玉川豆知識 No.177
日本初のアドベンチャープレイグラウンド
1973(昭和48)年、玉川学園小学部に国内初といえるアドベンチャープレイグラウンドという施設が誕生。施設は以降、段階的に発展していきました。自然環境を生かしたこの施設での活動を通して、子供たちは自分の力を試し、挑戦し、限界に挑み、それを克服して自分自身の力に自信をつけていきました。アドベンチャープレイグラウンドの誕生から数えると、玉川学園のアドベンチャー教育の実践は、来年2023(令和5)年で50年を迎えます。
1.アドベンチャープレイグラウンドの誕生
2000(平成12)年、玉川学園ロープスコース教育施設、現在のTAP(Tamagawa Adventure Program)チャレンジコースが完成。欧米、オセアニアで当時最も脚光をあびていた体験型心の教育プログラムを、玉川の全人教育の実践に活用することを目指してつくられました。学校内にこのような屋外チャレンジコースがつくられたのは、日本では初めてのことでした。さらにそこから27年遡った1973(昭和48)年に、アドベンチャープレイグラウンドが玉川の丘に誕生しています。
そのことが、川本和孝、大山剛著「玉川学園・玉川大学におけるAdventure教育のルーツ」(「玉川大学TAPセンター年報」第7号/2022年に発行)につぎのように記されています。
「緑豊かな木立や変化に富んだ地形、文字通り大自然の中で泥まみれになって冒険に身をまかせる時が過ごせたら、子どもたちはどんなに幸せであろうか」。このような理念のもと、玉川学園小学部(当時)にアドベンチャープレイグラウンドが設立され始めたのは、1973年のことである(以降段階的に発展)。これまで、国内の記録や文献を見る限り、日本で初めてアドベンチャープレイグラウンドが設立されたのは、1979年の冒険遊び場「羽根木プレーパーク」が初めてとされてきたが、その6年前に玉川学園に国内初のアドベンチャープレイグラウンドが存在していたことになる。
また、同年報につぎのような記述があります。
玉川学園小学部にアドベンチャープレイグラウンドが作られたのは、1971年にアメリカでProject Adventure(以降PA)が誕生した2年後のことであり、玉川学園・玉川大学における「アドベンチャー教育」は、PAとほぼ同じ時代に生まれていたことも興味深い点である。
アドベンチャープレイグラウンドが設置されたのは、小学部の労作畑やくぬぎ林、栗林があったところ。現在のELF Study Hall 2015の裏手にある駐車場付近です。
やがて時が経ち、アドベンチャープレイグラウンドは、施設の老朽化が目立つようになりました。さらには新小学部校舎や新大学校舎の建設が1990(平成2)年以降に計画され、それに伴って小学部労作畑が移転、くぬぎ林が縮小に。その結果、アドベンチャープレイグラウンドは、1980年代後半から1990年頃にその姿を消すこととなりました。
玉川学園のアドベンチャー教育は、アドベンチャープレイグラウンドが誕生した年をスタートと考えると、2023(令和5)年で50年を迎えます。玉川学園のアドベンチャー教育の歴史は、実に半世紀にわたることとなります。
現在、玉川学園では全人教育の実践として幼稚部から大学までの教育の中にTAP(玉川アドベンチャープログラム)を取り入れ、「心の教育」に力を注いでいます。TAPはグループワークを通して、限界に挑むチャレンジ精神や仲間との信頼関係、共感力を育成することを目的に、それぞれの成長過程に応じたプログラムを実施しています。


2.写真で見るアドベンチャープレイグラウンド
- 川本和孝、大山剛著「玉川学園・玉川大学におけるAdventure教育のルーツ」
(「玉川大学TAPセンター年報」第7号/2022年に発行)より

【図1】の① くぬぎ林エリア


【図1】の②、③ 栗林エリア


【図1】の④ 広場周辺エリア




【図1】の⑤、⑥、⑦ ジャングルコース(クロスカントリーコース)
【図1】の⑧、⑨ 丸太遊具エリア


【図1】の⑩ レインジャーネットエリア




関連サイト
参考文献
- 川本和孝、大山剛「玉川学園・玉川大学におけるAdventure教育のルーツ」(『玉川大学TAPセンター 年報』第7号 玉川大学TAPセンター 2022年 に所収)
- 臼井和夫「アドベンチャープレイグラウンドの計画と実践」(『小学教育研究14』 玉川学園小学部編 1976年 に所収)