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クワ(ヤマグワ、マグワ)

キャンパス内で自生するクワの幼木

江戸時代以降、クワは養蚕(ようさん)や工芸に用いるための“有用樹”としての位置づけが強くなってしまった。しかし、クワと人との関わりの端緒を探っていくと、クワには薬用植物としての姿があることに気付く。
中国最古の薬物学書『神農本草経』。そこには、薬用となりうる植・動・鉱物が365種収載されている。その中に桑根白皮(そうこんはくひ。マグワの根皮を天日乾燥したもの)が挙げられている。書によれば、消炎・沈静作用や滋養強壮作用などの効能があるという。令和3年告示の「第十八改正日本薬局方」。この中でもマグワの根皮は生薬として収載されている。なるほど、今でも薬局で処方されるお薬じゃないか。千年以上も前、すでに薬用植物としての価値が見出され利用されていたとは、驚くばかりだ。
近頃は桑畑もなくなり、「とんび凧」(新見南吉作)で描かれたような情景はめっきりと見なくなった。それでも、人目に付かぬところでひっそりと自生するクワたちは、鳥に果実を食べさせて其処彼処で実生の機会をうかがっている。幼木は成長が早い。まるで植木屋に切られてたまるか!と言っているようだ。

(農学部准教授 佐治量哉)
『全人』2021年10月号(No.864)より

ヤマグワ、マグワ(山桑、真桑)

学名:Morus australis, Poir. / Morus alba, L.
クワ科クワ属

ヤマグワは日本原産種で全国の山地に見られる。樹高が10mを超す大木になる。マグワは中国北部から朝鮮半島を原産とする。8世紀頃、養蚕の伝来とともに日本に渡来。クワはクワ科クワ属の落葉高木の総称。マルベリー(mulberry)とも呼ばれ、紫黒色の完熟果はジャムなどに利用される。ヤマグワとマグワを原種とし、結実しやすい品種など多数の品種改良がされている

  • 写真左:
    クワの実が完熟するまでの色の変化。未熟果(右端)は酸っぱいが、完熟果(左端)は甘くておいしい
  • 写真右:
    JR八王子駅の北口側には「桑並木通り」がある。今でもクワを身近に感じることができる場所。下は「桑並木の由来」の碑。1981(昭和56)年建立

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