玉川学園カナダナナイモ校地の歴史 ④ 玉川学園8年生カナダ研修
1984(昭和59)年以来、カナダナナイモ校地は中学部カナダ夏期語学研修の舞台としても活用されている。2002(平成14)年からは中学部2年生(2006年からは玉川学園8年生)の新プログラムとして、さらに充実した内容での本格的な体験型語学研修がスタートし、現在に至っている。2008(平成20)年からは8年生IBクラスのナナイモ校地での研修も開始された。
1.中学部カナダ夏期語学研修
1984(昭和59)年、マラスピナ大学の支援を受けて、玉川学園中学部および高等部のカナダ英語研修が実施された。その後、中学部に特化した語学研修プログラムとして継続されていった。中学部のカナダ語学研修プログラムは中学部2年生を対象として、2週間のマラスピナ大学での英語研修とアクティビティ、1週間のカナディアンロッキーへの小旅行という内容でスタートした。このカナダ研修の目標は、英語の習得はもちろんのこと、現地でのさまざまな体験からカナダ人の生活や考え方を知り、ひいては日本人である自分を見つめ直し、国際人としての感覚を身につけること。加えてナナイモ校地での労作やロッキー山脈のキャンピングツアーを通して、大自然の素晴らしさを体験することである。そして、日本ではできない数々の刺激的な体験が用意された。
1984(昭和59)年~1987(昭和62)年 | |
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マラスピナカレッジキャンパスでの語学研修 | |
研修内容 | 期間 |
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2週間 |
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1週間 |
1988(昭和63)年~1990(平成2)年 | |
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クィーン・マーガレット(QMS)校での研修 | |
研修内容 | 期間 |
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2週間 |
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1週間 |
1991(平成3)年~2001(平成13)年 | |
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クィーン・マーガレット(QMS)校での研修/ マラスピナカレッジによるESL・Activity+ナナイモ校地宿泊研修の2グループ制 |
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研修内容 | 期間 |
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2週間 |
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1週間 |
2.中学部2年生(2006年からは玉川学園8年生)の新プログラム
2002(平成14)年にはナナイモ校地の学生棟の改修工事が完了し、受け入れ体制が整ったことから中学部の新カナダ研修プログラムがスタート。初年度は合計167名の生徒が参加した。
研修プログラムの一つにアクティビティを通して英語に親しむプログラムがある。カナダの大自然を生かし、SPL(Strathcona Park Lodge & Outdoor Education Centre)インストラクター指導のもと、カヌーやカヤック、キャンプなどのアクティビティを通して英語に親しむもの。滞在中は現地のプログラムアシスタントがともに生活を送る。SPLインストラクターは、世界の野外教育施設で活躍する野外教育の専門家で、理解しやすい英語で野外体験を安全・安心にサポートしてくれる。
具体的には8年生(中学2年生)は、ナナイモ校地で6日間の研修を行う。研修はチームビルディングのアクティビティで始まり、4つのアドベンチャーに挑戦する。カナダの自然を舞台に、仲間と力を合わせて成し遂げるアウトドア体験、ホールデン湖にて2人1組でカヌーを体験、近くの森をハイキングおよびナナイモ市内の専門施設にてロッククライミング、ハーバーに浮かぶ小さな無人島にカヤックを漕いで渡り野外で1泊のキャンプ体験。この離島でのキャンプは2人乗りカヤックで海を渡り目的地へ。洋上では仲間との息の合った協力が大切。
プログラムアシスタントは全員カナディアン「英語」を使用し、24時間寝食を共にしながら日常生活をサポートしてくれる。研修終了後は、ナナイモ校地のマラスピナ・玉川ホールにてクロージングセレモニーを行う。そして生徒たちはインストラクターより、アクティビティ修了証を受け取る。
2002(平成14)年~現在 | |
