ホウレンソウ

ホウレンソウは、1年を通じてよく利用される栄養価の高い野菜である。おひたし、ごまあえ、バター炒めなど、手軽においしい一品ができる。
寒い時期においしくなる野菜はいろいろとあるが、ホウレンソウも気温が下がって霜が降りるような時期になると、一層おいしくなる。寒締めほうれん草、ちぢみほうれん草と呼ばれるものは、寒さにあてて栽培されている。
人気のある野菜だけに、各季節、各地域の環境に合うように、多くの品種が出回っている。玉川の学内農場でも、春から気温が高くなる時期と秋から気温が低くなる時期とで、それぞれの環境に適したいくつかの品種を選んで栽培している。栽培時期で比べると、気温が高い時期よりも、低い時期のほうが、収穫までの期間は長くなるが、葉が厚く、緑色が濃く、甘みが強いものが収穫できる。
ホウレンソウには、ビタミン、鉄分、カルシウムなどが豊富に含まれており、寒い時期に収穫されたほうが、栄養価が高くなると言われている。風邪をひきやすい季節、栄養をしっかりとるために利用したい野菜の一つである。
(農学部准教授 飛田有支)
『全人』2024年12月号(No.899)より
ホウレンソウ(菠薐草)
学名:Spinacia oleracea L.
ヒユ科アカザ亜科
原産地はアジアの西方、コーカサス地方とされている。生育適温はおよそ15~20℃で、5℃くらいでも生育が可能である。徐々に気温が下がっていく条件では、-10℃くらいになっても凍害を受けない。酸性土壌では生育が悪くなるため、石灰など適切に施用する必要がある

