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大切なことは、アイデアと同時に根拠を示すこと。伊藤園との連携教育で、メディア・デザイン学科の学生が提案を行いました。

2019.08.19

芸術学部メディア・デザイン学科の橋本順一教授が担当する3年生必修の授業「芸術表現学」では、毎年株式会社伊藤園(以下、伊藤園)にご協力いただき、「デザイン思考」を取り入れた産学連携教育に取り組んできました。本年度も5月に課題が出され、学生たちはチームを組んで企画を立案。その内容をまとめたプレゼンテーションが、7月5日(金)と12日(金)の2週にわたり行われました。両日とも4月のオリエンテーションでもご登壇いただいた伊藤園町田支店長の海野卓也さん、販売促進部の青木寛史さんにお越しいただき、ご意見を賜りました。

本年度の授業で与えられたテーマは

  • ①:
    スーパーマーケットで価値を高めながら、皆さんと同世代の方々にお茶を販売するにはどのような方法がありますか?
  • ②:
    「お〜いお茶」ブランドを店頭POPで訴求しようとしたとき、どのような表現方法がお客様に伝わりやすいでしょうか?
  • ③:
    町田市でお茶を広めるには、どのような方法がありますか?

の三つ。学生たちは班ごとにこの中から取り組むテーマを選び、検討していきます。
プレゼンテーションの順番はくじ引きで決められ、どの班も持ち時間は7分。ここでは、各班の提案内容をご紹介します。

  • 1班  (取り組んだテーマ:②)

    「お茶×料理」に着目。ただ単に料理やレシピを紹介するのではなく、1班は試食できるPOPを考えました。プレゼンではそうめんを試食できる模型を用意して説明を行い、海野さんや橋本教授にも食べていただきました。海野さんからは「他の食品とのコラボは取り組んでいるが、アイデアとしては面白いですね。」という意見をいただきました。

    2班  (取り組んだテーマ:①)

    コンビニや自販機を利用することの多い若年層がスーパーを利用するメリットとして、「まとめ買い」というニーズに着目した2班。粉末のお茶を、最近人気の洗剤のように水に溶ける個別包装とした新製品、「お〜いお茶 とけ茶う」を提案。実際に粉末茶をオブラートに包んで実演も行いました。伊藤園や橋本教授から「洗剤をヒントにした素晴らしい着想。今後社内でも提案していきたい」という意見がありました。

    3班  (取り組んだテーマ:①)

    「ジャスミンティ×ほうじ茶or緑茶」や「茶葉×スパイス」など、自分好みにカスタマイズができるブレンドティの展開を提案。ユーザーのお茶に対する知識を深めることができ、他の商品の購買にもつなげていくことを目指す案です。幾つかのサンプルを試飲した橋本教授からは、面白い発想といった意見が。また海野さんも「女性をターゲットにした茶葉とスパイスを組み合わせるアイデアは、面白いと思います。参考にさせていただきます。」という意見をいただきました。

    4班  (取り組んだテーマ:②)

    データを集めた結果、日本人は非常にお茶好きだという結果が出たことから、より効能に着目した4班。店頭に「お〜いお茶診断」と題したチャートを掲示し、その人に最適なお茶を選んでもらうという企画を提案しました。売り場の狭いコンビニではチャートをQRコードで見られるようにするなど具体性も高く、海野さんからも「案だけではなく、下調べをしっかりしているので説得力が増しますね。」といった意見が聞かれました。

    5班  (取り組んだテーマ:②)

    1,000名以上にアンケートを実施。そこから「シンプルなパッケージが人気」、「お茶以外では紅茶が人気」といった結果を得たことから、シンプルなデザインへの変更を提案。また店頭POPでお茶と紅茶を戦わせる企画を提案しました。橋本教授はデータの母数の多さやその解析を評価。「でも、負けた商品は販売しないという想定はちょっと…」と苦笑い。また海野さんも、アンケート結果から得られた若年層へのアプローチの重要性に着目していました。

    6班  (取り組んだテーマ:③)

    今回のプレゼンで唯一、テーマ③を選んだ6班。小田急町田駅で街頭調査を行い、お茶のペットボトルの保有率を調べました。その上でターゲットを20代のトレンドに敏感な女性と設定。エコを意識すると同時に、口紅が付かないような飲み口形状にしたペットボトルを3Dソフトで制作し、提案しました。海野さんからは、「ペットボトルをこの形状にするにも、相当な費用が発生します。その点ももし実現するにはメーカー側で、検討の中に含めないといけないですね。」といった質問がありました。

