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亀岡市環境先進都市推進部の山内剛部長を学園にお迎えした7年生(中学1年生)対象の特別授業「『少し先の当たり前』を私たちの手で」開催

2022.12.06

玉川学園中学部技術・家庭科技術分野担当の山田真也教諭は、学外から専門家や識者を招いて生徒たちの視野を広げ、発想を伸ばす教科横断型の特別授業を実施しています。その一環として11月11日(金)、玉川学園7年生(中学1年生)対象の「『少し先の当たり前』を私たちの手で」が開催されました。


この特別授業は、京都府亀岡市環境先進都市推進部の山内剛部長を学園にお迎えして、生徒によるプレゼン発表、山内氏の講評と特別講演を軸にした約2時間にわたるプログラム。7年生の生徒たちはこの日に向けて「10年後の2032年にプラスチックごみを削減するために何がどう変わっているか」をテーマに約1か月間、5回にわたって4~5名のグループごとにアイデアを検討し、プレゼンテーションソフトを活用してプレゼン資料作成に取り組んできました。

『少し先の当たり前』を考える
8チームによるプレゼン発表の結果は?

特別授業は、まず全生徒の拍手で山内部長をお迎えし、代表の生徒が町田市と玉川学園を紹介するプレゼンテーションをしました。続いて、若狭組、上総組、長門組、信濃組の順番で各クラス2チーム・合計8チームのプレゼン発表(1チーム約3分)を実施。各チームの発表概要は次の通りです。

若狭組1班

「生まれ変わるプラスチックカトラリー」をキャッチフレーズに、2022年施行の「プラスチック資源循環促進法」を踏まえたプレゼンテーション。コンビニのお弁当などで使われているカトラリー(フォーク、スプーンなど)を紙や木などの天然素材に置き換えることでプラごみの大幅削減を図ります。

若狭組7班

コンセプトは「雨の日をちょっと良い日に」。雨天の日にスーパーなどで店内持ち込み用に入口で配布されるビニールの傘袋は使用後すぐにごみとなってしまいます。その点に着目し、「MYボトル」ならぬ再利用できるおしゃれな「MY傘袋」を提案。大幅なプラごみを削減するだけでなく、使う喜びも増して沈みがちな雨の日も楽しく過ごすことができます。

上総組2班

多くの人が日常的に使っているペンはほとんどが軽くてコストが低いプラスチック製です。みんなが使っているペンだからこそ、「脱プラスチック製ペン」によりプラごみ削減に大きな効果が出ると考えました。プラスチックに代わるペン素材として黒煙を使った金属ペンと石灰石を原料とするLIMEXペンを提案しました。

上総組6班

衣服用のハンガーの多くはプラスチック製で、その多くは廃棄されてプラごみとなります。そこで用途に合わせてプラスチック以外の素材によるハンガーを提案しました。軽いものは紙製、重量があるものは木製、そして洗濯物など濡れた衣服にはアルミニウム製のハンガーを使用することで、プラスチック使用量の大幅削減を狙います。

長門組7班

飲料に使われるペットボトルを自然分解素材にすることで、プラごみ削減を実現しよう!そんな発想から食用にもなる「寒天」をペットボトルにするアイデアを提案。ペットボトルの原料である石油使用量を削減できるうえ、日常のごみ分別の手間も省かれるなど、プラごみ削減に向けた有効な一手であるとアピールしました。

長門組8班

「海を綺麗で安全に」をキャッチフレーズに自然分解するエコ素材の積極的活用を提案しました。これまでプラスチックが使われていた容器や日常器具などを、原料費が安価で「海で溶ける」特性を持つ発砲シートに置き換えることで海のプラごみを大幅に削減できるとアピールしました。

信濃組1班

「フードパックで地球を変える」をテーマに、ユーカリなど生分解性素材をスーパーの食料品売り場で使用されるフードパックを紙製に置き換えることを提案。紙製フードパックはすでにキッチンカーなどで使用されているので導入は難しくありません。紙製フードパックの使用は環境に配慮している店というイメージアップにもつながります。

信濃組3班

現在注目されている石灰石由来のLIMEXという新しい素材をすべてのプラスチックに置き換えることを提案しました。LIMEXを使うメリットとしては、①材料が少なくすむ ②耐久性・耐水性 ③リサイクル・アップサイクル可能 ④焼却時のCO2削減 などがあり、プラスチックの代用としてきわめて有望であることを紹介しました。

すべての発表終了後、山内部長による優勝チームの発表がありました。選ばれたのは上総2班の「脱プラスチック製ペン」。チーム代表者に山内部長から浄水機能を備えたブリタ ジャパンのボトル型浄水器がプレゼントされました。選定ポイントとしてはプラごみ削減に加えて「モノを大切に長く使うという発想」を評価されたということです。

