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伊藤園との産学連携教育に取り組む「芸術表現学」で学生たちのユニークなアイデアを社員の方々にプレゼン発表

2023.09.29
<橋本教授>

芸術学部メディア・デザイン学科の橋本順一教授が担当するアート・デザイン学科(メディア表現コース)3年生必修の授業「芸術表現学」では、「お~い お茶」ブランドで広く親しまれている株式会社伊藤園(以下、伊藤園)との産学連携教育に取り組んでいます。授業テーマは「人とお茶の関係をリデザイン(再定義)せよ」。今年は4月24日(月)の授業に4名の伊藤園社員をお迎えして、特別講義を開催しました。
その後、17のグループに分かれた学生たちは、それぞれ「デザイン思考」のプロセスに従って自由な発想で伊藤園製品の販売・サービス戦略のアイデアを考えました。プレゼン発表に向けて戦略を組み立てる際に、各チームはそれぞれメインターゲットを年齢や性別といった属性で絞り込み、さらに具体的な人格を肉付けした「ペルソナ」を設定しています。
7月3日(月)と10日(月)の両日、伊藤園から町田支店長の野村義富さん、マーケティング本部販売促進部課長代理の西村学さんを、3日はさらに神奈川西地区営業部地区部長の山内克也さんを審査員にお迎えして、2週にわたっての最終プレゼン発表が行われました。プレゼンテーションでは、芸術学部らしく自作のイラストやアニメーション、モックアップなどいままで学修してきたスキルを活用し、チームで協働しながら趣向を凝らした発表がありました。

<野村様>
<西村様>
<山内様>

伊藤園の方々は学生たちの発表に時に深く頷き、熱心にメモを取りながら聞き入っていました。学生のアイデアを多角的に評価いただき、ビジネスとして生かせる部分などプロの立場からのコメントも多くいただき、「芸術で社会貢献」をめざす芸術学部生にとって大変刺激のある発表会になりました。

以下、最終プレゼンを行った全17グループの企画概要を紹介します(発表順)。

グループ名:「パンプアップジャガーズ」

ペルソナは港区出身の25歳女性。カフェ巡りやショッピングなどが趣味。おしゃれ大好きでまつげサロンやネイルサロンに通い、いつもインスタにアップする「カワイイ」ものを探している。ペットボトル飲料に関しては伸ばした爪で開けにくい、開けるときに手がぬれるなどの不便を感じており、そんなペルソナにアピールするためネイルでも開けやすいふたの形状や、ぬれると色が変わるなどデザイン性の高いペットボトル開発を提案しました。

グループ名:「わんちゃんず」

あまり活力が感じられない23歳男性がペルソナ。そんな彼により良く生きるための刺激を与える商品「しらまっちゃ」を提案しました。この商品は濃い抹茶に上品は甘さの白玉を合わせることで味と食感にメリハリを持たせ、幅広い世代に好まれる今までにない飲料商品を目指します。学生たちは試行錯誤して実際に「しらまっちゃ」を作り、パッケージやロゴデザイン、レシピも発表しました。

グループ名:「TST」

ペルソナとして設定した20歳の女性が求める「SNS映えするデザイン」「個性を出したい」という希望をかなえるカスタマイズ性の高いペットボトルのお茶を提案しました。この商品は新開発の自販機での購入時にラベルや文字のデザインを自由にカスタマイズでき、しかも中身のお茶の種類や自分好みの味の調整も可能です。自販機という若者が親しんでいる販売方法で、その筺体設置自体が宣伝効果を生むという今までにない利点もアピールしました。

グループ名:「LIKE A RICE」

「育児を頑張るアナタのためのお茶」をテーマにした提案。仕事と育児の両立を図るペルソナを設定し、「自分の時間が取れない」「束の間の休息が欲しい」といった彼女の悩みを踏まえ、前向きな気持ちになれるアールグレイをベースとした「TEA SODA」を提案しました。お茶を飲むとパッケージの透明なハートの部分には女性たちへの応援メッセージが浮かび上がりますが、このメッセージはQRコードで自分でも応募することができる仕様になっています。

