玉川豆知識 No.190
写真で見る玉川学園㉔ ナナイモ校地および周辺に生息する動物
カナダ西部のブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー島第二の町ナナイモ市郊外にあるナナイモ校地。ホールデン湖の東端を含むなだらかな南斜面の牧草地で、面積は約10万坪(約32万平方メートル)、西に1,500メートル級の山々を臨み、まわりはスギの森といった自然環境に囲まれています。このように校地の周りには、湖、湿原、牧草地、森林が広がり、季節の移り変わりとともに多くの野生動物が見られます。
1.鳥類














































Red-breasted Sapsucker







2.哺乳類


































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参考
谷本亮著「ナナイモの四季」(1988年発行の『全人教育』第475号に所収)で、一月のナナイモ校地の様子が次のように紹介されています。
ナナイモの一月は、一年の内で最も静かな時期です。校地を囲む自然も深い眠りについたように、その動きを止めています。すっかり葉を落としたメイプル(かえで)やアルダーツリー(はんのき)は、その芽を固く閉ざしたまま、じっと息を潜めるように立ちつくし、ダグラスファー(もみのき)の森も、心なしか寄り添い合っているような感じさえします。しかし、この時季は、目の前の湖にマラード(まがも)や、カナダグース(しじゅうからがん)などの水鳥が訪れる季節でもあります。それぞれがつがいを作り、静かな水面に波紋を描きながら仲良く泳いでいる姿は、とても微笑ましく、見る者の心を和ませてくれます。また、グレートブルーヘロンと呼ばれる大きなサギの仲間が、そのしわがれた鳴き声と共に飛び去ってゆく情景は、静けさの中で、自然の確かな息吹きを感じさせてくれます。ツバメがやって来る春はまだまだ遠い一月のナナイモです。
カナダでは梅雨がなく、6月には初夏の気候になります。この時期に大陸からやってくるハミングバード(ハチドリ)について、前述の谷本亮著「ナナイモの四季」に以下のように記されています。
この時期になると、大陸南部からハミングバード(ハチドリ)が北上してきて、その愛らしい姿を見せてくれます。この体長6センチほどの世界一小さい鳥は、光沢のある緑色か赤褐色で、まるでハチのようにホバリングをしながら、長い嘴で花蜜を吸って回ります。飛翔力がとても強く、金属音のような羽音とともに、空を縦横無尽に飛び交います。また、急降下急上昇を繰り返す習性があり、時ならぬ航空ショーを見せてもくれ、北米ならではの夏の風物です。
オオアオサギについて、南佳典著「玉川の仲間たち/オオアオサギ」(2020年発行の『全人』第855号に所収)に次のような記述があります。
ナナイモ校地横の湖を眺めていると、ときおり「グゲェ」というお世辞にも良い声とはいえない鳴き声が聞こえる。その声の持ち主がオオアオサギである。樹冠に直径80㎝を超す大型の巣を形成し、集団営巣をする。
(略)
ナナイモ校地の営巣地は、かつて百以上の巣があるコアコロニーであった。しかし2000年頃に放棄され、11年に再び確認されたがわずか12巣で、今もほとんど増加していない。営巣放棄は開発などが原因で、ハクトウワシによる襲撃も影響している。
上述のハクトウワシについては、關義和著「玉川の仲間たち/ハクトウワシ」(2019年発行の『全人』第843号に所収)で次のように紹介されています。
アメリカ合衆国の国鳥でもあるハクトウワシ。名前の通り頭の白い鷲だ。翼を広げると優に2mを超す。そんな巨大な鳥が大空を舞う姿に何度魅了されただろうか。
大空を悠々と飛ぶ姿を眺めていると、突如、急降下する場面に出くわすことがある。狩りの始まりだ。目当ては魚であることが多い。水面めがけて一直線に舞い降り獲物を捕らえる。自身の体よりも遥かに小さな動物をなぜそんなにも遠くから見つけられるのかと、彼らの目の良さにはいつも驚かされる。ハクトウワシは魚類を中心としつつ鳥類や哺乳類、爬虫類などさまざまな脊椎動物を捕食する。
アカリスについて、關義和著「玉川の仲間たち/アカリス」(2018年発行の『全人』第824号に所収)に次のように記述されています。
カナダのナナイモ校地を散策していると、どこからともなくアカリスが姿を現した。せわしく何かを食べている。ビッグリーフメープルだ。翼果の翼部分を歯で切り取っては投げ捨て種子だけを綺麗に食べている。
(略)
アカリスの食事メニューは実に多様だ。それは種子だけには留まらず、芽や花、樹液、樹皮などの植物質からキノコ類や昆虫類、ときには鳥類や哺乳類にまで及ぶ。晩夏から秋には、厳しい冬に備えて球果の貯食にも精を出す。こうした餌資源を守るためになわばりを形成し、他個体の侵入にも常に目を光らせている。
アライグマについて、關義和著「玉川の仲間たち/アライグマ」(2017年発行の『全人』第815号に所収)に次のように記されています。
尻尾の縞模様や眼の周りの黒い帯が特徴的なアライグマ。キャラクターとしても目にする機会が多く、日本人にとっては馴染みの深い動物だろう。手を洗うような印象深い仕草は、実は水中で餌を探している行動。皮膚に強い毒を持つ両生類に対しては、地面でこすり洗いをして、毒を和らげてから食べる行動も報告されている。
もともと日本にいる動物だと勘違いされることも多いが、アライグマは北米が原産である。森林以外にも酪農・農業地帯や都市部などに幅広く分布し、カナダ・ナナイモ校地のあるバンクーバー島にも生息する。そのアライグマが、最近学内にも姿を見せ始めた。
日本へは、40年ほど前にペット用として大量輸入された。なぜか?国民的人気を博したアニメ「あらいぐまラスカル」の影響である。しかし、飼育が難しく各地で無責任な遺棄が生じ、今ではほぼ全国に分布している状況だ。
参考文献
- 小原哲郎監修『全人教育』第573号 玉川大学出版部 1996年
- 小原芳明監修『全人』 玉川大学出版部
第740号(2010年)、第751号(2011年)、第797号(2015年) - 谷本亮「ナナイモの四季」(『全人教育』第475号、第479号、第480号 玉川大学出版部 1988年 に所収)
- 南佳典「玉川の仲間たち/オオアオサギ」(『全人』第855号 玉川大学出版部 2020年 に所収)
- 關義和「玉川の仲間たち/ハクトウワシ」(『全人』第843号 玉川大学出版部 2019年に所収)
- 關義和「玉川の仲間たち/アカリス」(『全人』第824号 玉川大学出版部 2018年 に所収)
- 關義和「玉川の仲間たち/アライグマ」(『全人』第815号 玉川大学出版部 2017年に所収)