2022年1月19日、STREAM Style の教育(分野融合的ものづくり教育)を志向する「複合領域研究210:工農芸融合価値創出プロジェクト」の最終プレゼンテーション開催

2022.02.16

玉川大学では、科学(Science)、技術(Technology)、ロボティクス(Robotics)、工学(Engineering)、芸術・人間学(Art)、数学(Mathematics)を融合したものづくり教育を「STREAM Style の教育」と呼んでいます。その教育の拠点となるのが「STREAM Hall 2019」です。そこで行われる「複合領域研究210:工農芸融合価値創出プロジェクト」は、まさにSTREAM Styleを具現化した教育です。

そのシンボルともいえる授業が、2021年度は新たにリベラルアーツ学部の学生にも門戸を開き開講された「複合領域研究210:工農芸融合価値創出プロジェクト」。工学部、農学部、芸術学部と合わせて4学部の学生が分野融合的に協働して学びました。

今年度の課題は「玉川学園購買部で販売できる玉川グッズを提案せよ」でした。他学科のメンバーで構成される1グループ4名の4グループが、自分たちが学ぶ玉川大学の新しいブランド価値を創造する斬新なグッズの企画・開発・制作に取り組みました。

グループワークに先立ち、第1回の授業では授業の進め方と趣旨、また学生の「ものづくり」を支えるSTREAM Hall 2019内のメーカーズフロアに備えられた3Dプリンターなどの制作環境をガイダンス。2回目の授業からはものづくりのヒントやアイデアを得るため、工学部・農学部・芸術学部の先端的な教育・研究を進める教授陣によるオムニバス形式の講義を受講しました。その後、6回の授業時間を使って「1.共感」「2.問題定義」「3.創造」「4.プロトタイプ」「5.テスト」という5段階のサイクルを回していくデザイン・シンキング(デザイン思考)に基づいて、グループ毎のアイデアをまとめていきました。

グループは全員異なる学科のメンバーのため、最初はなかなかうまく意思疎通ができないこともあったようですが、次第に打ち解け、自然と役割分担をしながら協力してアイデアをまとめていくようになりました。

最後の授業となる1月19日の授業はSTREAM Hall 2019内「アカデミック・スクエア」に集まって(一部リモート参加のハイブリッド形式)、「最終プレゼンテーション」を開催。審査は担当教員のほか、例年ゲスト審査員として参加していただいている玉川大学芸術学部卒業生で、クリエイター向けデジタルデバイス開発を手がける株式会社BRAIN MAGIC代表取締役神成大樹氏、また今回のテーマに関係する玉川学園購買部・津山源一郎課長と購買部「Campus Store Tamagawa」の小宮山昇店長(紀伊國屋書店)も審査員として最終プレゼンに参加しました。

では、以下に4チームの最終プレゼン概要を紹介します(発表順)。ユニークな各チーム名は、メンバーの共通点や好きなモノにちなんで名付けられました。

2021年度テーマ:「玉川学園購買部で販売できる玉川グッズを提案せよ」

【1】チーム「チョコMATT」

玉川学園購買部の看板商品と言えば「ハチミツ」。生徒・児童の保護者、近隣住民の自宅用、また玉川学園関係者のギフトとして人気があります。
「チョコMATT」チームは、ハチミツをパンなどに塗る際に「スプーンなどですくうとなかなか途切れない」「手がベタベタになってしまう」といった悩みを解消するアイデアを考案。
それがパーティーグッズの「クラッカー」形状の使い切りパッケージ(20ml)、名付けて「はちみつクラッカー」です。クラッカー同様に三角錐の頂点のひもを引っ張ると手を汚さず、簡単にハチミツを使うことができる仕組みです。またハチの巣をイメージしたおしゃれな「はちの巣ケース」同時に開発し、様々な種類の「はちみつクラッカー」を詰め合わせたギフトセットなども提案しました。寸劇を交えながらトップバッターにふさわしい明るく、笑顔一杯のプレゼンテーションで、とても共感力に長けたチームという印象でした。

【2】チーム「RB食堂」

このチームはミツバチの総合研究機関である玉川大学(農学部)をもっとアピールするための商品として、玉川オリジナルの「蜜蝋(みつろう)商品」を提案しました。
「蜜蝋」とはミツバチ(働きバチ)が巣づくりのために腹部から分泌するロウ状の物質。それを利用した魅力的な3種類のオリジナル商品を提案しました。まず大切な人へのプレゼント用アロマ缶型キャンドル「TAMAGAWA MITSUROU CANDLE」。
次に封印を蜜蝋にした「TAMAGAWA MITSUROU レターセット」。そして購買部でハチに関連する商品を購入した人限定の「TAMAGAWA MITSUROU ギフト袋」です。個々の商品特性とニーズやコストに関する説明に加え、3種類の商品による「TAMAGAWA MITSUROU」ブランドの醸成、ミツバチ個体数減少に悩む養蜂産業への支援を踏まえた商品であることなど、説得力のあるプレゼンを披露。商品にあしらわれたミツバチと玉川の校章を組み合わせたオリジナルデザインのシンボルマークも会場の人々から好評でした。

