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故きを温ねて 90

自ら掴み、發見し、學ぶ敎育に

1930(昭和5)年頃に行われていたマッシュルーム栽培。大学9号館の斜面あたり
塾生たちは菌床となる馬糞をほぐし、適正な温度管理を試行錯誤しつつ、マッシュルームを栽培した

2022年度から使われる高校教科書が、課題を調べて考える「探究学習」重視の内容に変わる。
100年も昔のこと、小原國芳は自らの課題を「掴(つか)むツルハシを磨くこと、そして、學問好きになること」が「敎育の本義に叶つている」と『自由敎育論』で述べた。1923(大正12)年のことである。2年後の『母のための敎育學』では「今までの與へ、詰め込み、敎へた敎育を、 自ら掴み、發見し、學ぶ敎育にかへねばなりませぬ」と記した。
玉川学園では野菜を栽培し収穫の喜びを味わう労作がおこなわれている。しかし、労作の目的はそれだけではない。玉川学園校歌の作詞者田尾一一(かずいち)は、労作教育について「人の子供を育てあげるためには至極あたりまへの敎育」(『學園日記』50號)として、次のように語った。
「野菜栽培をするならばどんな土がよいか、どんな種がよいか、芽を出して實を結ぶまでにはどんな經過をとるものであるか……事の眞相をしたしく自分の感覺で體驗(たいけん)させる。かくして得た體驗は單なる知識ではなく人間精神のあらゆる要素の複合物で、それ自身動力をもつている智慧(ちえ)となる」と。苦労し試行錯誤する学習も労作といえるのである。
課題を調べて考える「探究学習」は小原が100年前に主張し唱え続けた労作教育、自学自律の教育と同義語なのだ。
「文部省がやっと俺のいうことをわかってくれた」と、笑みを浮かべる小原の顔が目に浮かんでくる。

(文=白柳弘幸 教育博物館)
『全人』2021年6月号(No.861)より

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