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芸術学部メディア・デザイン学科3年生が取り組む株式会社伊藤園との産学連携教育 その最終プレゼンが開催されました

2022.08.16

芸術学部メディア・デザイン学科3年生を対象の「芸術表現学(担当:橋本順一教授)」では、「お~い お茶」ブランドで広く親しまれている株式会社伊藤園との産学連携教育に取り組んでおり、第3回目の授業で行われたオリエンテーションの様子を紹介しました。

この授業のテーマは「若い世代のお茶との関係をリデザイン(再定義)せよ」。
伊藤園の方々の「若い世代にもっとお茶に親しんでもらいたい」という熱い思いを受け止めて、学生たちがグループに分かれて若者に向けた伊藤園製品の販売・サービス戦略を考えました。

そして7月4日(月)と11日(月)の両日、株式会社伊藤園から町田支店の野村義富支店長、オリエンテーションにご出席いただいたマーケティング本部販売促進部の足立好生グループリーダーならびに西村学課長代理をお迎えして、各日9チーム、計18チームが自分たちのアイデアをプレゼンテーションしました。伊藤園の方々は学生たちの発表に時に深く頷き、熱心にメモを取りながら学生たちの発表に聞き入っていました。

ここでは7月11日にプレゼンを行った9チームの提案内容の概要を発表順に紹介します。なお、各チームで戦略を組み立てる際に対象となるユーザー層を年齢や性別といった属性で絞り込んだターゲットに対して、さらに具体的な人格を肉付けした「ペルソナ」を設定しています。

●コップ1杯から気軽に。お茶の知識が広がる「気分れんどティー」 チーム名:フォア・ボール

 “AI(人工知能)お茶ソムリエ”が内蔵された「気分れんどティー」を提案。購入する際に「疲れ具合・今後の予定・性格」など簡単な質問に答えるだけでその人の好みと気分や体調、予定などに合わせて自販機内で数種類のお茶をブレンド。そのタイミングで最適な一杯を提供してくれます。毎回、手軽に種類の違うお茶のブレンドを楽しむことで、若い世代のお茶への理解や興味も引き出し、深めることができます。

●若い世代向けの新しいタイプの栄養補助食品「Chalthy(チャルシー)」 チーム名:タカノ100%

スポーツに、勉強に忙しい21歳大学生をペルソナとして想定し、彼が愛飲しているエナジードリンクの問題点を抽出。砂糖やカフェインなど健康面での不安や現行製品のパッケージが若者に共感しにくいところもあることなどから、健康的にカフェインを摂取できるお茶を使ったおしゃれなゼリー状の栄養補助食品「Chalthy(チャルシー)」を提案しました。首から下げられるひもを付けるなどパッケージやデザインにもこだわりました。

●スウィーツとしても楽しめる和洋折衷のお茶「スウィー茶」 チーム名:豚汁にセロ芋牛タンメン線ぶちこみました

「今どきの女子はお茶は好きだが、スウィーツもほしい」。そこでペットボトルのお茶に添付した粉末パックを混ぜて振るとゼリー状のスウィーツになる「スウィー茶」を提案。ペットボトルはスウィーツとして楽しむことを考慮して飲み口が広いタンブラー型で、紅茶、ほうじ茶、ジャスミン茶、緑茶の4種類を用意。もちろんそのままお茶としても飲めます。ボトルに結びつけられた粉末パックは三角ティーパック状の女子向けのおしゃれなデザインです。

●ギフトBOXによる「若者インフルエンサー お茶バズり計画」 チーム名:チーム葉志最得(はしもと)

緑茶を買わない若い世代をリサーチ。その結果、「きっかけがない」「急須を持っていない」などの回答を得て、それらを解決するための「ギフトBOX」を提案。緑茶と関連商品(ボトル、急須、お菓子など)を自由に組み合わせ、「本格的緑茶体験」「映える緑茶体験」「フレーバー体験」などができる魅力的なギフトの商品カタログを作成しました。BOXと製品のデザイン性も高く、SNS画像による「お茶バズり計画」をねらっています。

●お茶を通した「出会いの場」、マッチングアプリ「Chaw!(チャウ)」 チーム名:前髪

ペルソナとして19歳の地方出身の美容学生を想定。知り合いがいない東京で出会いの場を求めている彼女のためにお茶と人、どちらとも出会えるマッチングアプリ「Chaw!」を提案。その日の飲むお茶をリコメンドする「お茶占い」、自分の「アバター作成」、商品購入のポイントで回すことができる「ガチャ」(景品としてグッズやお茶、アバターの服などがもらえる)、さらに同じお茶の好みを持つ人と直接チャットできる「茶室トーク」などの機能を持たせました。

●アスリート市場を開拓するまったく新しいお茶「SPORTEA」 チーム名:青空

これまでになかった新しいお茶マーケットの開拓案として、体育会系学生のペルソナが求めるアスリート向けのお茶「SPORTEA」を提案。これはお茶本来の栄養と味は残したまま、運動選手のカラダづくりに必要なプロテインが摂取できるこれまでにないお茶ドリンクです。また、持ち歩きやすい把手付きで開閉が簡単な専用の1リットルボトルを提案し、パッケージデザインはスポーツの爽やかさと緑茶の和のイメージを調和させました。

