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室伏広治スポーツ庁長官を招いて「スポーツと教育2022」を開催

2023.01.18

2022年12月4日(日)13時~15時、University Concert Hall 2016において玉川大学教育学部健康教育研究センターの主催による「スポーツと教育2022」が開催されました。2021年の東京五輪開催、2022年春に策定された「第3期スポーツ基本計画」など、今、わが国のスポーツ界は大きな転換期を迎えています。玉川大学・玉川学園でも、教育学部では、前身の文学部教育学科から、体育科教員養成にも力を入れており、多くの教員を輩出し、全国で活躍しています。さらにスポーツ強化と普及のために2022年4月に新組織TAD(玉川アスレチック・デパートメント)が発足。2026年には新たな体育施設「Sports Center SANITAS」が開設予定で全人教育の6つの価値の一つである「健」を支える教育環境の構築が進められています。
今回の「スポーツと教育2022」では、陸上競技ハンマー投げでアジア勢としての初の五輪金メダルを獲得し、現在はスポーツ庁長官を務める室伏広治氏を講師として招聘。「日本スポーツの未来と展望~2030年日本スポーツのあるべき姿~」と題して、わが国におけるスポーツ行政の今、今後のスポーツのあり方、玉川大学・玉川学園への期待などをお話いただきました。
当日は日曜日ながら、室伏長官のお話をうかがおうと会場に多くの教育学部生と教員が集まりました。

スクリーンに大きく投影された自筆の「一投一念」の書を背景に、会場の拍手の中で登壇された室伏長官は、まずアスリート時代に学園創立者・小原國芳の言葉から勇気をもらったことや、現在、脳科学研究所で共同研究を手がけていることなど、玉川学園への思いを述べられました。
続いてアスリートと研究者を両立してきた自らの足跡を紹介。大学院で修士・博士号を取得し、大学教員として教育・研究に携わりながら41歳までアスリートとして活躍されたその歩みは、ご本人にとってやりたいことを全うしたごく自然な選択であったと語ります。

続いて2020年に同じくオリンピアンだった鈴木大地氏から引き継いだスポーツ庁長官として取り組む、スポーツ行政の現在と展望について話されます。折しも2022年春にスポーツ庁では「感動していただけるスポーツ界を目指す」(室伏長官)ために「第3期スポーツ基本計画」が策定されました。室伏長官はこの基本計画に含まれる最新の研究成果とICTを活用した「医とスポーツの連携」、そして子供たちが多様なスポーツに親しむための「部活動改革」などを多彩な資料・データを見せながら、詳細にわたってわかりやすく解説していただきました。

続いての話題は選手として取り組んだ「ハンマー投げ」競技についてです。競技のレギュレーション・ルールや遠くに投げる3条件である「投射高」「投射角」「初速」のこと、そしてご自身が競技を始めた高校生の時からどのようにハンマー投げと向き合ってきたかをお話いただきました。
競技の先輩であり、師でもある父親の室伏重信氏(元陸上競技選手。中京大学名誉教授)については、アスリートにとって「良き師に出会う」ことがたいへん重要であり、重信氏からは「正しく練習する事の大切さ」を教わったそうです。現役時代の重信氏はむやみに練習量を増やすことでスランプ陥った後、カメラで自分のフォームを確認して合理的な練習を重ねることで、1971年に日本人ハンマー投げ選手として初めて70m突破を果たしたそうです。

「記録への挑戦には、自己を見つめて科学する姿勢が大切だと私も学んだ。おかげで現役時代には先が見えないスランプはありませんでした」(室伏長官)
そんな室伏長官にも、思春期には父に反発した時期があったそうです。「父の言うことを聞かないでいたら、たちまち記録が出なくなりました。しょうがないのでガマンして父の言う通りにしたら今度は記録が伸びた。アスリートが自信を持つことは良いのですが、人の話に聞く耳を持たなくなったらやはりダメです。私の経験から、自分に都合が良いことばかり言う人は決して自分のためになる人ではありません」(室伏長官)。
また、現役時代に自作の加速度センサーを使った練習を行うなど、室伏長官はテクノロジーとスポーツとの融合にも早くから取り組まれていました。バイオメカニクスなど科学的成果を取り入れた徹底したセルフマネジメントが、40歳を超えるまで現役アスリートとして活躍できた一つの要因でもあったそうです。

最後に玉川学園との関わりとして、恩師である野口裕之氏(身体教育研究所代表)から贈られた色紙に書かれていた小原國芳の言葉「君の競争相手は、無限の蒼空、確固不動の大地」(元となる小原の言葉では「君」ではなく「諸君」、「蒼空」ではなく、「大空」)への思いを語られました。金メダル獲得のプレッシャーの中でこの言葉を知った室伏長官は「ほんとうにその通りだと思いました。それ以来、私は自分の身体に内在する力をハンマーに注ぎ込むことだけを考えるようになったのです」。

講演終了後は会場からの質疑応答の時間。競技に取り組む学生、スポーツ教育に関心がある学生から次々と質問が飛び、その一つひとつに室伏長官は丁寧に回答されました。野球部に所属するという学生が「オススメのトレーニングを教えてください」と言うと、その学生を壇上に招き、自ら手取り足取り動作を指導されました。学生の質問に答えながら、玉川大学の学生たちへの期待も述べられた室伏長官。学生たちにとって、それぞれの夢やキャリアを実現するための貴重なアドバイスに満ちた2時間となりました。

<撮影時のみマスクを外しています>

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