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芸術と科学を融合させたピアノが奏でる未来。ESTEAM教育を象徴する奏學祭が、今年も開催されました。

2022.11.22

10月25日(火)、昨年に続き「奏學祭2022」が、University Concert Hall 2016内Marbleにて開催されました。 奏學祭は昨年10月、玉川大学ESTEAMエリアの校舎完成を記念して、農・工・芸術学部の協創により初めて行われた行事です。本年度は芸術学部の主催で、スタインウェイ&サンズ社のグランドピアノ「SPIRIO r」をプログラムの構成テーマとして開催されました。

世界中のピアニストやホールから支持されているスタインウェイ&サンズ。玉川学園でも同社のグランドピアノを所有していますが、今年7月、新たに「SPIRIO r」を導入しました。今回の導入は国内の教育機関での導入は初めてのことです。このピアノは、同社の80年ぶりのニューモデルとして2015年に誕生した自動演奏ピアノSPIRIOに、録音編集機能を追加したモデル。これまでも自動演奏を行うピアノはありましたが、SPIRIOシリーズは演奏者のタッチやペダリングを詳細に記録することで、ピアニストの意図したニュアンスを精確に再現することが可能です。これにより、たとえば「著名なピアニストの名演奏を、100年後も生演奏で再現できる」ことに。こうしたハイレゾリューション自動演奏ピアノである点が大きな特徴です。
1853年に設立され、卓越したクラフトマンシップで知られる一方で、こうした最先端のテクノロジーも積極的に取り入れるスタインウェイ&サンズ。芸術と技術が融合したこのモデルは玉川大学が取り組むESTEAM教育で目指す異分野融合のイノベーションそのものであり、それが本年度の奏學祭の中心に据えられた理由でもあります。 ここでは当日披露されたプログラムについてご紹介します。

ピアノ独奏
  • 前奏曲 嬰ハ短調 作品3-2 Prelude in C sharp minor,Op.3-2(S.ラフマニノフ作曲)
    林 京平(芸術学部講師)
ショートレクチャー〈工学と芸術の対話〉
  • SPIRIO r PIANOについて ―その魅力と可能性―
    工学部長 山崎 浩一(工学部教授)
    芸術学部音楽学科 野本 由起夫(芸術学部教授)
作品発表 ―Music & Projection―
  • 音楽SPIRIO r PIANOと映像のための作品
    映像:八木澤 桂介(芸術学部講師)
    作曲:坂田 晶(芸術学部技術指導員)
SPIRIO r PIANOに収録されている演奏映像データから著名なピアニストの演奏
  • ゴルトベルク変奏曲 BWV988よりアリア(J.S.バッハ作曲)
    演奏:グレン・グールド(1932-1982)
  • ソナタ ト短調 K55/L335(D.スカルラッティ作曲)
    演奏:ウラディミール・ホロヴィッツ(1903-1989)
SPIRIO r PIANOの事前収録演奏(自動演奏)と演奏者2名との共演3台6手
  • ピアノ協奏曲 第10番~2台のピアノのための~変ホ長調 K.365より第3楽章(W.A.モーツァルト作曲)
    事前収録したオーケストラパートとの共演
    Primo 松川 儒(芸術学部教授)
    Secondo 津島 圭佑(芸術学部講師)
ピアノ独奏
  • 愛の小径(F.プーランク作曲)
  • ボロネーズ第6番 変イ長調 作品53《英雄》(F.ショパン作曲)
    小佐野 圭(芸術学部教授)

「ショートレクチャー」で登壇した野本教授は、「音楽系がESTEAMにかかわることは、美術系ほど多くはありません。今回はいい機会だと思います」と語り、「SPIRIO r」を紹介しました。その説明の中で「自動演奏自体は約250年前から行われています。あのベートーヴェンも存命中は自動演奏ピアノ向けの作曲で知られていました」と、音楽の歴史に触れた野本教授。「実は音楽は、テクノロジーと共にあるのです」と語り、SPIRIO rの記録・再生といった技術を披露しました。工学部長の山崎教授も工学の視点から打鍵の位置を記憶するなどといった機構を解説。SPIRIO rの魅力を語りました。

山崎教授
野本教授

また「作品発表 ―Music & Projection―」では、背景で映像作品が流れる中、ステージに置かれた「SPIRIO r」による自動演奏が行われ、「SPIRIO r PIANOの事前収録演奏(自動演奏)とピアノ2台との共演3台6手」では松川教授・津島講師が演奏する2台のピアノに、あらかじめ演奏データが保存された「SPIRIO r」を合わせた3台のピアノでの演奏も行われました。

映像作品
3台6手の演奏

この日は101歳の現役ピアニスト、室井摩耶子さんによる演奏も予定されていたのですが、お怪我をされたとのことでそのプログラムは中止をなりました。一日も早いご回復をお祈りすると同時に、玉川の丘で演奏を披露してくださる日を楽しみにお待ちしております。

そして当初のプログラムが終了後、「本日の奏學祭はラフマニノフで始まったので、ラフマニノフで終えたいと思います」と、小佐野教授が「前奏曲 嬰ト短調 作品32-12 Prelude in G sharp minor,Op.32-12(S.ラフマニノフ作曲)」を演奏し、この日の奏學祭は拍手に包まれて終了しました。

玉川学園が創立以来掲げている「本物にふれる教育」と、これからの時代に向けた「ESTEAM教育」。この二つの理念を音楽の演奏という形で表現した今回の奏學祭。この日に初お披露目となった「SPIRIO r」は、学生が練習内容を保存したり、音源を編集したりと、日々の授業や行事などでも活躍することに。芸術と技術を融合させた一台のピアノが、音楽教育の可能性を大きく広げることになりました。

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