ニホンアナグマ

側溝から顔をのぞかせるニホンアナグマ

もともとはユーラシアアナグマの地理的亜種とされてきたニホンアナグマ。しかし、2005年に独立種として位置付けられ、晴れて日本の固有種となった。
名前に「アナ」がつく通り、穴を掘るのが得意だ。鋭い爪のある大きな前足で土を掘り返す。巣穴を作るとき、大好物のミミズを食べるとき、そして糞をするときでさえ丹念に穴を掘る。晩秋から初春にいたっては、穴にこもり外にはほとんど出てこなくなる。寒い冬を生き残るための適応である。
長い冬が終わり春を迎えると出会いの季節だ。メスは代わる代わるやってくるオスと交尾し出産に備える。ただし、着床遅延という現象により、このときにできた受精卵が着床するのは穴ごもり中の2月頃である。そしてその2カ月後、新たな生命が誕生する。
生活に穴が不可欠なアナグマの分布域は、開発に伴う緑地の減少により退行してきた。そんな中、2018年に玉川学園構内で初めて生息が確認された。周囲を市街地で囲まれたこの土地で彼らが安心して暮らしていけるよう、私たちは残された緑地をどう保全していくか考えていく必要がある。

(農学部准教授 關 義和)
『全人』2020年10月号(No.853)より

ニホンアナグマ

学名:Meles anakuma
イタチ科

本州、四国、九州に自然分布する中型の食肉目。成獣の全長は65~90cmほど、体重は4~11kgほどで、メスよりもオスの方がやや大きい。巣穴からアナグマを追い出す目的で選抜繁殖されたダックスフント(Dachshund)のDachs はドイツ語でアナグマを意味する

掘られた穴の中に排泄された糞
森林内に掘られた巣穴