の海外フィールドおよび学術研究の場として利用されてきた。ただし、最初に活動を行ったのは玉川大学のクラブである海外協力研究部の22名の学生たち。1977(昭和52)年、彼らは建物のペンキ塗り、水道浄化槽や湖への桟橋、道作りなどの労作を行った。1978(昭和53)年に農学部が駐在員を派遣。卒業研究などを行う学生の長期派遣も開始された。同年8月には、アメリカ・カナダ夏期語学研修旅行中であった高等部生たちが、延べ2週間にわたりキャンプでナナイモ校地を使用。こうしてナナイモ校地の活用が進められていった。

1.ナナイモ校地での教育活動がスタート

ナナイモ校地には、前所有者のロックナー氏が住んでいた建物(ログハウス)や納屋、倉庫がそのまま残っていた。建物は約100年前に建てられもので中央に壁があった。片側は使用できない状態。利用可能なロックナー氏が生活していた側を、1階は共有スペース、2階は宿泊スペースとして使用。共有スペースには事務室、食堂、トイレ、浴室、洗濯室があった。トイレはすでに水洗トイレ。食堂や洗濯室にある蛇口は2つずつあり、一方からはお湯が出た。それらを活用してナナイモ校地での活動が開始された。

ログハウス
ログハウス
左側にあるのが納屋と倉庫、右側がログハウス
納屋

開設されたナナイモ校地で最初に活動を行ったのは、農学部の学生ではなく、海外協力研究部という玉川大学のクラブに所属する学生たち。1977(昭和52)年7月22日から8月27日の間に、高橋貞雄助手(後に玉川大学文学部教授、玉川学園理事)の引率のもと海外協力研究部の22名の学生がナナイモ校地を訪れ、100年以上前に建てられナナイモで一番古い家とも言われていた建物(ログハウス)のペンキ塗り、ホールデン湖の桟橋や道作り、マラスピナ大学内の玉川学園日本庭園の看板造りなどの労作を行った。当時、ナナイモ校地には駐在員などはいなく、近隣の方々の支援を受けながらの活動となった。クラブの合宿としては、異例の長期に亘るものであった。

学生たちが滞在したログハウス
ホールデン湖

海外協力研究部のこの合宿での主な労作活動は以下の通りである。

労作場所 労作内容
学生たちが滞在した約100年前に建てられた建物(ログハウス/宿舎) 外壁のペンキ剥がしとペンキ塗り
1階の天井、壁、床のベニヤ板貼りおよびペンキ塗り
2階の内装およびペンキ塗り
ナナイモ校地周辺 周辺の除草等環境整備
ホールデン湖へ下る道造り
ホールデン湖の桟橋造り
校地の入口に建てられた看板の修理
カナダと日本の国旗、玉川学園の校旗を掲げる3本のポールの設置
マラスピナ大学内の玉川学園日本庭園予定地 整地や杭打ち
「玉川学園日本庭園予定地」という立て看板造り

1978(昭和53)年に初めての駐在員として山路利英氏が、はじめての農学部派遣学生として佐藤章夫さんがナナイモ校地に派遣された。二人は一緒の飛行機に乗りナナイモ校地入り。なお、佐藤さんは前年度に海外協力研究部のメンバーとしてナナイモ校地に滞在し、現地を経験していた。それ以降さまざまな活動が行われることとなった。駐在員を中心に農学部の派遣学生により、気象観測、土壌調査、植物栽培試験、自生植物や生息動物の調査などが開始された。1984(昭和59)年にはナナイモ校地で中学部および高等部の英語研修が行われ、その後中学部のカナダ研修として今日まで実施されている。日本ではできない数々の刺激的な体験が用意された。

2.マラスピナ大学(現在のバンクーバー・アイランド大学)との交流

ナナイモ校地が誕生してすぐに玉川と地域社会との交流も始まった。特に現地マラスピナ大学との交流が盛んになった。1976(昭和51)年にマラスピナ大学と協定を締結。1979(昭和54)年に玉川学園が友好のしるしとして同大学構内に日本庭園(玉川ガーデン)を築園寄贈した。

玉川ガーデンと玉川ガーデンを見学されるエリザベス女王

1981(昭和56)年1月19日、マラスピナ大学より、その返礼および玉川学園創立50周年の記念として、日本最大級のトーテムポールが玉川学園に贈られた。玉川学園での献納式には、マラスピナ大学長、ナナイモ市長、制作者らが来日した。その高さ10メートル、重さ約3トンのトーテムポールは、現在も玉川学園キャンパスの屋内プール前の植え込みの中に茶褐色の太い柱の堂々とした姿で立っている。

玉川学園キャンパスで行われたトーテムポール献納式
玉川学園キャンパスで行われたトーテムポール献納式

2003(平成15)年から農学部生物資源学科生物環境情報コースのカナダプログラムがスタート。コースに所属する全学生が4か月間、マラスピナ大学で学修。以後、学科改組が行われたが、現在も環境農学科がカナダプログラムを継続して実施している。

マラスピナ大学は、カナダのバンクーバー島にあり、ブリティッシュコロンビア州の公立大学で、実学に非常に力を入れている総合大学。大学のキャンパスは小高い丘の上にある。大学周辺の自然豊かな環境を積極的に活かした授業が行われている。ナナイモ校地からは車で約20分。マラスピナ大学は、2008(平成20)年よりバンクーバーアイランド大学となった。現在も本学のカナダプログラムにとって、バンクーバーアイランド大学の協力が欠かせない要素となっている。

バンクーバーアイランド大学

関連サイト

参考文献

  • 小原哲郎監修『全人教育』 玉川大学出版部
      第328号(1976年)、第346号(1978年)
  • 農学部60周年記念誌『教職員と学生たち~昨日・今日・明日~』 玉川大学農学部 2013年
  • 高橋貞雄、八城美和子、佐々木裕子ほか「カナダ研修合宿の軌跡」(『全人教育』第346号 玉川大学出版部 1978年 に所収)
  • 国際教育準備室「カナダ玉川学園で夏期労作」(『全人教育』第341号 玉川大学出版部 1977年 に所収)
  • 橋本道「カナダの日本庭園オープニング」(『全人教育』第367号 玉川大学出版部 1979年 に所収)
  • 白柳弘幸「故きを温ねて(44)玉川トーテムポールはハイダ族の中でタカ族に属する紋章を持つ。」(『全人』第678号 玉川大学出版部 2005年 に所収)
  • パンフレット「玉川イーグル クレスト トーテムポール」 1981年
  • 玉川学園五十年史編纂委員会編『玉川学園五十年史』 玉川学園 1980年
  • 玉川学園五十年史編纂委員会編『玉川学園五十年史(写真編)』 玉川学園 1980年

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