学校名と地名、駅名が同じ

「玉川学園」は、学校名であり、地名であり、駅名であります。全国で唯一、学校名と地名、駅名が同じです。

「玉川」という校名の起源については諸説があります。そのひとつをご紹介します。
小原國芳が成城小学校校長澤柳政太郎に請われて、同校の主事を務めていた1925（大正14）年のこと、多摩川の西に位置する現在の世田谷区砧に新たに小学校を開設することとなりました。同校は、牛込にあった成城小学校（1917年設立）と区別するため、「私立成城玉川小学校」として発足しています。なお、國芳は普段から「玉川」の字を用いていましたが、「多摩川」ではなく「玉川」と書いたのは、「分かりやすく、書きやすい。感じが良い」といった理由からであったといいます。砧の地は多摩川の流れを臨める地でもあり、正式な地名ではないが、この辺りを「玉川」と呼ぶことが江戸時代の刷り物からもうかがえます。そうしたこともあり、下見のときよりこの地を訪れて以来、國芳は「玉川」の名をしばしば使用しています。

成城学園の発展に尽力した國芳でしたが、40歳のとき、「全人教育の立場からホントの真を掴み、ホントの善を経験し、ホントの美しさを理解し、聖の世界のわかる人間を育成したい」という思いに駆られ、小田急線沿線上の丘陵地を購入。「夢の学校」実現に向けて、動き出しました。当初から國芳の念頭には、「玉川学園」という名称があったようです。

1928（昭和3）年、成城小学校は砧に移転し、成城玉川小学校を併合。「玉川」の名前が消えた時点で、新たに実現する夢の学校の名称は、「玉川学園」というのがより決定的なものとなりました。同じ小田急の沿線上であることと、多摩丘陵の一部で場所も南多摩であることから、当初の想定通り、1929（昭和4）年に「玉川学園」の名称で開校しました。

もともと、玉川学園がある土地は「東京府南多摩郡町田町本町田」という地名でありましたが、1929（昭和4）年の創立を契機に、小田急線の最寄駅も「玉川学園前駅」となり、1967（昭和42）年の表示改正により住所も「町田市玉川学園」となりました。國芳はのちに、「玉川学園」という名称について、「永遠の学校とするために、土地の名前をつけたもので、たくさんの地を提供してくださった方々への感謝の気持ちと、記念の気持ちである」とし、ことに人の名前は消えても、土地の名称は不滅であると説明しています。

創立から80余年、学校名と地名、駅名が同じであるのは、全国で唯一の存在であります。

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