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オオタニワタリ

大学教育棟 2014に飾られているオオタニワタリ(人工増殖株)

一見するとシダにはみえない。しかし、葉裏をみると規則正しく胞子嚢群(ほうしのうぐん)が並んでいて、触れると茶色い粉のような胞子囊(0.3㎜ほどの胞子嚢の中に、さらに小さな胞子が入っている)が指に付くので、シダの仲間であることがわかる。端正な株姿と日陰の環境に適応し、乾燥にも比較的強いことから、室内用の観葉植物として重宝されている。鹿児島南さつまキャンパス近隣の自然林の中では、直径が1mを優に超える大株がみられる。
じつはこのシダ、地面に生えるのではなく、切り立った崖や岩の上、或いは樹上に生える「着生(ちゃくせい)植物」である。その自生風景は、まさに「熱帯のジャングル」のイメージである。
一方で、この着生生活は決して楽ではないようで、台風後の林内では、しばしば崖から剥がれ落ちた株に出会う。成長すると、株の上に落葉が溜まり、そこに雨水がしみ込み重くなった時に強風にあおられると、荷重に耐えられないようである。たまたま好条件に収まった株が、大株に育ち、多量の胞子を散布できるようである。室内に置かれた観葉植物も、野生の中では逞しく生きている。

(農学部教授 山﨑 旬)
『全人』2024年3月号(No.891)より

オオタニワタリ(大谷渡)

学名:Asplenium antiquum
チャセンシダ科チャセンシダ属

九州(南西諸島含む)、四国、紀伊半島などに自生する。個体数は少なく絶滅危惧種に指定されている(環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類)。本種や近縁種(シマオオタニワタリ)は、属名の「アスプレニウム」という名で観葉植物として売られていることもある。展開時の新葉を山菜として利用する地域もある

葉の裏には胞子の入っている胞子嚢群が規則的に並ぶ
培養瓶の中で、胞子から誘導された前葉体の集塊から胞子体(通常みる植物体)の形成がみられる
岩に着生している自生地の様子(鹿児島県南さつま市坊津町)

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