玉川豆知識 No.106

経塚山はなぜ三角点と呼ばれていたのか

経塚山には子供たち用の遊具が設置され、アルペンスキーの父”として知られるハンネス・シュナイダーの像も置かれています。ピクニックや散策、子供たちの活動の場として多目的に使用されていた経塚山は、久しく「三角点」と呼ばれていました。

1.経塚山

幼稚部園舎と低学年校舎をつなぐ小高い丘は、古くから「経塚山」と呼ばれています。名前の由来は、昔仏の教えを守るため、経典を大切に保存しようと地中に埋めた場所である「経塚」からきています。『全人』第768号の「玉川の丘めぐり(29)」に、経塚山について次のような記述があります。

「経塚山」の名が初めて本学で使われたのは創立の一九二九年六月。機関誌『學園日記』第一号に「經塚山と呼びならはされ、よく村の小學生などが辨當(べんとう)持ではるばる遠足に來た」と載る。
経塚山と呼ばれたのは、ここからお経の文字が書かれた小石が多数出土したと言い伝えられているからだ。しかし、戦後、山頂部で給水施設工事が行われたが何も出てこなかった。
一九二一年の大日本帝国陸地測量部測図の地図に「境塚」と地名が載る。この地が古くから行政区画の境であったためだ。
     (略)
四十数年前の経塚山に木々は少なく、見晴らしが良かった。小原國芳は経塚山で学生に「どうだ、いい眺めだろう。地球の三分の一は見えるぞ」と言ったとか。その頃の景観を見てみたいものだ。

<写真は経塚山>

経塚山の見晴らしの良さについては、『玉川学園五十年史』のコラムにも次のような記載があります。指田太郎氏の「小原先生の印象」というタイトルのコラムです。

小原先生が直接学園の中を案内して下さって、三角点にも登りました、
「どうだ、世界の三分の一は見えるだろう」と言われ、「朝勉強をして、午後労作をやって」と話されたことが、都会に育った私には非常に魅力的でした。ことにこういう所で畑をやったり、開墾をやったりできることは、すばらしいと感じました。

<写真は経塚山からの眺望>

経塚山は、かつてはピクニックや散策、バーベキュー、茶室を利用したお茶会、登り棒や雲梯、滑り台といった遊具を使用した子供たちの活動など多目的に活用されていました。経塚山の南西斜面はひばりケ丘と呼ばれていて、農学部の牧場があったため、小学部生たちが放牧中の牛の写生をしたりもしました。

放牧されている羊と茶室
桜と中学部生の労作で完成した茶室
茶室の近くでの小学部生の写生
ひばりケ丘で放牧中の牛を写生する小学部生
経塚山中腹での中学部生の写生
虫取りをしている小学部生
遊具の近くで写生する小学部生
放牧されている羊
放牧されている羊
放牧されている羊

経塚山の山頂にある“アルペンスキーの父”として知られるハンネス・シュナイダーの像は、1963(昭和38)年に大学の美術部の学生たちが制作したもの。その後、1982(昭和57)年に、彫刻家の松田芳雄氏によって、白セメント製からプラスティック製の像に取り替えられました。

シュナイダー像

1963(昭和38)年2月13日に“近代オーストリアスキーの父”と言われたシュテファン・クルッケンハウザー氏を招いて、経塚山においてシュナイダー像の除幕式が行われました。

シュナイダー像除幕式
中央がクルッケンハウザー教授夫妻

2.三角点と呼ばれていた理由

測量用の二等三角点が設置されていることから、経塚山は「三角点」とも呼ばれています。一般に三角点とは、測量の基準として、緯度や経度、標高などの位置が正確に計算されており、地図の作成や道路の建設などで使用。三角点は、一等から四等までの4種類に分類されます。本学の経塚山三角点は二等三角点。一等から三等までの三角点のほとんどは明治時代に設置されたものです。

3.写真で見る現在の経塚山

経塚山にあるTAP(Tamagawa Adventure Program)施設
経塚山にあるTAP(Tamagawa Adventure Program)施設
  • TAP:
    Tamagawa Adventure Program
    アドベンチャー教育の哲学・手法を取り入れた、玉川の全人教育と統合した体験学習プログラム。アドベンチャー教育とは、世界中で実践されている人間教育をめざした教育である。

関連リンク

参考文献

  • 「玉川学園開発物語」(『全人』第669号 玉川大学出版部 2004年 に所収)
  • 笠原淳著『茶色い戦争』 新潮社 1994年
  • 白柳弘幸「玉川の丘めぐり(29)」(『全人』No.768 玉川大学出版部 2013年 に所収)
  • 『玉川学園の教育活動 玉川大学の教育活動(2008~2009)』 玉川学園 2008年
  • 『小学教育―玉川学園―』 玉川大学出版部 1965年
  • 『中学教育―玉川学園―』 玉川大学出版部 1965年
  • 『中学教育―1973年版―』 玉川大学出版部 1973年
  • 『玉川教育―1963年版―』 玉川大学出版部 1963年
  • 『玉川教育―玉川学園三十年―』 玉川大学出版部 1960年
  • 玉川学園五十年史編纂委員会編『玉川学園五十年史』 玉川学園 1980年
  • 玉川学園五十年史編纂委員会編『玉川学園五十年史(写真編)』 玉川学園 1980年
  • 『写真でみる玉川学園75年』 玉川大学教育博物館 2004