玉川豆知識 No.31

玉川の丘で生まれた歌　『小（ち）さい花』

ちさいはな　　はこべの花
お母さんの　　花
野原に　　そっとさいて
いつも僕を　　みてる花
ちさいはな　　はこべの花
お母さんの花

ちさいはな　　はこべの花
お母さんの　　花
きよらに　　そっとさいて
いつもやさしく　　笑（え）まう花
ちさいはな　　はこべの花
お母さんの花

■『小さい花』の誕生

1947年12月１～２日、「新教育三十年、玉川学園創立二十年、玉川大学創設、小原國芳先生還暦」を記念して小原教育記念会が開催されました。１日は玉川学園内において記念式、２日は神田の共立講堂にて芸能発表会が行われました。

■『小さい花』の作詞は岡田陽、作曲は柳沢昭

岡田陽は、映画『明日への遺言』でも描かれている岡田資陸軍中将の長男として生まれ、玉川学園の創立者小原國芳の娘（純子）と結婚。そして、玉川学園で学校劇を推進し着実な成果をあげていきました。1948年には岡田が演出した玉川学園小学部の劇『新しい友達』が、日本児童文化協会主催の学校劇コンクールで優勝し、文部大臣賞に輝きました。そして、2004年には日本児童演劇協会賞を受賞しています。岡田は玉川学園中学部長を長く務めた後、高等部長を経て、玉川大学文学部芸術学科の専任教員となり、教授に就任しました。

柳沢昭は、本学旧制中学を1945年、旧制玉川工業専門学校を1948年、玉川大学文学部英米文学科（第一回卒業生）を1952年にそれぞれ卒業。学校劇『少年の頃』が1947年の公演でしたので、柳沢が『小さい花』を作曲したのは玉川工業専門学校在学中ということになります。のちに柳沢はグレラン製薬社長として活躍。1968年に玉川学園同窓会会長に就任。2001年会長を交代し、名誉顧問に就任しました。

岡田陽作詞、柳沢昭作曲の歌には他に『さようならみなさま』や『大きな大根』などがあります。

■たくさんの人から愛され、歌われた『小さい花』

歌に始まり歌に終わるというぐらい歌う機会の多い玉川学園の生活を支えてきたものの一つに『愛吟集』という歌集があります。最初の『愛吟集』は1932年に作られました。そして、改版を重ねながら現在も広く愛用されています。『愛吟集』の中の集会の歌として『小さい花』も掲載されています。

本学低学年の学校行事として「母の日の集い」を毎年行っていますが、その中で『小さい花』は、児童たちによって今も歌い継がれています。

『小さい花』が、何故、本学以外でも歌われるようになったのでしょうか。玉川大学通信教育部での迫新一郎、小宮路敏、栗原道夫、千葉佑、長嶋亨たちによる授業や合唱指導時、また近隣の教育委員会等に招かれての彼ら音楽教員による歌唱指導の折にこの歌も指導され、それによって広まり、他の学校でも歌われるようになり、玉川学園以外の人たちにも知られるようになったのではないかと思われます。

■『小さい花』に３番の歌詞が誕生

『小さい花』の替え歌として「お父さんの歌」があります。お母さんだけでなく、お父さんの歌を作ることを望んだ小原國芳が自ら歌詞を考えたものです。そして、『小さい花』の３番として歌われるようになりました。

大きい（でかい）花　　ヒマワリの花
お父さんの　　花
いつもニコニコほがらかに
家族みんなを　　守る花
大きい（でかい）花　　ヒマワリの花
お父さんの花

■玉川学園やその関係者から生まれた代表的な歌

• 『蛙の合唱』（蛙の歌）　作詞：岡本敏明（玉川学園教員）、ドイツ唱歌
• 『どじょっこふなっこ』　東北地方方言、作曲：岡本敏明（玉川学園教員）
• 『毛虫が三匹』　作詞：栗原道夫（小学部教員）、作曲：小宮路敏（小学部教員）
• 『歩いてゆこう』　作詞：きくよしひろ、作曲：小宮路敏（小学部教員）
• 『もしもコックさんだったなら』　作詞：山本瓔子、作曲：小宮路敏（小学部教員）
• 『村の道ぶしん』　作詞：葛原しげる、作曲：梁田貞（玉川学園教員）
• 『あしたの歌』　作詞：斎田喬、作曲：岡本敏明（玉川学園教員）
  • 玉川学校劇の挿入歌
• 『われら愛す』　作詞：芳賀秀次郎、作曲：西崎嘉太郎（中学部教員）

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