玉川大学・玉川学園Webサイト
IEサポート終了のお知らせ

玉川大学・玉川学園webサイトTOPページリニューアルに伴い、Microsoft 社の Internet Explorer(以下、IE)のサポートを終了いたしました。本学園が運営するサイトをIEで閲覧した場合正しく表示されない恐れがございます。
皆様にはご不便をおかけしますが、別のブラウザを利用しての閲覧をお願いいたします。

トゲアシヒメハナバチ

カントウタンポポを訪花するメス

まだ肌寒さの残る春の早朝に、後脚に黄色い花粉をつけて地面の巣穴に入っていく蜂をみつけた。トゲアシヒメハナバチだ。学名のtaraxaciはタンポポの学名Taraxacumに由来し、いわばタンポポのヒメハナバチという名前を持つ。その名の通り、カントウタンポポを好み、この花が豊富な学内農場近辺に多く生息する。
蜂というと、ミツバチのような集団で社会をつくって暮らしている種を思い浮かべがちだが、本種はメスが一匹で営巣する単独性の蜂だ。メスは春先に地上に現れたあと、オスと交尾を終えると、単独で地中にトンネル状の巣を掘って、子のために花粉と花蜜を運び込む。十分なエサを用意すると、メスはその上に産卵するが、孵化した子の世話をすることはない。まもなくメスの寿命が尽きるからだ。子は母親が用意したエサを食べて成虫になり、翌年の春には地上へと現れる。
この蜂がみられるのは、春の短い期間だけだが、その命は地中で続いている。冬が終わり、一年ぶりの姿を目にできたときには、元気にしていたのだなと私は少しうれしくなる。

(学術研究所教授 原野健一)
『全人』2025年1月号(No.900)より

トゲアシヒメハナバチ

学名:Andrena taraxaci orienticola
ヒメハナバチ科

体長はメス10mm、オス8mm。日本の本州から九州、極東ロシア、中国、朝鮮半島に分布する。成虫の活動期間は3月後半~5月上旬。主にカントウタンポポを訪花する

オス。ハチ類の常として営巣も子育てもしない
巣穴から顔を出すメス

シェアする