●お茶好きが集い、楽しむ「お茶の祭典」を開催 チーム名:ブルーベリーアイ

若い世代とお茶との関わり方をもっと密接で深いものにしていくために、伊藤園による若い世代を主要ターゲットにした「お茶の祭典」開催を提案しました。「お茶の祭典」期間中に目標ポイントためて商品がもらえるほか、全国のお茶好きとのつながりや団体でのバトルゲーム、クイズ・豆知識コーナーなどのコンテンツをそろえて、販売促進はもちろんお茶を広く、深く知ってもらう機会にもします。

●お茶から作ったコスメ製品で「モテたい」心理を刺激する チーム名:TSK

20歳の彼女がいない男子大学生をペルソナとして設定し、「モテたい」という心理を刺激する商品・サービス開発を提案。そのため商品にお茶を活用したシャンプー、リンス、ハンドクリームなど「モテる」ための美容グッズをおまけとして付けます。「清潔感」「おしゃれ」「丁寧な暮らし」「健康的」などをコンセプトにしたパッケージデザインとカラー展開のバリエーション案、さらにキャッチコピーとして「味わい深い人に」も提案しました。

●世界で一つだけのパッケージを!プリクラとのコラボ企画 チーム名:むらさき

このチームは「若い世代が興味や関心を持つ分野にお茶を組み込んでみよう」と構想。20歳女子をペルソナとして、プリント倶楽部=プリクラと伊藤園の緑茶のコラボ企画「マイ茶倶楽部」を提案しました。イベント会場などに設置した「マイ茶倶楽部」のマシンで、世界に一つだけのオリジナルの緑茶ペットボトルパッケージをつくることができるサービスで、伊藤園と若い世代の新しい関係づくりをアピールしました。

すべてのプレゼン終了後、伊藤園のお二方から各チームへのご質問を受け、最後に感想と講評をいただきました。野村支店長は「しっかりリサーチした上で、若者らしい柔らかい発想を発揮してくれたことに感謝します」、西村学課長代理は「どのチームもアイデア豊かで楽しめた。個人的にはチーム「前髪」の発表の中にあった『お茶いいではなく、お茶いい』という言葉に感銘を受けました」とそれぞれ学生たちの頑張りに賞賛を送りました。

野村氏
西村氏

またプレゼン発表した学生たちは、このプレゼン体験を通して多くのことを実践的に学ぶことができたようです。

終了直後、参加した学生たちに聞いた主な感想を以下に紹介します。

~プレゼン参加学生の声~

「グループで出たたくさんの意見を一つにまとめていくプロセスに難しさを感じた。提案に際しては『なぜそれをやるのか』に説得力を持たせることを重視しました」

「企業の方々に訴えかけるプレゼンなので、調査結果・データなどを示しながらしっかり販売につながる実践的な提案であることを心がけました」

「他チームの発表から学んだことも多かった。特に動画などを工夫してごく短時間で端的かつ印象的にメッセージを伝える手法は参考になった。次に活かしたい」

「要点を絞って、ペルソナ設定を含めてどう印象的に伝えるかを考え抜きました。発表ギリギリまでみんなで話し合ったおかげで納得がいくプレゼンができたと思います」

「提案の中でデザインを担当し、自信はあったもののプレッシャーを感じて最後まで迷っていた。でも本番で伊藤園の方々にほめていただいて、すべての苦労が報われた思いです」

~授業を終えて~ 橋本教授

この「芸術表現学」は、多様な芸術表現を学ぶ学生が、その技術と経験を社会貢献につなげるための授業として、メディア・デザイン学科3年生全員を対象に2016年から始めています。これまで延べ600名を超す学生が受講してきました。

現代は、予測が困難なVUCA時代(Volatility=変動性、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性)と言われています。このような社会においては、これまでの概念を超えて、よりよい方向へ導くためのイノベーション力が重要になります。この授業では、世界の企業が斬新な製品やサービスを生み出すために活用している「デザイン思考」の考えを取り入れ、未知の課題に対する解決を見つける演習を通して、イノベーションの理解、グループワークによる協働作業、情報の収集と分析、アイデアの創造と具現化、企業の方へのプレゼンテーションなどを実践的に学びます。

デザイン、音楽、造形、映像などさまざまな芸術表現のために学んだことを実社会のイノベーションにつながる発想に応用していくという過程を、学生は戸惑いながら始めます。しかし次第にその面白さに気づき、やがて難しい課題をグループで協力しながら1つの提案にまとめあげていきます。この経験は、社会人の扉の前に立つ大学生にとってとても意義のあることです。このことは、以下の学生の授業感想にも表れています。「アイデアを創造・思考する力に音楽・造形は関係なく、この学部に入っている者なら誰でもあって困らない能力なのだと強く認識しました。この授業で学んだことが自分の血となり、肉となることを実感できたことがこの授業の最大の収穫でした」。

授業担当として、この授業で培った創造力と社会を変革していくマインドを実社会において発揮してほしいと願っています。

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