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玉川豆知識 No.140

「きみたちの競争相手は無限大の大空、確固不動の大地」

玉川学園創立以来、学園長の挨拶で体育祭の開会が宣言されています。不変の、実に簡潔でダイナミックな訓示です。自分の無限の可能性に向かって挑む若者たちを鼓舞する、これほどの言葉が他にあるでしょうか。

小原國芳著『全人教育論』に次のような記述があります。

玉川の毎年の体育大祭の開会の辞は
「第〇十〇回、体育大祭を開く。諸君の競争相手は無限大の大空、確乎不動の大地、シッカリやりましょう! 終り」
と、精々十数秒。運動会のはじめに長談義なぞやる校長は落第です。とにかく、運動会では賞品を目アテにしないこと。参加することと、各自の精一杯の力を発 揮することを心としたいものです。
かくても、オリンピックなぞでも、自己の勝ち負けを度外視して、仲間のヨットの危険を救ったあの崇い行動なぞに対して、メダル以上の高いものを授与したらと切実に思ったことでした!

毎年、玉川学園の体育祭は、「きみたちの競争相手は無限大の大空、確固不動の大地、しっかり頑張りましょう!」と学園長の開会宣言で始まります。

この言葉には、技や勝負ばかりに心を奪われるのではなく、自らが培ってきた身体と心を以って精一杯の力を発揮して、無限の可能性に挑んでほしいという思いが込められています。

小原國芳学園長の体育祭での開会宣言

また、2020(令和2)年10月にスポーツ庁長官に就任された室伏広治氏が、スポーツジャーナリストの元川悦子氏によるインタビューの中で、「人との絆は生きる原動力になりますね」と問われたことに対して次のように語っています。

2004年アテネ五輪の翌年にもそう感じる出来事がありました。30歳くらいになってからケガが増え、満足なトレーニングを継続できない時期に、私の尊敬する先生(玉川学園の小原芳明学長)がおっしゃられた言葉をアレンジし、書を贈ってくださったんです。そこには「君の競争相手は、無限の蒼空、確固不動の大地」と記されていました。金メダルを取ることや世界新記録を作ることも大事だけれど、もっと大切なことは無限の可能性に挑むことだと分かり、それまでの自分の考えの狭さを再認識する機会になりました。そのおかげで、41歳まで現役を続けられた。スポーツの素晴らしさを体感した大きな出来事でした。

  • Yahoo!ニュース個人の企画支援記事(2021年1月20日掲載)として公開されたスポーツジャーナリストの元川悦子氏の記事【「コロナをみんなで投げたい」スポーツ庁・室伏広治長官インタビュー】(2020年12月取材)より

室伏広治氏は、ハンマー投げでオリンピックに4度出場し、2004(平成16)年のアテネオリンピックでは金メダル、2012(平成24)年のロンドンオリンピックでは銅メダルをそれぞれ獲得しています。

小原芳明学園長の体育祭での開会宣言

「きみたちの競争相手は無限大の大空、確固不動の大地」という言葉はいつ頃に誕生したのでしょうか?玉川学園機関誌『全人』第765号の「玉川の丘めぐり26」に次のように記述されています。

「第三回運動會を始めます。幸い天氣もほがらかで・・・・・・運動及び競技は、各自がベストを盡してやる所に理想があるのであって、吾々はこの大空と大地を相手として活動すべきである」と、小原國芳による開式の言葉の一番古い記録は1932年のもの。
「唯今より第九回陸上体育祭を・・・・・・時は正に非常時・・・・・・」と述べたのは、日中戦争勃発翌年の1938年。その翌年は「私達はこせこせと人を相手にせず、淸朗なる大空を、どっしりとした大地を相手に・・・・・・」と述べた。1942年(第14回)は「お互の相手は大空であり、大地である。正々堂々、日ごろの鍛錬された全身全靈を以って根限り戰え」と、定番の言葉に近くなる。玉川学園では戦中戦後の困難な時代も体育祭は途絶えることなく行われていた。
戦後、1953(第25回)は「われわれの競爭相手は無限大の靑空、確乎不動の大地・・・・・・」と、いよいよ簡潔な言葉になる。
 (略)
メダルやカップを目的にせず、自分の無限の可能性に向かって精一杯挑め、という創立者から若人への力強いメッセージが今も受け継がれている。

体育祭で躍動する園児・児童・生徒・学生

参考文献

  • 小原國芳著『全人教育論』 玉川大学出版部 1969年
  • 体育祭の歴史編集委員会編『玉川学園・玉川大学体育祭の歴史-第1回から第80回までの記録』 玉川学園・玉川大学体育・スポーツセンター 2009年
  • 白柳弘幸「玉川の丘めぐり26」(『全人』第765号 玉川大学出版部 2012年 に所収)

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