    7班  (取り組んだテーマ:①)

    調査の結果から、若者は意外とスーパーに行くが、よりオシャレでシンプルなデザインを好むと感じた7班は、450mlのスリムでおしゃれなペットボトルを提案。さらに「ビターパック」と名付けた抹茶の小袋を付けることで、濃さをカスタムできるとアピールしました。海野さんからは「付加価値の高い商品は消費者にもメーカーにも魅力的です。参考にさせて頂きます。」また橋本教授からは「カスタムはいいアイデア。どうすれば飲みやすいかも検討するといい」といった意見がありました。

    8班  (取り組んだテーマ:②)

    「甘い物が好きで、ダイエットが気になる若い男性」をターゲットに設定。「ダイエット効果」、「体質改善」、「継続性」といったニーズに合ったお茶をセレクトして紹介するPOPを提案しました。またこのPOPを使って、ジムや病院といった通常のチャネル以外への展開も提案。ただ海野さんからは「効能を謳えるのは、機能性表示食品、特定保健用食品など認可を受けた一部の商品に限られるので、それも踏まえて訴求方法は検討する必要があります。」という指摘がありました。

    9班  (取り組んだテーマ:②)

    20歳の女性を仮想ターゲットに設定。アンケートの結果から、お茶などの飲料には水分補給だけでなくファッション性も求めるといった結果を得たことから、「あなたはどんなお茶系女子?」という店頭POPを提案。チャート図によって自分に合ったお茶を選べるという内容でした。橋本教授から「他の班にもチャート図はあったけれど、2回目のお客さんにはあまり響かない点が難しいですね」、伊藤園から「ロゴがよくデザインされている」といった意見がありました。

    10班  (取り組んだテーマ:①)

    毎日を忙しく過ごす「働く女性」に向けて、「日々の小さな癒やしや幸せを」をコンセプトに設定。ダイエットやアンチエイジングを意識した3種類のお茶を「Purever」という名称で、華やかなパッケージで商品化。さらにその3本をオリジナルのショッパーに入れて販売するという企画を提案しました。海野さんからは「商品を詰め込む作業やそれに伴う工賃・スケジュールも、メーカーでは考える必要があるので、今後提案される際の参考にしてみてください。」といった具体的な質問が。実は伊藤園では、営業社員の方が行っているそうです。

    11班  (取り組んだテーマ:②)

    目新しさや話題の共有を目指した11班。POPの横のQRコードをスマホで読み取ると、ARによって人気芸能人がお茶を注いでくれる動画が再生され、その画像がSNSに投稿されることで拡散を狙うという提案でした。この動画案を橋本教授も「面白い案」と評価。海野さんも「昨年も地域ごとに異なるキャラが登場するARの提案を頂きましたが、実は伊藤園でもその1ヵ月後に類似の企画を実施しました。」と、具体的な事例の話がありました。

    12班  (取り組んだテーマ:①)

    ファッションやきれいになることへの関心が高い若い女性をターゲットにした12班。お茶を飲むのではなく、化粧水や美容パックの材料として提案。実際にお茶とグリセリンを混ぜて作った化粧水を伊藤園の皆さんにも試してもらいました。海野さんも「食品とのコラボレーションはありますが、化粧品とお茶とのコラボは記憶にないので、社内で確認してみます。」といった意見が。橋本教授からは「上の世代にも響くのでは」といった意見がありました。

  • どの班も思いつきのアイデアやデザインではなく、実際にアンケートを行ったりお茶の効能を徹底的に調べ上げるなど、「企画の根拠」が明確な点が印象に残った今回のプレゼンテーション。橋本教授も「根拠を示すと説得効果が高まる」と学生たちのプレゼンテーションを総括しました。また海野さんも「商品を試作するなど、皆さん時間と労力をかけて頂いたことが伝わってきました。私たちもどうしたら若い世代に商品の特長を正確に伝えられるかを日々考えています。今回頂いた提案を会社に持ち帰り、何か形にできるものがあるか検討してみます。本日はありがとうございました。」と、その内容を評価。社会にイノベーションを起こすような未知の課題に対する解決を見つけ出すための思考法である「デザイン思考」を実践するこの授業は、学生たちにとっても、ターゲットや商品特性をデザインや企画に落とし込むという、実社会でのデザイン表現に即した学びの機会となりました。

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