今年から新型車となるソーラーカープロジェクト。その車体デザイン・名称が決定しました。
玉川大学ではソーラーカープロジェクト2015年新型モデルの車両制作が着々と進められています。ソーラーカープロジェクトTSCP(Tamagawa Solar Challenge Project)とは、「ソーラーエネルギーの有効活用」を基本テーマとし、その利用技術の研究に取り組むことを目的に1997年に発足したものです。天候に左右されるソーラーエネルギーの欠点を補うべく、2003年には太陽電池と燃料電池を組み合わせたハイブリッド・ソーラーカーを製作し、世界で初めてハイブリット・ソーラーカーによるオーストラリア大陸横断4,000km走破を成功させました。以来さまざまな改良を重ね、多くのレースで実績を残してきたのです。近年では2014年8月に秋田県で行われたWGC(World Green Challenge)2014の、ソーラーカーグリーンフリート・フリークラスのソーラーカータイムチャレンジ部門において優勝しました。
そして、TSCPでは2015年モデルのバイオ水素で走る車両を製作しています。車体自体は完成しましたが、外装のデザインが進行中。そこで6月24日(水)に、芸術学部の中村慎一学部長を招いてアドバイスを受けることになりました。
大グラウンドを目の前にした立地にあるソーラーカー工房には、総監督の小原宏之教授を中心としたTSCPのメンバーと、中村教授が集まり、新型車両が披露されました。昨年まで活躍していた「オンディーヌ号」は引退し、まったく新しく設計された車体は、ボディ表面の面積も大きくなり、デザインに使えるスペースも広くなりました。この日は車体にどのようなデザインを施すのかを、模造紙などを使って車体に貼った状態で中村教授に見てもらうことになりました。
「オンディーヌ号」と同様に、今回も基本となるのは草花のイラストです。車体の側面イラストを一目見るなり中村教授からは「走るものだから、視覚的な躍動感、疾走感があるといいね」との言葉が。新型車は車高もあることから、草花の高さを一列にするのではなく、徐々に高くすることでスピードを感じさせるほうがいいとのこと。この他にも、暖色と寒色を組み合わせるとバランスが良くなることや、今までよりも大きく取られたガラス面を避けるようにデザインをしなくても、人の目と脳は勝手に足りない部分をイメージするから大丈夫、といったアドバイスも。この他にもさまざまなアドバイスが中村教授からありました。
今回の車体デザインを担当したのは、工学部マネジメントサイエンス学科4年の藤井彩さんです。実は藤井さんはつい最近までTSCPのこともくわしくは知らなかったそうですが、「小原教授から車体デザインを担当しないか」と誘われ、参加したとのこと。「それからは、花や草木を中心としたデザインにして欲しいという要望を実現するためいろいろと試行錯誤しながらデザインを考えました」と藤井さん。忙しい合間を縫って、カフェなどリラックスできる空間にあえて出向きイメージを膨らませたり、なにげない瞬間に思いついたアイデアはすぐに書き留めるなど、よりよいものにしたいという一心で取り組みました。さらに美術系の大学に通う友人にも試作のデザイン案を見てもらい、方向性を決めていったそうです。「今回、中村教授から戴いたアドバイスにはとても的確で、かつ学術的な見地も教えていただき、とても参考になりました。もっとブラッシュアップしていいものにしていきたい」ということで、話を聞きながら真剣にメモを取る姿が印象的でした。
中村教授のアドバイスを参考に最終的なデザイン案の作成に進み、新型車両のデザインがついに完成しました。
そして、デザイン完成後、この車両にふさわしいネーミングをTSCPのメンバーで検討しました。
その結果、「夢を担い、努力を続ければ未来がかなう」という思いを込めて、「未来叶い」という名称に決定しました。
TSCPではこの新型車両「未来叶い」で、8月に実施されるWGC(World Green Challenge)2015レースにグリーンフリート部門 フリークラスに参加します。新たなデザインがソーラースポーツラインを疾走する様子が、今から楽しみです。