玉川大学・玉川学園Webサイト
IEサポート終了のお知らせ

玉川大学・玉川学園webサイトTOPページリニューアルに伴い、Microsoft 社の Internet Explorer(以下、IE)のサポートを終了いたしました。本学園が運営するサイトをIEで閲覧した場合正しく表示されない恐れがございます。
皆様にはご不便をおかけしますが、別のブラウザを利用しての閲覧をお願いいたします。

玉川豆知識 No.102

池の中に設置されたクリスマスツリー

毎年、12月になると、玉川池のほとりで人々の目を楽しませてくれるクリスマスツリー。現在の位置にクリスマスツリーが設置されたのは、1985(昭和60)年の12月。実は、その前年、前々年は、玉川池の中に設置されていました。

初めてのクリスマスツリーが飾られたのは、玉川学園創立の年である1929(昭和4)年12月。その後、幼稚部、小学部、中学部、高等部のそれぞれの場所で、小さなクリスマスツリーが飾られていました。1983(昭和58)年12月、当時の学長・学園長であった小原哲郎が正門付近で「ここに大きなクリスマスツリーがあったらいいな」という小学部生の声を聞き、子供たちの夢を叶えてあげたいと職員に話しました。さらに哲郎は、池に映るクリスマスツリーを見てみたいと要望。その結果、玉川池の中にクリスマスツリーを設置することとなりました。

池の中ということもあり、当時、クリスマスツリーの設置に関わった職員の人たちは大変苦労したと後に語っています。池の中にどのようにクリスマスツリーを設置するか。さまざまな案が考えられましたが、最終的にはツリーを木の樽に固定して池の中に入れ、さらに細いワイヤーで倒れないように留めて設置。また、電球の装飾を担当した職員たちは防水に苦労したと語っています。当時は屋外用の良い電球もなく、職員がソケットにボンドを入れて防水仕立てにするなど試行錯誤を重ねました。また、玉川池にボートを浮かべての作業の際には、池に落ちた職員もいました。

初めてツリーが池の中に設置されたときのことが、『全人教育』第428号(1984年2月)に次のように記述されています。

広報課が中心となり、約7メートルのツリーに白色豆電球とワインレッドのミラーボールでシンプルに飾りつけ、クレーン車で校門池の中に設置する。灯が池に、夜空に映える。電車の中からも見えるとのことで、すこぶる評判が良い。教職員、学生も町の人も、このクリスマスツリーと駅前花壇の装飾に、年の暮れの近いことを知らされる。

池の中に設置されたクリスマスツリー

玉川池の中に設置されたツリーの木の高さは約7m。ただし道路より低い池の中に設置したため、思っていたほど高さが感じられませんでした。翌年には、クリスマスツリーをさらに大きく見せるために、約10mの木を設置。さらにその周りを囲むようにして約3mの高さの木を4本設置。幅を広げることでより大きく見せようとしました。その様子が、『全人教育』第440号(1985年2月)に次のように記されています。

十二月一日。師走の季節を迎え、何となく心急(せ)く思いがする。学園町の名物となった玉川池のクリスマスツリーが今年も設置された。中央のツリーは高さ十メートル。その周囲を三メートルのツリー四本が囲む。白色電球七五〇(750)個、金・銀・赤のミラーボールニ四〇(240)個を使用し、飾りつけられる。総務部と農学部の教職員・学生が半月がかりで、ヒマラヤスギとモミの木の切り出しから、足場を組んでの飾りつけを行う。夕闇の迫る午後四時、電球が点灯されると、光が池の面に映えて、雰囲気も格別だ。下校する学生が、帰宅途中の町の人が足をとめ、ツリーをながめている。小田急線の電車の中からもみえ、乗客の目を楽しませてくれる。
この池のクリスマスツリーを背景に記念写真をとる子供達も多く、保安管理の人が依頼に応じてシャッターを切る姿もほほえましい。また駅前庭園も大学の造園研究部の学生達によってクリスマスの飾りつけがされる。

池の中に設置された木は、1年しか使えません。そのため、その次の年からはヒマラヤ杉を玉川池の中ではなく、池のほとりに設置することになりました。今では日本の至る所で見ることができるきらびやかな電飾ツリーは、当時はほとんどなく、玉川のクリスマスツリーは大変珍しいものでした。そして、池に映る逆さツリーの美しさは、多くの人たちの目を楽しませてくれています。

実はこのクリスマスツリーには、お父さんやお母さんへの2つの想いが託されています。そのことが、『全人』第723号(2008年12月)に次のように記述されています。

飾りつけ当初から、このツリーには、お父さんやお母さんへの二つの想いが託されています。一つは、日々の慌しさに忘れがちな心の安らぎをプレゼントしたいという想い。もう一つは、クリスマスを楽しみにしている子どもの顔を思い浮かべてもらいたいという想いです。

参考文献

  • 小原哲郎監修『全人教育』 玉川大学出版部
         第428号(1984年)、第440号(1985年)
  • 小原芳明監修『全人』 玉川大学出版部
         第691号(2006年)、第736号(2010年)、第800号(2015年)
  • 白柳弘幸「故きを温ねて」(『全人』第701号 玉川大学出版部 2006年 に所収)
  • 山田剛康「素直な気持ちで「ありがとう」」(『全人』第723号 玉川大学出版部 2008年 に所収)
  • 『玉川学園の教育活動2008⇒2009』 玉川学園  2008年

シェアする