オオルリ

緑の木々が生い茂る夏。渓流沿いの小路で爽やかな風を感じながら歩いていると、「ピーリーリー、ジジ」と非常に美しい声が聞こえてくる。ひときわ目立つ木の頂きで囀るコバルトブルーの鳥、オオルリである。わが国には夏に渡ってくる夏鳥でスズメより少し大きい程度。山地の渓谷沿いに生息する。学園には渡りの際に立ち寄り、農場高台の林は気に入りの「お立ち台」である。
瑠璃とは仏典の七宝の一つの宝石のことである。光沢のある瑠璃色は頭部から尾羽に至る体上面で、顔から胸は黒い。腹部から尾羽の下部は白色。瑠璃色の羽が美しいのは雄の成鳥で、雌は褐色である。実は、青色を醸し出す色素は存在せず、羽を構成する羽枝が複雑・微細な層で構成されていて、これに光が反射・屈折して人の目には青色に映って見えるのである(構造色)。
これには他にもカワセミなどが知られている。この青色に魅せられてバードウオッチャー入りした人は数知れないが、逆光や曇りの日には単なる黒色のシルエットにしかならない。是非、青色に輝くオオルリを見たい! 何度もチャレンジをしたくなる鳥である。
(玉川大学名誉教授 田淵俊人)
『全人』2025年7/8月号(No.906)より
オオルリ(大瑠璃)
学名:Cyanoptila cyanomelana
ヒタキ科
日本全国のブナなどの広葉樹林や針葉樹が混ざる渓流沿いの林、湖や湿地に面した森など身近に水辺がある場所を好む。冬季は東南アジアで越冬し、渡りの時期に平地の公園や丘陵の林にも来る。体長は約16cm。ウグイスやコマドリと併せて「日本三名(鳴)鳥」と知られる。巣は崖のくぼみなどにコケ類を集めてつくる。抱卵や育雛は雌が行うので、巣が空になるとその隙にジュウイチ(カッコウの仲間)に托卵されることがある



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