山内部長は「素晴らしいプレゼンをありがとうございます。皆さんが統計データやアンケート調査を上手に活用されていることに驚かされました。すべてのチームの発表に感動を覚えたので優勝チームを一つに絞るのは悩みに悩みました。どのチームにも決して優劣はありません」と、生徒たちの取り組みを賞賛されました。

国際的にも先進的な環境政策となった
「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」

続いて山内部長による特別講演が行われました。
まず「高校までは野球、大学では空手道に没頭した体育会系人間。理屈より先に体当たりで行動するタイプです」と自己紹介。続いて〝霧のまち〟と呼ばれる亀岡市についてプレゼンテーションされました。

京野菜を育む盆地気候、保津川渓谷、トロッコ列車、湯の花温泉などの観光資源の魅力を話された後、「こうした地域の自然環境を守ることはもちろん、川を経由してプラごみを海に流さないことが大切。このままでは2050年に海の生き物よりごみの方が多くなってしまうと言う恐ろしい予測も出ています」とプラごみ対策の緊急性を生徒に訴えました。

山内部長はステージから様々な種類のごみがどのくらいの時間で自然分解されるかを当てるクイズを生徒に出しながら、わかりやすくプラスチックごみが環境に与えるインパクトを解説。海のない内陸で初めての「海ごみサミット(2012年)」が亀岡市で開催された経緯と意義や地域の子供たちがごみ拾いをする「海ごみ探偵団」の活動などを紹介されました。

そして2018年、亀岡市は市議会と共に全国に先駆けて、先進的な「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」を打ち出します。その直後に国連やEUで使い捨てプラスチックの全廃を目指す宣言が発表され、亀岡市の取り組みは国際的にも先進的な環境政策といえるでしょう。

環境ロゴマークやおしゃれなエコバッグの制作など「『環境×アート』で市民が楽しみながら環境保全に取り組めるようにしたい」と話します。また、亀岡市では環境に優しい「リバーフレンドリーレストラン」や「亀岡のおいしい水」プロジェクトなど環境保全と地域活性化が一体となった取り組みや小学生、中学生、高校生への環境教育にも力を入れているそうです。

特別授業の最後は生徒代表から山内部長に手作りのエコをテーマとした記念制作物が送られ、生徒全員と山内部長による記念撮影が行われました。

終了後、山内部長、山田教諭、優勝した上総組2班の生徒にお話をうかがいましたので、以下に紹介いたします。

亀岡市環境先進都市推進部山内剛部長

今日は玉川の皆さんの発表を聞きながら、私は終始圧倒されていました。短い期間で根拠となるデータをしっかり集めながら、こんなに素晴らしいアイデアをまとめ上げた生徒たちの「力」は素晴らしい。市民とともに歩む行政の一員として勇気づけられた思いです。同時に玉川学園の教育の確かさも実感しました。優勝チーム以外の発表も優劣はないと思っています。ほんとうに楽しく、有意義な時間をありがとうございました。

玉川学園中学部 山田真也教諭

山内部長の講演は、まさに私が授業で生徒に話しているプラごみ削減や環境保全に関するトピックとぴったり重なる内容でした。プラごみをどのように減らすことができるかという具体的な施策と実践をご本人から直接うかがうことができたわけで、生徒たちにとってまたとない貴重な機会となりました。これを契機に玉川の生徒と亀岡市の中学生との交流につなげていきたいですね。

優勝した上総組2班の生徒(五十音順)

撮影時のみマスクを外しています

浅羽さん

優勝できてうれしいです。プラスチックに変わるペンの新しい素材をネットで探して「LIMEX」を見つけたときは「これだ!」と思いました。山内部長のお話を聞いていて、自然豊かな保津川渓谷に行きたくなりました。

飯塚さん

ペンをテーマに決めた後、プレゼン全体の内容構成をチームのみんなとオンラインで打ち合わせながら練り上げていきました。山内部長の講演では亀岡市だけでなく、プラごみ削減を世界に広げていくアクションをされていることに感動しました。

今泉さん

優勝できて感動!プレゼンではアンケート結果をわかりやすく、見やすく表現するグラフデザインを担当。山内部長の講演では動画でリアルなプラごみの実態を見て衝撃を受けました。自分でもできることから積極的に取り組んでいきたいです。

植谷さん

私が日常的に使っているペンを取り上げたことが評価されてうれしかったです。他チームでは食べられる寒天を使ったボトルのアイデアは驚きでした。山内部長のお話では反対意見にも正面から向き合って実現にこぎ着けたことが印象に残っています。

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