玉川豆知識 No.139

本間記念礼拝堂とも呼ばれていた本学礼拝堂

玉川学園の礼拝堂は、「本間俊平全集」(玉川大学出版部発行)の印税を基金に建立されたので、「本間記念礼拝堂」とも呼ばれていました。また、その本間俊平と玉川学園創立者小原國芳の出会いは、成城学園という町を誕生させるきっかけになったといえます。

1.本間俊平と小原國芳の出会い

澤柳政太郎校長の招きで牛込原町にあった成城小学校の主事として上京した小原國芳は、1922(大正11)年4月、成城小学校と同じ学風をもった成城第二中学校を新設。しかしその翌年に関東大震災が発生。そこで小原は郊外に新たな土地を探すことにしました。でも候補地はなかなか見つかりません。そのため小原は、かねてから尊敬していた「秋吉台の聖者」といわれ、不良少年感化事業を行っていた本間俊平(1873年-1948年)に相談するために山口県を訪れました。そのときのことが、『教育一路』(小原國芳著/玉川大学出版部発行)に、次のように記述されています。

大正十三年の正月、寒い日でした。私は山口県の「秋吉台の聖者」本間俊平先生をたずねました。金策と学校経営についてのお知恵を拝借したかったのです。
 (略)
やがて先生は、大きな東京地図をひろげて、腕組みをなさる。
「君、十マイル(十六キロ)郊外へ出たまえ。西南だ。東北本線沿いは寒い感じがする。千葉方面は本所深川を通るから品が落ちる。東海道線はもう横浜まで家がつまっている。これからはきっと、新宿あたりから小田原へ向かって新しい線が出来る。安く買い占めろ」
「でも先生、十マイル離れると、小学生なぞは通えないではないですか」
「ばかやろう!お前が立派な学校を造れば、交通はおのずからついてくる。交通のついて来ないような学校ならつぶしてしまえ」

1923(大正12)年頃の本間俊平(玉川学園にて)

やがて、本間の予言通り、新宿から小田原に向かって小田急線が開通。そして、小原は持ち前の行動力を発揮し、今の成城学園がある砧村喜多見の高台の土地を購入。その際に小田急電鉄の土地購入にも協力しました。そして、駅名を学校名と同じにする、急行電車を停めるという二つの約束を小田急電鉄との間で取り交わしました。さらに小原は購入した土地145,000平方メートルのうち、50,000平方メートルを学校の敷地として寄付し、残りの95,000平方メートルを住宅地として売却し校舎等の建設の資金としました。

小原は、学園都市に相応しく、学校の周りを高級住宅地として販売。なおかつ景観を重視して、道路には桜並木を配し、家の囲いにはコンクリートなどの塀をたてることを禁止しました。また、小原の提案をもとに、子供たちの安全を考え、道の曲がり角は通りやすいように、曲りやすいように、角きりがなされました。このように、駅ができ、学校ができ、住宅ができ、成城学園の町がつくられ、発展していきました。本間と小原の出会いによって、現在の成城学園が誕生したともいえます。

成城学園
成城学園

2.本間記念礼拝堂が完成

玉川学園創立の翌年、1930(昭和5)年6月、玉川学園で一番高い聖山の中腹に礼拝堂の建設が開始されました。そして礼拝堂が完成。10月13日に完成した礼拝堂の献堂式が行われました。その礼拝堂献堂式に招かれた本間は、「礼拝堂がある限り神様は玉川学園を守り育てて下さる。自然を愛し、人を愛し、汗を流すことに喜びを感じる人になってほしい」と生徒たちに語りかけました。献堂式のことが、『学園日記』に次のように記されています。

10月13日(月)晴、礼拝堂献堂式
秋吉台の聖者本間俊平先生が10時1分の電車でおいでになられた。10時半頃より献堂式が開始された。
奏楽、さんび歌、聖書朗読・・・
遂に我等の父、敬愛の的の本間先生にお話をして戴くことになった。
 (略)
日本の教育を憂えられた先生の非常に熱心なる御心、何と言っても感謝の他はない。先生のお祈り、校歌、祈祷、感激に燃えつつ式は終った。

礼拝堂献堂式

玉川学園の礼拝堂は、「本間俊平全集」(玉川大学出版部発行)の印税を基金に建立されました。そのため「本間記念礼拝堂」とも呼ばれていました。

本間俊平
本間俊平(左)と小原國芳
昭和2年頃の本間俊平(秋吉台にて、日曜礼拝の後)
昭和5年10月本間俊平来園

関連サイト

参考文献

  • 小原國芳著『教育一路』 玉川大学出版部 1980年
  • 小原國芳著『贈る言葉』 玉川大学出版部 1984年
  • 小原國芳著『小原國芳全集28 小原國芳自伝-夢みる人(1)』 玉川大学出版部 1960年
  • 小原國芳著『小原國芳全集29 小原國芳自伝-夢みる人(2)』 玉川大学出版部 1963年
  • 小原國芳著『小原國芳全集11 秋吉台の聖者 本間先生/玉川塾の教育』 玉川大学出版部 1963年
  • 南日本新聞社編『教育とわが生涯 小原國芳』 玉川大学出版部 1977年
  • 鎌田達也著『小田急線沿線の1世紀』 株式会社世界文化社 2009年
  • 今村鎮夫著『信仰偉人伝 本間俊平』 教会新報社 1983年