グループ名:「チーム全国」

ペルソナは自分たちと同じ玉川大学芸術学部で学ぶ21歳の女子学生。デザイン性に敏感なこの世代の若者が好むエナジードリンクのパッケージデザインに注目し、徹底してデザイン面からの新商品開発を提案しました。まずペットボトルと缶を比較して後者の方が「オシャレ」に見えることに着目。メンバー3名が試作したまったくテイストが異なる3パターンのオシャレなパッケージデザインを披露してくれました。

グループ名:「シネマニア」

24歳の若手ゲームクリエーターをペルソナに設定。毎日、職場で飲むペットボトル茶を買うのが面倒くさいと思っている。また、一人暮らしで節約したいので安さを求めており、できれば職場の仲間とお茶をシェアできれば良いと考えている。そんなペルソナに向けて開発したのが「え~いぽ茶」。キューブ状の個包装されたお茶(緑茶・ほうじ茶・ジャスミン茶)をペットボトルの水に投入して飲む。まとめて職場に配送してもらうシステムで、1~6か月のプランが用意されている。もちろん伊藤園製品として味や香りにもこだわった製品だ。

グループ名:「Afternoon Tea」

TVショッピング番組風のプレゼンテーションを実施。ペルソナである若者=高校生への架空の街頭インタビューで「若者のお茶離れ」の実態を表現したり、やはり架空のペットボトル飲料専門委員が登場するなど、聞く人を楽しませる工夫が凝らされていました。提案した新商品は「CHARP」。湯飲みの形をしたペットボトル飲料で、ふたが茶卓になり、赤、青、黄など多色展開なのでSNS映えも。“TVショッピング”価格は10本で1200円に設定していました。

グループ名:「マイペース」

ストレスと悩みを抱える就活生をペルソナとして、心にも、体にも良い成分が入った「ハニー・カモミール・ジンジャーティー」を提案。パッケージは安心と安らぎを与える和のデザインで、QRコードで自分の「心と体のSOS診断」ができ、健康とお茶との関係を考えるきっかけづくりをします。リラックスした状態で眠りにつき快眠を得ることができる効果があり、脳を休めて集中力を増し、充実した心身で就活に臨むための新製品を提案しました。

グループ名:「体育会系」

ペルソナは「容姿端麗、才色兼備、八方美人」の25歳女性で、ふだんお茶を飲む習慣はありません。そんな彼女に向けて「味だけでなく見た目も美しい」「美容と健康に良い」「体に良い成分が含まれている」をテーマに、美容に良いアントシアニンが含まれるタイ原産のハーブを使った「バタフライピーレモンティー」を提案。青いバタフライピーティーにキャップに入ったレモンパウダーを混ぜ合わせ、きれいな紫に変化させるという実演によって、視覚的インパクトも大きな商品プレゼンテーションでした。

グループ名:「おーい葉(は)っ班」

ペルソナは大卒2年目、一人暮らしの港区在住女性会社員です。美容やおしゃれに関心が高いが、継続して努力するのが苦手。そんな彼女向けて糖や脂肪の吸収を抑え、ポリフェノールなど健康成分が含まれるウーロン茶の新商品を提案しました。1回で飲みきれる分量、ラベルレスで見た目もスタイリッシュ、持ち歩きにも便利でコスパの良い健康茶としてあらためてウーロン茶をアピールする戦略をわかりやすくプレゼンテーションしました。

グループ名:「ちょこみん党」

ペルソナは美を愛し、瞑想やジム通いが趣味の35歳女性。結婚願望が強めで、焦りからつねにメンタルアップを意識しており、そんな彼女に向けた「スピ(リチュアル)茶」を提案しました。ペットボトルの中身は美容と健康を意識したノンカフェインのハトムギ茶で、酸化を抑えて気分もアガる金粉入り。製造工場のラインに鳥居を設置し、その下をくぐらせることで「運気」を高めるという画期的なアイデアでした。