【3】チーム「YONE」

「学生はあまり購買部を利用していないのではないか?」そんな問題意識から、このチームでは、在学生のヒアリングなどを通して学生目線の商品開発を目指しました。それがキャンパスの間伐材を材料としたお箸とスプーン、それらを収納するスライド式ケースの3点から構成される「Chatlery」。Charity(慈愛、博愛)とCutlery(食卓用のナイフやスプーンなどの総称)を組み合わせた造語で、
おしゃれな木製のカトラリーセットで、在学生は学食に持参することでポイントが付与されます。プレゼンテーションでは、制作コストを示しながら間伐材を使う「経済」面のメリット、使い捨てではないという「環境」面のメリット、そしてポイント付与という「学生生活」面という3つの価値を提供することを中心にアピールしました。在学生への市場調査やコスト計算などを踏まえた提案は、ビジネスプレゼンテーションとしての勘所をしっかり押さえているという印象でした。

【4】チーム「こしあん」

1名がオンラインでプレゼンに参加したこのチームは、いつまでも手元に置いてもらえる看板商品を企画することを目標に、玉川学園オリジナルのアクセサリー(ブローチ)の商品化を提案しました。ブローチのデザインは、農学部が世界初の黄色いコスモスとして開発した「イエローガーデン」や他チームでも取り上げられたミツバチ研究をアピールする「ハチの巣」などをモチーフとします。ターゲットは主に玉川学園の
OB・OGやK-12に通う園児・児童・生徒の保護者。玉川の丘で過ごした日々の思い出や記念としていつまでも残しておきたくなる商品づくりを目指しました。当初は完全にハンドメイド商品を考えていましたが、メンバーが実際に針金、ワイヤー、ブローチピン、UVレジンを用意して試作してみたところ、製品としてのクオリティを担保するためにはプロに任せた方がよいという判断になりました。すでに玉川を卒業した人々もターゲットとなるため、ウェブサイトやSNSを活用した販売戦略も披露しました。

プレゼン終了後、学生、教員,ゲスト審査員が点数を付けるオンライン投票が行われましたが、4チームの得点がほぼ拮抗し、今回は「順位なし」。投票に参加した玉川学園購買部の津山源一郎課長と小宮山昇店長からは、学生たちの商品開発への取り組みへの感謝と賞賛の言葉が贈られ、各チームのアイデアに対して購買部の実情に合わせたアドバイスをしました。また、神成氏は4チームそれぞれへの丁寧かつ実践的な講評をしていただき、各チームへご自身のビジネス経験に基づくあたたかくも的確な評価をされました。

津山課長
小宮山店長
神成氏

会場に来ていた講義担当教員からは「聞いているだけで楽しかった」「学部として協力できるアイデアだと思った」「玉川ならではの遊び心を感じた」などの感想が述べられました。

芸術学部 橋本教授
農学部 大橋教授
農学部 飛田准教授
工学部 相原教授

授業全体をコーディネートする小酒井教授は「つくりながら考える楽しさを味わってもらいたかったので、学生にはプレゼンの方法から『つくる』ことを要求しました。見事期待に応えてくれて、学生たちに心から感謝しています」と話しました。

最後に、第1回目の授業でインタビューしたリベラルアーツ学部の学生3名に、再び登場していただき、最終プレゼンまでのグループワークとプレゼン直後の感想を聞いてみました。

リベラルアーツ学部2年

名取柚里さん(チーム「RB食堂」)

他学部の学生とグループを組み、時間の制約がある中で商品企画を考え、試作し、プレゼン内容をまとめ上げる……予想以上にたいへんなプロセスでした。でも、最後の一週間はメンバーが一致団結してしっかりと最終プレゼンに結びつけることができたと思います。もうちょっと時間があれば一人ひとりが自分の良いところをもっと発揮できたのに……という思いは残りますが、この経験を糧に他者と協働して一つのモノを創りあげるスキルやノウハウを身につけていきたいです。「自分だからこそできること」というところをこれほど突き詰めて考えたことはなかったかもしれません。また、それまで知らなかった農学部、工学部、芸術学部の研究について知ることができて、改めて玉川大学は素晴らしい大学だと思えるようになりました。

リベラルアーツ学部2年

佐藤千夏さん(チーム「YONE」)

大学での専門分野がまったく異なる4名のチーム。価値観の違いから立ち止まる時も多々ありましたが、あきらめそうになっても、なぜだか話しのテンポはみんな同じ!そういうメンバーだったからこそ、乗り越えられたのかもしれません。企画を出し合う中で、同じタイミングで笑いを共有できた瞬間は、チームとしての絆が深まっていることを実感しました。振り返ると、私たちのチームは、試行錯誤を繰り返しながら自分の意見を伝える環境と関係性を自然と作れていて、メンバーが認め合い、一人でも納得できないアイデアは採用されていなかったような気がします。今は達成感で満たされた気持ちです。ゲスト審査員の神成大樹さんが「やろうと思えばできる実現性高いアイデア」と講評していただいたのはうれしかったです。まだ構想段階ではありますが、これからチャレンジしてみたいことがいくつかあり、この授業での学びが活きてきそうな思いがして、わくわくしています。

左から 名取さん、佐藤さん、中崎さん

リベラルアーツ学部2年

中崎芽生さん(チーム「チョコMATT」)

私たちのグループは全員が活発に発言する「沈黙なきチーム」で、次々と新しいアイデアが湧き上がってきました。 準備も順調に進み、毎回の授業がワクワクしてとても楽しかったです。というのも今学期、他の授業のグループワークで意見の集約などに苦戦していたということもあり、なおさらでした。商品企画の考案やプレゼンすることも良い経験になりましたが、なによりもまとめ役の4年生の先輩がメンバーを導いていくプロセスが私にとって貴重な学びの経験になりました。そして一人ひとりの良いところを高め合うことができました。誰もが私のことを理解し、良い点を引き出してくれたことに感謝しています。プレゼン当日もみんなのおかげで緊張がほどけ、リラックスして臨むことができました。

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