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いくつかのグループに分かれてナナイモ校地での研修 Vancouver Island UniversityのESL,ストラスコナによる野外活動研修 |
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研修内容 | 期間 |
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2週間 |
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3.IB8年生カナダプログラム
2008(平成20)年からは8年生IBクラスのナナイモ校地での授業も開始された。8年生IBクラスはカナダプログラムの参加が必須。このプログラムの目的は、カナダの自然から環境を学び、環境を通して同世代と交流すること。現地IB校と環境サミットを開催し、環境に関する話題を現地IB校生徒と英語でディスカッションし、その成果を参加者に向けてプレゼンテーションする。環境サミットは、現地のIB校数校をナナイモ校地に招待し、サミットは教員を含め、約100名の規模で行われる。マラスピナ・玉川ホールを中心にさまざまな活動を2日間にわたって行う。さらに終了後は、サミットに参加した現地校生徒宅にホームステイし宿泊を共にするとともに、現地IB校のクラスで授業を受ける。また近隣の自然環境保護施設の視察やIB校での文化交流などの機会も用意されている。特に野生動物の保護施設などの見学では、自然破壊で影響を受けた生物たちを救う現場を目の当たりにし、自然の大切さを再認識する。
2008(平成20)年~現在 | |
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IB生カナダ研修/IB校Summit | |
研修内容 | 期間 |
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2週間 |
関連サイト
参考文献
- 池田裕明「カナダ語学研修旅行」(『全人教育』第448号 玉川大学出版部 1985年に所収)
- 池田裕明「カナダでの体験報告―中学部語学研修旅行―」(『全人教育』第520号 玉川大学出版部 1991年に所収)
- 池田裕明「多くの感動から学ぶ―中学部語学研修―」(『全人教育』第544号 玉川大学出版部 1993年に所収)
- 酒井健司「国際人へのファースト・ステップ」(『全人教育』第473号 玉川大学出版部 1987年 に所収)
- 北原亮子「広大な国カナダから学ぶ―カナダ語学研修旅行報告―」(『全人教育』第484号 玉川大学出版部 1988年 に所収)
- 北原亮子「カナダでの体験―中学部カナダ語学研修旅行―」(『全人教育』第568号 玉川大学出版部 1995年 に所収)
- 山本邦隆「カナダに学ぶ―中学部カナダ海外研修旅行―」(『全人教育』第496号 玉川大学出版部 1989年に所収)
- 永井信彦「カナダで学んだもの―中学部語学研修旅行―」(『全人教育』第508号 玉川大学出版部 1990年に所収)
- 菊地勲「忘れ得ぬカナダ-大自然と笑顔―第九回カナダ語学研修の報告―」(『全人教育』第532号 玉川大学出版部 1992年に所収)
- 横松淳登「カナダでの体験―中学部カナダ語学研修旅行―」(『全人教育』第556号 玉川大学出版部 1994年に所収)
- 岩崎敏英「カナダ研修に思う-中学部語学研修-カナダ-」(『全人教育』第580号 玉川大学出版部 1996年に所収)
- 五島利彦「カナダでの体験-中学部カナダ語学研修旅行」(『全人教育』第592号 玉川大学出版部 1997年に所収)
- 佐藤二郎「体験から学ぶ語学研修-中学部カナダ夏期語学研修旅行」(『全人教育』第604号 玉川大学出版部 1998年に所収)
- 真下郁代「OH! CANADA-国際人に一歩近づいた中学生」(『全人教育』第616号 玉川大学出版部 1999年に所収)
- 草野雅恵「中学部カナダ語学研修-体験から学ぶ」(『全人教育』第628号 玉川大学出版部 2000年に所収)
- 三浦一信「貴重な体験から学んだもの<中学部カナダ語学研修旅行>」(『ZENJIN』第640号 玉川大学出版部 2001年に所収)
- 藤樫大二郎「三年目を迎えた中学部「カナダ研修」」(『全人教育』第673号 玉川大学出版部 2004年に所収)
- カールソン泰枝「K-12海外交流校レポート(番外編)玉川学園ナナイモ校地」(『全人』第859号 玉川大学出版部 2021年に所収)
- 白柳弘幸「玉川の丘、再発見!(12)実践体験的英語学習 8年生カナダ研修」(『全人』第717号 玉川大学出版部 2008年 に所収)
- 玉川学園五十年史編纂委員会編『玉川学園五十年史』 玉川学園 1980年
- 玉川学園五十年史編纂委員会編『玉川学園五十年史(写真編)』 玉川学園 1980年