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クジャクチョウ

ケヤマハンノキの葉の上で日光浴中

孔雀(くじゃく)と聞くと、目玉模様の尾羽を持った煌(きら)びやかな鳥の姿を思い浮かべるが、同じ模様を持つこのクジャクチョウも、負けず劣らず艶(あで)やかな姿だ。
鳥の孔雀は熱帯地域に生息するが、対照的にクジャクチョウは涼しい気候を好む。成虫で越冬する特徴があり、落ち葉の隙間や民家の物置の中などで静かに春を待ち、雪解け後の草木の芽吹きと共に世代交代する。私の家でも、どこから入ったのかは謎だが、居間の片隅で越冬していた事がある。幼虫の好物は、エゾイラクサという毒針を持った植物で、人が触れると炎症を起こすこの植物を平気で食べる。
学名の“io”とは、ギリシャ神話に登場する女性神官のイオで、亜種名の“geisha”は日本の芸者の事だ。イオは、全知全能のゼウスを魅了したほどの美貌を誇り、加えて芸者と言えば和服姿の美しい女性を連想するので、いずれも由来に相応しい。また、神話の中でイオは牝牛の姿に変えられてしまうのだが、この時イオを監視していたアルゴスという百の目を持つ巨人の目が、後に孔雀の目玉模様になったとされる。姿の裏に神話をも潜ませた妖艶な蝶だ。

(農学部技術指導員 横倉 啓)
『全人』2020年7月号(No.850)より

クジャクチョウ

学名:Inachis io geisha
タテハチョウ科クジャクチョウ属

北海道から滋賀県にかけて分布し、北海道・東北地方では平地でも見られるが、他の地域では山地などの涼しい環境に生息している。成虫は雌雄同色。幼虫は黒色の毛虫型で、カナムグラやエゾイラクサなどの植物を食べる。日本での種名と同様に、英名もPeacock(クジャク)

羽化直後の成虫。翅の表面は鮮やかだが、裏面は枯葉のような模様
2017年の大発生時。道端のユウゼンギクに集団で給蜜していた

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