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エンマコオロギ

咸宜園の苔生した小路をゆくエンマコオロギ

コロコロコロコロ、ヒュルルルル。その涼やかな音(ね)は、咸宜園の茂みから聞こえてくる。エンマコオロギだ。自然の少ない都市域でも、ちょっとした草木の物陰で見つけられる。頭の模様が人の善悪を裁く冥界の王、閻魔の顔を彷彿させることからこの名がついた。 玉川に住むエンマは、私たちが「知恵ある悪魔」にならぬよう、常に「全人たれ」と物陰からささやいている。
古来日本では、綺麗で繊細なその音(声)が親しまれてきた。平安時代には籠に入れた虫の音を楽しむ風流な遊びが流行した。江戸時代には籠に入れた虫を売り歩く商売も成立した。虫の声を楽しむ感性は世界でも稀で、豊かな季節感を持つ日本人ならではだ。
虫の声を楽しむなら、虫を収める籠にもこだわりたい。庭木や軒に吊るのなら、駿河国の虫籠(竹千筋細工)が趣深い。床の間や棚に飾るのなら、茶の湯で使われる虫籠花入に季節の草花とともに生け込むのが面白い。コロコロコロコロ、ヒュルルルル。今日もエンマは秋の夜長を鳴き通す。混乱多き今の世の中、草花や虫を生ける心のゆとりを大切に。

(農学部准教授 友常満利)
『全人』2022年9月号(No.874)より

エンマコオロギ(閻魔蟋蟀)

学名:Teleogryllus emma
バッタ目コオロギ科

日本に生息するコオロギの中でも最大種(体長:26~40mm)。羽をこすり合わせることで音を発する。8月から11月にかけてひとり鳴きや誘い鳴き、争い鳴きなどが聞かれる

庭木に吊られた竹ひご細工の虫籠と
エンマコオロギ
虫籠花入に生け込まれたススキと
エンマコオロギ

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