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野生種トマト ペネリー

野生種のペネリー。本学の温室は自生地のほぼ全地域の本種を保有する

アンデス山地にはユニークな野生種トマトが幾つも自生する。南米ペルーのペネリーという種は、葉や果実の表面がねばねばしていてうっかり触ると大変。なかなか取れない。本学の温室では、ありとあらゆる虫がくっついて植物体が虫だらけになってしまうことがある。まるで食虫植物であるが虫を溶かしてしまうことは無い。

その正体は葉や果実の表面に分泌液を出す特殊な毛(腺毛)にある。毛の先端部に丸い細胞があり、ここから粘液が滴り落ちる。どうしてこんな種ができたのか? アンデス山地は乾燥地帯で年間を通してほとんど雨が降らない。昼40℃、夜は0℃にもなる。ところがその気温差で一時的に霧が発生し、植物体表面に水分がかかる時がある。この気候に適応して葉や果実の表面に特殊な腺毛を発達させ、空気中の水分を体内に取り込みやすい仕組みが発達したのである。

実際に“ねばねばトマト”は根の発達が極めて貧弱で、葉の中に水分を貯蔵する仕組みが発達している。本学ではこの性質を逆利用して害虫に強いトマトをつくった。が、口の中がねばねばするので閉口している。

(農学部教授  田淵俊人)
『全人』2017年12月号(No.822)より

野生種トマト ペネリー

学名:Lycopersicon (Solanum) pennellii
ナス科トマト属

通称“ねばねばトマト”。ナス科の多年草。南米ペルーのアンデス山地、標高50~1,500mの乾燥した岩場に自生する。果実の直径は1~2cm程度で球形、完熟果実の色は熟しても緑色である。自生する地域によって腺毛の長さや密度が異なる。糖度はBrix値で12以上となり市販のトマト(平均は5~6)よりはるかに高いので、乾燥や害虫に強く高糖度のトマトを育成するのに役立つ貴重な遺伝資源となる

葉の表面に付着した昆虫類
葉の表面に密生する腺毛。丸い先端部から粘性の非常に強い物質を分泌する。シックハウス症候群の原因は建材などから放出されるホルムアルデヒド。ペネリーはこの有害物質を葉で吸収し、無害な二酸化炭素に変えることが本学の研究で発見された

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