グループ名:「おーいどうぶつの森」

夫、子ども二人で暮らす35歳の主婦をペルソナに設定。来客の際にみんなで楽しめる「ココロも花開く緑茶セット(COCO茶)」を提案しました。何種類かの粉末茶のセットで、一つひとつのパッケージ内にお茶の粉末入りのツボミが入っており、お湯を注ぐとコップや湯飲みの中で花が開くという、目でも楽しめるお茶で、スープにもシリーズ展開できます。アニメーションをうまく利用したテンポの良いプレゼンテーションが印象的でした。

グループ名:「茶割り」

夫と子供の3人暮らしをする27歳の女性がペルソナ。健康志向で、子供にもノンカフェインの飲料を飲ませたいけれど、自分は麦茶の味が嫌い……そんな彼女に向けた「ノンカフェインシリーズ」を提案しました。従来から伊藤園にノンカフェイン製品はありましたが、知名度は今ひとつ。ほうじ茶、緑茶、ジャスミン茶の3種のラインナップは、「0(ゼロ)」のロゴデザインを大きくあしらった新しいラベルでノンカフェインをアピールします。

グループ名:「iPhoneユーザ」

流行に敏感な埼玉県の高校生(17)がペルソナ。お茶に対しては「古い」というイメージを抱いており、彼のような若い世代にアピールするお茶商品として全国のご当地デザインのカップ型容器のお茶を提案しました。カップ型容器は中身の温度で色が変わり(冷たい=冷色、暖かい=暖色)、金閣寺(京都)、富士山(静岡)、札幌の時計台(北海道)、スカイツリー(東京)などのイラスト入り。季節や時間帯(朝・昼・夜)に応じたバリエーションも発売します。

グループ名:「メル」

自分たちと同世代の22歳の女子大学生がペルソナ。美容に関心があるが、勉強や友人付き合いで忙しく気を使えない。そんな彼女に向けて「美容+癒やし」効果をアピールしたスティックタイプのお茶を提案。スティックタイプなので気軽に飲め、カモミール、ハイビスカス、ルイボス、ジャスミンなどバリエーションも豊富。それぞれのお茶の美容効果を解説した冊子も配布するなど、Z 世代女子の美容ニーズにピンポイントで応える商品です。

グループ名:「おしゅし」

やはり自分たちと同世代の22歳の男子大学生をペルソナに設定。サッカー部に所属し、将来体育教員をめざすペルソナは、毎日重い荷物を持って大学に登校するため、少しでも荷物をコンパクトしたいと願っています。そんな彼のために開発するのが、飲んだ量に合わせて3段階にたたむことができるペットボトル商品。市販の折りたたみシリコンバケツから発想したそうで、縮めるとバッグのスキマなどにも収納しやすくなります。

グループ名:「タマアート13」

このグループがペルソナに設定したのは10歳の女子小学生です。苦くてカフェインが入っていることから敬遠していたお茶に興味を持ってもらうため、知育菓子と粉末茶とプラ製湯飲みなどをセットにした「茶道体験キット」商品を発案。あえて手間がかかり、同時にワクワクした気持ちを味わう茶道体験をしてもらうことで、小学生にお茶の美味しさとその文化的意味を楽しく学んでもらい、子供時代から「人とお茶の関係をリデザイン」することを目指します。

~授業を終えて~ 橋本教授

「芸術表現学」は、多様な芸術表現を学ぶ学生が、修得したスキルや経験を社会貢献につなげるための授業です。この授業は世界的な企業が取り入れている「デザイン思考」のプロセスを学びながら、イノベーションの理解、グループワークによる共創、情報の収集と分析、アイデアの創造と具現化、企業の方へのプレゼンテーションなどを実践的に演習します。
今年度も各グループは悩みながらも協力しながら、調査分析、実現性の検証をもとにユニークな提案にまとめました。プレゼンテーションでは、イラストやアニメーションあり、3DCGを駆使したデザインあり、寸劇あり、実物化したアイデアのモックアップありと、自分たちが学んだことを駆使した芸術学部生らしい楽しいアピールの場となりました。
授業担当として、この授業で培った創造力と社会を変革していくマインドを実社会において発揮してほしいと願っています。

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