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キビタキ

キビタキの雄。「森のピッコロ演奏者」とも
呼ばれる。体長は約14cm

新緑の若葉が濃い緑色に変わる6月。木々の茂みから、楽器のピッコロのような美しい鳴き声が聞こえてくる。本当に「ピッコロ、ピッコロ」と聞こえ、さらには、「オーシーツクツク……」と囀(さえず)りのレパートリーは続く。声の主はキビタキ。アクセントが強く、まるで火打ち石を打っているような鳴き声なので、「黄色の火炊き」で「キビタキ」になった。
わが国には初夏に渡ってくる夏鳥で、スズメとほぼ同じ大きさ。雄は背中が黒色、眉班(びはん:まゆ)、胸から腹部は鮮やかな黄色で喉は橙(だいだい)色。雌は全体に薄い緑味のある褐色で、雄雌共に上面に白斑がある。枝や梢(こずえ)に直立した姿勢で止まり、昆虫類を見つけると飛び立ってくわえ、また元の場所に戻る習性がある。
キビタキは木の茂みの中にいることが多いので姿を見るのは難しい。本来は山地の鳥だが、学園には渡りの季節にほぼ毎年立ち寄るので、是非礼拝堂の横、学内農場の林を散策してほしい。私事で恐縮だが、小学校3年の時に家族揃って会津磐梯山でこの鳥と遭遇。こんな鳥がいるのか! と非常に感動してしまった。そのお陰で今の自分がいると勝手に思っている。

(農学部教授 田淵俊人)
『全人』2023年6月号(No.883)より

キビタキ(黄鶲)

学名:Ficedula narcissina
英名:Narcissus Flycatcher
ヒタキ科ヒタキ亜科キビタキ属

種小名narcissina は「鮮やかな黄色」を意味し、植物学上のスイセン(水仙)の学名もNarcissus である。いずれも「鮮やかな黄色」に関係している。ギリシャ語narkissosから派生し、ギリシャ神話の美少年narkissosに由来。余談であるが、narcissist(ナルシスト=自己陶酔者)も語源は同じであるが、キビタキやスイセンと関係はない

キビタキの雌。全体に薄緑味のある茶褐色で尾の付け根が黄色い。夏鳥として日本全国の山地の広葉樹林に渡来して繁殖し、冬季には東南アジアで越冬。渡りの途中には市街地の公園、丘陵の林にも来る
ミズバショウとキビタキ(雄)。このように地面に降りることは滅多にない

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