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玉川豆知識 No.107

学生たちから贈られた礼拝堂の鐘

1955年3月の卒業式前夜、卒業生50名から贈られた鐘とその鐘を打ち鳴らす手づくりのアームが、職人の手を借りず学生の手だけで正面の尖塔に取り付けられました。そして翌日の卒業式当日、礼拝堂の鐘が玉川の丘にやさしく響き渡りました。

木々の濃い緑と空の青さの中にくっきりと浮かび上がる礼拝堂。赤い三角屋根と太陽の光で輝く白い外壁。玉川学園で一番高い聖山の丘に礼拝堂が完成したのは、玉川学園創立の翌年、1930(昭和5)年。その年の10月13日に献堂式が執り行われました。この礼拝堂は、「本間俊平全集」(玉川学園出版部発行)の印税を基金に建立されたので、「本間記念礼拝堂」とも呼ばれました。

礼拝堂献堂式

礼拝、クリスマス礼拝、宗教講話、講演、各部の音楽発表会、演劇発表会、古くは入学式、卒業式、通信教育部スクーリング開講式など、さまざまな行事が礼拝堂で行われていました。卒業生の中には、この思い出深い礼拝堂で結婚式を挙げる方もいました。今でも礼拝やそのほかの行事で使われています。礼拝堂に備えられたパイプオルガンは1931(昭和6)年8月に設置されたもの。この当時、日本にまだ4台しかありませんでした。礼拝堂に設置されたシカゴ・キンボール社製パイプオルガンは、演奏台が2代目にバトンタッチしましたが、今でも設置当時と変わらない美しい音色を奏でています。

おやじとおばさま(小原國芳夫妻)による鳴らし初め

その礼拝堂に、卒業生から贈られた鐘が取り付けられました。1955年3月の卒業式前夜のことです。そのことが、『全人』第68号に次のように記述されています。

青空にくっきりそびえ立つ、白い十字架の礼拝堂の尖塔から、時折春風にのってたのしい鐘の音が流れてきたらどんなにすばらしいだろうな、と誰しも一度は胸に浮かべる夢を、いよいよ今年大学を巣立つ五十名が実現させました。
英文科の数名の人が奔走して、ニコライ堂や霞町の教会の鐘の音質を調べたり、二つの鐘の音差を二度にするか四度にするかで苦労したりして、やっと卒業式の前夜、徹夜に近い努力のすえ、職人の手を借りないでアームの設計や取附けを完了しました。
卒業式当日、女子卒業生のさし出すハサミを手にしておばさまがリボンを切れば、小原先生のお力添えでロープが一度、二度強くひかれ、待望のチャイムの妙音はかろやかに丘々にこだまします。思わずわき起る拍手、感激的な一瞬でした。

讃美歌「丘の上の教会へ」

『全人』第770号の「玉川の丘めぐり[31]」には次のように記されています。

第四回大学卒業式当日の一九五五年三月一〇日、玉川の丘で初めて鐘の音が鳴り渡った(『全人』第六八号)。本学礼拝堂は讃美歌「丘の上の教会」にぴったりだ。その日、礼拝堂のチャイムが「さやかにやさしく」丘に響き渡っただろう。
二年後、ウェストミンスター・チャイムとオルゴールが礼拝堂に取り付けられた。それは前年秋頃、小原國芳学園長(当時)が滋賀県近江兄弟社学園訪問時にチャイムを聞き、感激した話を各部礼拝で話したことがきっかけであった。

さらに、同誌には、鐘の大きさや取り付けられた場所などについての説明が掲載されている。

礼拝堂正面尖塔部に2畳ほどの小部屋があり、そこに直径約30センチと約25センチの鐘が対になって、取り付けられている。卒業生が礼拝堂で結婚式を挙げた際、新しい人生の門出への祝福の意を込めて、この鐘が鳴らされることになっている。

玉川学園の低学年・中学年において、授業の開始や終了を知らせるチャイムは鳴りません。また、各部の授業時間が異なるため、礼拝堂の鐘も鳴らすことを長く止めています。

参考

小原國芳がパイプオルガンを購入するための下見に行った欧米視察時に、礼拝堂に取り付ける鐘を見にバルチモア市にも足を運んでいます。しかし、パイプオルガンを先に予約したようで、鐘の購入契約には至りませんでした。その鐘と同じ会社のものが早稲田大学の大隈講堂に取り付けられています。今でもその鐘を鳴らしているとのことです。

関連リンク

参考文献

  • 小原國芳監修『全人』第68号 玉川学園大学出版部 1955年
  • 小原芳明監修『全人』第800号 玉川大学出版部 2015年
  • 白柳弘幸「玉川の丘めぐり[31]」(『全人』第770号 玉川大学出版部 2013年 に所収)
  • 日本基督教団讃美歌委員会編『A6判・讃美歌・讃美歌第二編』 日本基督教団出版局 1996年

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