玉川豆知識 No.144
国の「電線類地中化計画」の実施前に、キャンパスの電柱は0(ゼロ)に
国の「電線類地中化計画」により1986年度から1998年度までの間に、全国で約3,400kmの電線類の地中化が達成されました。玉川学園ではそれ以前の1983年、地下に全長約1,860メートルに及ぶ共同溝を設置し、以来キャンパスの電柱は0になりました。
玉川学園のキャンパスは電線の地下埋設化(共同溝)により、豊かな自然環境、美しい景観が保たれています。そして電線の地下埋設化は、台風や大雪などの風水害、雪害などで電柱が倒れたり、電線が切れて垂れ下がるなどの心配がなく、安全対策面においても大変優れています。また、電柱類により道幅を狭めることがなくなるため通行がスムーズとなり、バリアフリー化の一環にも寄与しています。さらに地下埋設化された電線は架空線に比べて地震での破損がしにくいため、災害時の情報通信回線の被害が軽減して、ネットワークの安全性が確保できます。

その共同溝の長さは、約1,860メートル。設置されたのは1983(昭和58)年。当時は、電線の地下埋設化は大変珍しく、共同溝の設置は画期的なものでした。

共同溝では、主に学内への電気・水の供給と、ボイラーを用いた冷暖房の維持管理が行われています。電気・水や蒸気の供給は、学内のほぼ全域を網羅する地下道「共同溝」を通してなされており、園児・児童・生徒・学生・教職員等の安全に配慮され、電柱と電線のないキャンパスが実現しています。

共同溝について、玉川学園機関誌『全人』720号(玉川大学出版部発行)の「玉川の丘、再発見!」に次のような記述があります。
玉川学園正門から各部校舎へ続く道路の周辺を見回すと、電信柱がほとんどないことに気づかれるだろう。これは美観を保つためだけではない。
高圧線や通信線、パソコンの光ケーブルなどの電気配線。冷暖房のための蒸気や高温水を送る管や給排水管等の配管類。玉川学園のライフラインと言えるものが、ひとまとまりになって学内主要道路の地下約4メートルの深さに「共同溝」として埋設されているのである。
名前は共同溝だが、地下鉄線路内の空間を縦横約2.5メートルに小さくしたものと思えばよい。コンクリート壁の厚さは約25センチ。総延長は約1,860メートル。
共同溝内の各種配線や配管等は中央管理室にて24時間365日、休むことなく管理されている。共同溝につながる校舎の室内温度などもすべて制御されている。縁の下の力持ちという言葉があるが、道路の下の力持ちとでも言おうか。
参考文献
- 小原芳明監修『全人』第856号 玉川大学出版部 2021年
- 白柳弘幸「玉川の丘、再発見!」(『全人』第720号 玉川大学出版部 2008年 に所収)