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故きを温ねて 43

眞知を得るためにお互いは勞作をする

創立期の印刷部。活版印刷のための活字拾い(採字)の様子
草創期の木工労作。『玉川学園五十年史』に礼拝堂の椅子を木工担当の学生たちがつくり上げた記録が載る

小原國芳は玉川学園創立の理由について、旧制帝国大学への進学校へと発展した「成城教育の充実拡充伸展」(『理想の学校』)のためと述べ、労作教育と宗教教育を重視した。

「ホントの知育を成就せんが爲に勞作敎育が必要」(『玉川塾の教育』)と断言し、机上の学問ではなく、自らの手足頭を駆使し試行錯誤しつつ学ぶことを重んじた。

そうした理論を実践するために、草創期の学園には農芸、飼育、工芸、土木等14の労作部門が置かれ、初期の機関誌発行は出版部と印刷部の学生たちが行った。「印刷部に至りては、活字造り、組み、紙型作り、印刷、折り、製本、装幀などと、いろいろな物理、化學、技巧、美術、國語、計算、さまざまの貴い學習が出來る」と労作で出合う学習事例をあげた。「かくしてこそ、否、かくしてのみ、生きたホントの國語が、歷史が、數學が、理科が學ばれる……工藝館も、購賣部も、農場も……すべてがお互いの敎場なのです。學習室なのです」「眞知を得るために、お互いは勞作をするのです」と続く。

自分のやりたいことを見つけられない学生は労作部門を換えさせた。「ピッタリ自己に適合した勞作は実に法悦であり、人間救済なのです」と述べている。 自分に向いていることに出合え、打ち込めるのは幸せである。そうしたことにも心を配ったのは労作が営利追求のためではなく、教育そのものだったからである。そこに小原國芳の学生を育てる眼差しを見るのである。

(文=白柳弘幸 教育博物館)
『全人』2017年3月号(No.814)より

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