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故きを温ねて 81

小原國芳、ペスタロッチ賞受賞

「ペスタロッチ胸像」を受ける小原國芳。1957年2 月16日。
手渡しているのは当時の広島大学教育学部長、皇至道氏
広島大学教育学部より贈られた「ペスタロッチ胸像」。裏面に「贈 昭和三十二年二月十六日広島大学教育学部 小原国芳先生」と刻まれている

1957(昭和32)年2月16日、小原國芳は広島大学教育学部主催第36回ペスタロッチ祭にて、日本教育界の功労者に贈られるペスタロッチ賞を受賞した。

小原の講義や講話で、スイスの教育思想家ペスタロッチについて熱心に語る姿を覚えている卒業生も多いだろう。小原の魂の父とも言えるペスタロッチへの思いは、玉川学園開校前年に発行の『ペスタロッチーを慕ひて』に凝縮されている。小原の唱えた全人教育はペスタロッチの「敎育思想の內容として3H即ち Head, Heart, Hand 頭と胸と手の三つの敎育」の調和的発達の考えを元にし、それらに加えて真善美聖健富の6つの価値を調和的に身につけた人間形成をめざしたものであった。

全人教育の思想のルーツはルソー、カント、ペスタロッチ、ナトルプらに連なる。明治になり、先哲らの思想がわが国にひろまった。小原がいつペスタロッチに出会ったのか、残念ながら『自伝』などからは見いだせない。

小原が恩師と敬慕する澤柳政太郎は『ペスタロッチ』(金港堂・1897年)を刊行した。その2年前の『敎育者の精神』(冨山房)にて「ペスタロッチの誠實と熱心とあるものは皆氏の如き大敎育者たるを得べし……大敎育者となる身、小學校敎員にあるを妨げず」と述べている。読書家の小原のことであるから、本書を読みペスタロッチをめざして日本一の「大敎育者」を夢見ていたかもしれない。

広島大から小原に贈られたセメント製の「ペスタロッチ胸像」は、本学教育博物館にて保管されている。

(文=白柳弘幸 教育博物館)
『全人』2020年9月号(No.852)より

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